●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●   …………………………………………SEEK…………………………………………   第 7 回 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 柳井政和 (C)1995 Masakazu Yanai Reproduction 1998.12.19 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■●シナリオ13●『帝国のファー=ラド』前編 ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------  作戦司令室では同盟軍の軍議が続いていた。王国の司令官達はテスラを信用していない。 フォトン・ヘルツもその1人だった。彼の祖父は帝国軍に殺されたのだ。しかし表には決 して出さない。帝国軍の提示した作戦は、同盟軍全軍による中央突破であった。同盟軍は 長期戦が行えない。その結束にいつひびが入るか分からないからだ。互いに口にはしない が、両軍共それは確信できた。フォトンは思った。これは裏切りをできなくするための作 戦だ。だから別行動を許さないのだ。それ以外に利点はない。フォトンの番が回ってきた。  「やはり、敵は数を生かしての包囲戦か、城に立てこもって長期戦を図ると思います。 敵は我々が仲間割れをすれば、戦わずして勝てる訳ですから。……ですが、だからこそ部 隊を分けて、囮作戦を取る手もあると思います」フォトンは敢えて別行動を提案した。  「それはいいが、誰がその危険な囮部隊を率いるのか」ロジェストが反論した。  「……囮部隊に主力を配し、城は少数精鋭部隊で急襲します。ただし、敵が囮部隊に仕 掛けてくれなければ失敗します。帝都が手薄にならなければこの作戦は成功の望みがない からです」司令室にどよめきが起こる。  「私が少数での急襲部隊を指揮しましょう」王子が立ち上がった。  「王子、それはなりませぬ。ここは私に」ラドが急いで立ち上がる。  「よし、分かった。ラスヴィル王子、あなたが急襲部隊の隊長だ。少数での最も危険な 役だぞ。割ける人数は、主力部隊の1割、主力部隊を全滅させる訳にはいかないからな」  王子は笑顔で頷いた。王国側が騒ぎ出す。帝国は王子を無きものにしようとしていると。  「最も危険な役をラスヴィル王子が引き受けてくれた。このままでは我々が王国を滅ぼ そうとしていると言われるのは必死。少なからずこちらも譲歩をしよう。主力部隊の総指 揮をラド将軍、あなたにお願いしたい。歴戦の勇者ラド将軍なら、きっと帝国軍を引きず り出してくれるでしょうから」テスラの言葉に司令室は一瞬静まった。  テスラは心の中で笑った。総指揮とは名ばかり、用は王国の指揮官達を分断しておけば いいのだ。これで王国軍が裏切ったとしても、その戦力は半分以下になる。軍議は終了し た。王子は早速、精鋭部隊の編成にかかった。ラドは王子とは別に、帝国の諸将と軍の編 成について話し合いに入った。 ────────────────────────────────────────  その部屋には王子とウェーバーがいた。精鋭部隊の人選をしていたのだ。その部屋に、 1人の右手首のない兵士が入ってくる。その青年バレオは声を潜めて語り出した。  「大変なことをお伝えしなければなりません。ヘクトの丘でサラ様をさらった者を、私 は追いかけていたのです」2人がその青年に駆け寄る。バレオは言葉を続けた。  「そのデルタと名乗る帝国青年将校は、サラ様をさらったばかりではなく、その純潔を 汚し、止めに入った私の右手を切り付け……。サラ様は魔法にかけられた様に身動きでき ないまま……そして……。事が終わった後、その場に1人の女性が現れました。デルタは その女をミュー、母と呼び、サラ様を渡したのです。私を王子の部隊に入れて下さい。憎 き帝国に一矢を報いたいのです」王子は表情が凍りついた。  「今、ミューと言ったな」ウェーバーが驚いて問いただす。バレオは頷いた。  「王子、手掛かりが見つかりましたぜ。あのマルクとか言う奴の言ってたことも案外嘘 じゃないかもしれないぞ。……王子」ウェーバーは王子を振り返って顔を曇らせた。  「……少し、1人にさせてもらいたいんだ。大丈夫、すぐ立ち直るから」  王子は右手で目元を覆っていた。ウェーバーは兵士を連れ部屋を出ようとする。  「……いや、待ってくれウェーバー。君はこの城に残って、サラを探す役を引き受けて もらえないかな」王子が顔を起こす。  「王子!今は私情を挟む時じゃないって分かってるでしょう」ウェーバーが壁をたたく。 「すみません。そうでしたね。分かりました、人選を続けましょう」  こうして、その日の内に急襲部隊の編成が行われた。 ────────────────────────────────────────  ラド将軍が総指揮をとる、同盟軍主力部隊は王城を出発した。その軍は一路北に向かう。 テスラはラド将軍と肩を並べて行軍している。そして軍の後方には、カロミリアン姫を守 る様にキマイラ部隊が控えていた。リオット指揮するその部隊は、姫に絶対の忠誠を誓っ ていた。  その軍に先行する形で旅立った軍があった。王子率いる急襲部隊である。常に王子に従 ってきたドムグフ、王子に忠誠を誓ったリューオとジャコ、精鋭の兵卒の中にはバレオの 姿もあった。空は澄み切った青空だった。王子は祈った。ウェイン王家の守り神、天空神 プルームの加護がありますように……。王子は剣を天に掲げた。王国軍の剣を掲げる動作 は、天空神への祈りを現していた。 「巨大な力が空より接近!その数2体、1分以内に到着。警戒せよ!」  ロディマスの警報に全員が身構える。兵士の1人が、空に輝く2匹の竜を見つけた。  「王子危ない!」リューオとジャコが王子をかばう様に立ち塞がった。  竜は突風を巻き起こしながら急襲部隊の前で止まった。そして姿を竜から人へと変える。 老人と少女が空から降り立った。その老人の手には王子の死体が抱かれていた。  「それは王子の肉体!」ドムグフが驚きの声を上げる。老人が語り出す。  「ノーデンスはディツに敗れた。だが、そのディツはミューに……。我が主、天空神プ ルーム様は、この肉体に自らが持つ全ての武器を授けました。ラスヴィル王子、プルーム 様はあなたに全てを託すそうです」  空が輝いた。プルームがその場に光の雨を降らせる。王子は頷いた。兵士達が道を開け る。老人と少女は王子に近づいて行った。  「ラスヴィル王子。あなたはミューを止めることができなさるか」老人が問う。  「分かりません。しかし、その手掛かりは得ているつもりです。デルタ・クロネッカー、 その青年が全ての鍵を握っているはずです。この手に神の剣を、そして空から地を見渡せ る目を授けてくれるなら、必ずやミューを止めて見せましょう」老人は頷いた。  儀式が始まる。ミカが魂移しの呪文を唱えた。この魔法を使えば、ミカの命は危険にさ らされる。命を落とさなかったにしても、当分、竜の姿になることはできない。森の中に 光が満ちた。王子の姿が砂に変わる。と同時に死体が起き上がった。王子は兵士達の手を かり、黄金の鎧を、光をまとうように身につけていった。鎧の輝きが増していく。ミカは どうにか一命を取り留めた様だ。老人は姿を竜に変えた。銀の鱗が光を反射させる。急襲 部隊は竜の背に乗り込んだ。銀竜が大空に舞い上がる。 ────────────────────────────────────────  北の風は相変わらず冷たかった。冬将軍の姿が消えても、その影響力はこの地に深く根 を下ろしていた。エレスは山を越え、帝都を見下ろした。  「何これ一体……」エレスは思わず息を飲んだ。これが決戦の場所とは……。  遠目に見える、その都の城壁の外は地獄絵図だった。精神の破壊されたキマイラが、冬 将軍を見失い行き場を失った百鬼衆が、誰かが呼び出したのか死から呼び起こされた不死 人達がそれぞれ戦いあっていたのだ。偵察どころではない。急いでエレスは引き返した。 ────────────────────────────────────────  「魔道弓部隊掃射!」空から帝都に侵入しようとして来た百鬼衆が撃ち落とされる。  帝都は、その周囲を長大な城壁に囲まれた、1つの巨大な城である。その中に、皇宮や 帝都の町並みがある。今、その帝都の城門は堅く閉じられていた。ファラドや帝国の貴族 達は、作戦会議室に座していた。 「ファラド様、城門の外でクロネッカー家のデルタ様が取り次いで頂きたいと……」 「作戦行動中に持ち場を離れる様な奴はいらん。弓でも射かけて追い払え」  ファラドは苛ついていた。戦争を知らぬ奴らが、己の保身ばかりを考えおって。貴様ら は兵だけ出していればいいのだ。この場にいる貴族達には、全て血判状に署名をさせた。 しかし、こいつらでは複雑な作戦は取れない。元々高度で綿密な作戦を好むファラドだが、 今回は必ず勝てる作戦を取るのは無理そうだ。反乱も警戒しなければならない。どうした ものか……。  「ファラド様……」ファラドの背後の鎧兜の男、シオンが声を出す。  謀反以来、ファラドのシオンに対する評価は高く、自分の側に置くまでになっていた。 「旋風陣という作戦があります。敵は我々の方が軍勢も多く、帝都の城壁があるので、撃 って出ることはないと思っているでしょう。この作戦は、部隊を8つに分け、列を成し、 順に突撃を繰り返すというものです。突撃した部隊はすぐさま離脱し、列の最後尾につき ます。攻撃のみに主眼を置いた作戦ですが、この作戦の利点は一度動き出したら止まらな いということです」ファラドがシオンを振り返る。  この作戦なら、確かに反逆は起こせない。この作戦の渦中で列を外れようとすれば、波 に飲まれる様に蹂躙されるのみだ。  「だが今回の状況に際しては、この作戦にも欠点がある。8部隊分の勇猛な指揮官が我 々にはいない」貴族達が身を縮める。彼らにこの作戦の矢面に立つ勇気はない。 「指揮官は1人で十分です。突撃した部隊が、列の最後尾に戻る途中、指揮官だけが次の 部隊に合流するのです。つまり、ファラド将軍!あなたが常に突撃し続けるのです!」  一瞬ファラドは呆気に取られた。昨夜のシオンとのやり取りが思い出される。「俺は戦 うぞ、自分のために……」馬鹿げた作戦だ。正気の指揮官なら、こんな作戦は取らないだ ろう。だが……、よかろう!これは元々俺の戦いだ。ファラドは頬を緩めた。  「よし、その作戦で行くぞ!シオン8部隊の編成任せたぞ!」シオンは深々と頭を下げた。 ────────────────────────────────────────  デルタとその部下達は帝都の城壁から急いで離脱した。キマイラ達の攻撃を切り抜けつ つ距離を開けていく。どうやって帝都に入るか……。デルタは唇を噛んだ。 「デルタ様、こうなっては、一刻も早くクロネッカー領に戻り独立の宣言を!」  デルタは堅固に閉ざされた帝都を見つめた。彼には確信があった。ファラドが帝都に戻 って来ているということは、王城には既にミューはいないということだ。ミューは王国へ の 移動の際に、あの鏡を王城へと移した。帝都のあの部屋に、また鏡が戻されているな らば、あれこそミューの弱点に外ならないはずだ。  「私にはやらねばならないことがある」彼は部下達の声を聞いてはいなかった。 ────────────────────────────────────────  ピコ・ファラドは、囚人の食事係を連れて地下牢に降りて来た。牢には、ファラドの意 向に従わなかった者達が捕らえられていた。その内の1つで立ち止まる。女神の確認に来 たのだ。食事係が鍵を開ける。ピコは、牢の奥に座る女神に近づいた。その時、ピコの頭 を誰かが殴った。倒れたピコとの背後には、ゴーレムが立っていた。  「女神様、助けに参りました!」気絶したピコを飛び越えて、食事係は女神に駆け寄っ た。  「あなたは一体どなたなのですか」フルーティアは立ち上がった。  「風来坊の召喚師でカジと言うものです。修行の旅の途中に立ち寄ったこの帝都で、城 のお茶汲みをしている時に、女神様の噂を聞き参上致しました。さあ、行きましょう」  カジは女神の手を取った。プリムローズを目にして以来、女神の美しさに感動し、もう 一度女神に会いたいと願っていたのだ。こんな所で女神に出会えるとは。  「し、幸せ……」カジは女神を連れながら、1人ガッツポーズを取っていた。 ────────────────────────────────────────  既にミューは動き出したのだ。イプシロンが関与できることなどあるだろうか。ミュー の鏡の部屋で、イプシロンはミューの命令を待っていた。彼女は同時に祈っていた。どう かミューが自分を呼び出すことなく計画が成功しますようにと……。 「ウ〜ン、しっかし退屈だな〜。私にじっとしていろと言うのが無理なのよ!」  鏡に映る人間たちを見て暇をつぶしていたイプシロンが、おもむろに立ち上がる。しか し何もすることがない。しばし考えた後、掃除をすることにした。ホウキを魔法で作り、 床を掃き始める。イプシロンは、埃1つ落ちていないはずのこの部屋で、何かを見つけた。 「アララ、この鏡、壊れてるじゃない」  イプシロンは、1つだけ壊れている鏡があることに気づいた。鏡の側に、破片が落ちて いる。破片を拾い、割れた鏡にあてがう。呪文を唱えると、鏡が元の姿を取り戻した。 「ウン、これでよしっと。ミュー様喜んで下さるかしら」  イプシロンは、今度は雑巾を魔法で作り、その鏡を拭こうとする。とその時、鏡から黒 い手が伸びイプシロンをつかんだ。「な、なに」と慌てるイプシロン。 「イプシロン。あなたの体を借りるわ。何としてもミュー達を止める必要があるのよ」  もう1人のミューが鏡から完全に姿を現す。ミューの姿が闇と化す。 「お前はミュー様の邪魔をしていた偽物ね。な、何をするの。や……やめて」 「残念ながら、私も本物のミューなのよ。正しく言えば、ミューの意見に異を唱えた反乱 分子の……、ミューの考えは間違っていたのよ」 「こんなの……いや。ミュー様の邪魔なんか……できない。助けて……」  苦しみもがいていたイプシロンの動きが止まった。黒衣をまとったイプシロンは、鏡を 覗きこみ何かを確認する。そして闇に溶け込む様に、その場から姿を消した。 ────────────────────────────────────────  ライザが不敵な笑い声を上げた。ヨタは吹き荒れる吹雪の中、ライザに近づこうとした。 「ライザ!どうした、正気を取り戻せ!」ヨタの声は風に吹き消される。  険しい表情のライザの目から、涙がこぼれ落ちる。ライザの目から雷がほとばしる。ヨ タは慌てて球状結界を張った。ヨタを覆う様に雷が結界を包み込む。  「くっ、ヨタ様!」シュレッドがその雷の球に触れようとして弾かれる。  ライザは腰から鎖鞭を取り出した。それを思いっきり振る。すると鎖鞭は1振りの氷の 剣と化した。ライザの涙は凍りついていた。 「残念だが、あまり時間をかけて遊んでいる暇はない。さらばだ!」  笑い声と共にノーデンスは飛び立った。そこにはもう、ライザ・ヘルツはいなかった。 後には放射状に並ぶ氷柱と、なぎ倒された木々が残されているだけだった。 ────────────────────────────────────────  「こ……これは一体……」リー=ラドは馬を止めて、氷の上に降り立った。  辺り一帯は氷原と化していた。かつて木であったろう氷の塊や、人であったろう氷柱… …。一体ここでなにが起こったのだ。リーは息を飲んだ。ヨタ達を迎えに来て、こんなこ とになっていようとは予想もしていなかった。もしかして、この氷柱の中にヨタ様も。リ ーは1つ1つの氷の柱を確かめる様に歩いて回った。その氷柱の中に、一際大きく、内か ら輝いている柱があった。リーは剣を抜いて、斧の様に打ち下ろし始めた。氷柱が音を上 げて崩れる。中から鈍く光る球体が出て来た。球が割れ、ヨタが姿を現した。  「ヨタ様!」リーが剣を鞘にしまう。  「ライザが雷を放って知らせてくれなければ、私も氷の柱の1つになっていたでしょう。 いや……、あの雷自体が私を守ってくれたのかも知れません」ヨタは大きく息を吸い込む。  リーはヨタに、これまでの経緯を手短に説明した。ヨタが興味深そうにリーの話を聞く。  「軍人の僕が言うのも何ですが、戦っては駄目だと思います。守るべき者のない戦いな ど愚かなことです。ヨタ様も一緒に説得してくだされば、王子もラド将軍も考えを改めて くれるかもしれません」リーが必死にヨタに頼み込む。ヨタは少し考えて返答した。 「困ったものですね。普通は若者が戦いを主張し、年寄りがそれを止めるのに。君は逆だ。 でもねリー君、戦いを止めることはできないですよ。戦うことが条件の同盟。しかも敵も 戦うつもりなんでしょう。これは歴史の流れ、避けられない一戦ですね」  「プリムローズが南にしか春を分けてくれなかったのがいけないんでしょう。我々は神 と戦うべきなんだ。話せば分かってくれますよ。僕は神よりも人を信じたい」  ヨタはため息をついた。そう言えば同じ様な台詞を伝承で聞いたことがある。 「……神が我々の運命を弄ぶのなら、私はその神と戦おう。神が争い我々に災いをもたら すのなら、神が争えないように1つにしてやろう。神の意志は必要ない。神の意志が世界 を滅ぼすのだ。私は神々に戦いを挑む者……」ヨタはそこで口をつぐんだ。  「何ですか、その言葉は……」リーがヨタに問う。  「昔、私が王国に来る前に習った忌み句です。大昔に神に戦いを挑み、殺された者の物 語ですよ。人は神と争ってはならない……そういう意味の物語でした。多分作り話でしょ う。気にしなくていいですよ。何故か君の言葉を聞いて思い出したんです。そんな考えは 忘れた方がいいですよ。この忌み句は、神の怒りを買わないために封印されたぐらいです から」  ヨタは氷原を見渡した。そう、神の力の前に人は余りにも無力だ。 ────────────────────────────────────────  王国の森の上空に、1人の女が浮かんでいた。氷の剣を持ったその女性はゆっくりと森 に降りて行く。ライザの登場を、数十人の魔物が出迎えた。 「ノーデンス様、お待ちしておりました。百鬼衆の頭ダーク・カジェル及び、百鬼衆が精 鋭50騎、これよりあなた様と共に戦う所存にございます。どうぞ何なりとご命令下さい」  ノーデンスは頷いた。その時、森の木々をなぎ倒す様に闇が出現した……。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■●シナリオ13・挿話●『キマイラ』 ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- 「なぜ、なぜアンペアの死体に魂が入ってないの……。これではまるで抜け殻だわ」  シータは自分の小屋にアンペアの崩れた体を持ち帰っていた。死者の声が聞こえるシー タには、それが何を意味するかが分かった。アンペアは死んでいない!  今から300年前、1人の少女がいた。彼女は生まれ持って強い魔力を秘めていた。ア ンペアは彼女を養女として引き取り、育て、様々な改造実験を施した。そして使いものに ならなくなると捨てたのだ。しかし彼女は死ななかった。憎しみを魔力に変え、生と死を 操る禁断の魔法を習得し、四魔将の1人となった。……私を弄んだあの男が生きている! ────────────────────────────────────────  ゴミ捨て場と呼ばれた施設があった。帝国軍が王国に侵攻して以来、数多くの捕虜をキ マイラとして改造するために、アンペアが命じて作らせた建物だ。アンペア存命中は、キ マイラ量産を行っていたこの施設も、既に打ち捨てられ、粉塵の寄る所となっていた。 「何とか使えそうだな……」セルビオが扉をこじ開ける。  ここ数日、アンペアを倒して以来、彼の頭は割れる様に痛かった。アンペアの手によっ て、より完璧なキマイラを目指して作られたセルビオは、細胞の1つまでもがアンペアの 作りあげたものだった。セルビオ自身も知らない仕掛けが何か備わっているのか。セルビ オはどんなに傷つけてもすぐ再生する頭を鉄柱に打ち付けた。割れた頭が立ち所に再生す る。 「くっ、あれを切り札として完成させなければ……」  セルビオは、よろめく足取りでアンペアの研究室に向かった。頭に激痛が走る。 「ケケケケケ、わしの開発中だった絶対魔力中和装置を完成させるつもりか」  セルビオの口からアンペアの言葉が漏れる。セルビオは慌てて手近の鏡を見た。そこに は、醜悪な笑いを浮かべる自分の顔があった。悲鳴を上げ、ナイフで自分の顔を潰す。  「セルビオ。何か思い違いをしておらんか。わしが自分の道具ごときに負けるとでも思 ったのか。わしの研究を知らんお前でもなかろう。生物の強化・改造、魔力中和現象の解 明、幻覚誘発による精神投影、神の調査。お前の体はわしの予備肉体なのだ。神のことを 調べている時に思いついた発想じゃ。仮に入れておいたお前の精神は消去するとしよう… …やっ やめろー!」セルビオの悲鳴が上がる。そしてセルビオは消えた。  アンペアは魔力中和の剣を引き抜いた。塩、全ては神話に由来するのだろう。塩には特 別な力がある。外の世界との回路を開くのだ。海神はその力の流出を押さえている神だ。 だが、独自にその回路を作動させれば、理論的には神と戦えるはず。アンペアは魔力中和 の剣を絶対魔力中和装置の中心に差し込んだ。  「な、何!起動せん。どういうことじゃ!」アンペアはまだ慣れぬ体をぎこちなく動か す。  機械の透き間から数十匹の蜘蛛が現れる。蜘蛛が装置を食っている。陽炎の様に1匹の 巨大な女郎蜘蛛が現れた。アンペアが振り向く。その胸に、蜘蛛の腕が振り下ろされた。  「キャス・クリム!」アンペアがキャスの腕を折り引き抜く、傷口が直ちに再生する。 「あんた達に生きる価値はないよ。キマイラ……醜悪な癌細胞が!」  キャスはアンペアに激しく体当たりをした。アンペアの骨が軋み、絶対魔力中和装置に 激突する。装置が低い唸りを上げ出した。空間が歪む。アンペアは奇妙な浮遊感を感じた。  セルビオだったアンペアと、キャスの体が溶け始めた。尚も蜘蛛が装置を食らう。装置 はほんの数秒間作動しただけだった。しかしキマイラ達には致命的な一撃だった。アンペ アには、防御装置を使う暇もなかった。アンペアの精神が世界から放りだされる。 ──────────────────────────────────────── 「……アンペアの断末魔が聞こえたわ。アンペアの魂が消えた」  シータは静かに目を開けた。心を広げ、アンペアの魂を探していたのだ。アンペアは自 我を崩壊させながら、この世界から消えて行った。シータは全てが終わったことを知った。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■●シナリオ13●『帝国のファー=ラド』後編 ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------  闇は人の姿を現した。ノーデンスを守る様に百鬼衆が移動する。 「ほう、ミュー!また姿を現したか。だが今回は先程とは姿が違う様だな」  黒衣のイプシロンは頷いた。ダーク・カジェルがノーデンスに戦いの許可を求める。  「ククク、いいだろう。相手をしてやれ」ダーク・カジェルは一礼して2本の大剣を抜 く。 「強き者と戦うが戦士の喜び。さあ向かって来い、この純白の野を貴様の血で……」  突如闇が逆巻き、ダーク・カジェルの姿を噛み砕いた。百鬼衆が戸惑う。 「ノーデンス。あなたに話があります。今、あのミュー達に勝つことは、あなた1人では 不可能です。ミュー達は、既に3人の神の力を融合させています。八柱神の内残りは5人。 今、残りの神が協力してミュー達に立ち向かわなければ、取り返しがつかなくなります!」 「ミューごとき、この俺1人で十分だ。貴様を血祭りに上げ、ミューを倒しに行く!」 「それではミューの思う壷です。……仕方がありません。今はミュー達に合わせる訳には 行きません。ミュー達に会いに行くのなら、私を倒してから行って下さい」  ノーデンスは氷の剣を振りかぶった。ノーデンスと黒衣のイプシロンの戦いが始まった。 ────────────────────────────────────────  ファラドはボエラに一兵足りとも残してはくれなかった。1人取り残されたボエラは、 王国に再び戻ることもできず、王城を離れた所から伺うことしかできなかった。しかし、 好機は訪れた。北に向かった同盟軍。残された兵力なら、彼の幻術で城を落とせる。早速、 幻の軍隊を呼び出し王城に向かった。 「ククク、無敵の軍隊だ。城の奴らの驚き様。どんなに弓を射かけても、幻の軍隊を殺す ことはできんわ!このまま城に乗り込んで毒を盛ってやる。わしが王になるのだ!」  ボエラの背後から、疾風の様に走り来る騎馬武者達があった。先頭の男が剣を振り下ろ す。ボエラの首が宙に舞った。それと同時に王城の兵の幻が晴れた。男は馬を止める。 「ボエラ・クリム。貴様が帝国についていたことは調査済みだ。あの世でその選択を後悔 するんだな。……王子の説得に負け、帰って来てみればこんなことになっていようとはな」  ウェーバーは開門を命じた。部下と共に城に急ぐ。王城の中にはヨタとリーがいた。 「久しぶりですね。大体のことはリー君に聞きました。最新の情報を教えて下さい」  「よー、ヨタ!生きていたのかお前は!面を見せねえから死んだと思っていたぜ!」ウ ェーバーは馬から飛び降りた。 ──────────────────────────────────────── 「なぜだ。なぜ、僕が監禁されるんだ!出せ、出さないと承知しないぞ!」  マルクは同盟軍の手によって幽閉されていた。マルクは勇敢な若者だが、愚か者ではな い。サラの身に起きたことは、人間1人の手でどうにかできるものではない。彼はそのこ とを、いち早く同盟軍に伝えたのだ。しかし待っていたのは牢獄だった。テスラのプリム ローズへのこだわりは失せてはいなかった。シナモンのことを聞いたテスラは、シナモン に協力させるための人質として、マルクを幽閉させたのだ。シナモンは別の牢に閉じ込め られている。彼らを王城に置いて行ったのは、いざという時に、王国を再び襲うための口 実作りの意味もある。こうしている間にもサラさんは……。前触れもなく牢獄の入り口が 開き、複数の軍靴の音が響いて来た。 「マルク!早く出なさいよ。何ボーッとしているの!プリムローズ様を助けるのよ!」  マルクは驚いた。ヨタ様にウェーバー隊長。一体どういうことなんだ。  「さあ、急げよ。すぐに出発するぜ。王子からの勅命だ。サラを見付だし、保護するの が俺たちの役目だ。お前の協力が必要だろう」ウェーバーが牢の鍵を開ける。 「マルク君。君の話は聞きました。最悪の場合はサラの命を奪わなければなりません」  「そっ、そんな!サラさんの命を奪うだって!」マルクがヨタに迫る。 「いっ、いやぁ、まあその、手掛かりは帝国にあるはずです。今のままではサラに近づく こともできないでしょうから。幸いシナモンのお陰でいつでもサラの位置はつかめます」 「じゃあ、サラさんを助けられるんですか!」 「分かりません。しかし、神の力を操る『SEEK』が関わっていることは明白です」  ヨタは断言した。神々を巻き込むこの戦争が始まったのは帝国だ。全ての答えは帝国に、 ミューという魔女に、そしてデルタ・クロネッカーにあるはずだ。帝国に行く必要がある。 ──────────────────────────────────────── 「突撃!……フッ。俺の生きざまの様だ。何度も同じ所を回り、幾度も戦いを繰り返す」  一体、何度突撃を繰り返しただろうか。キマイラや不死者、百鬼衆が暴れる中、同盟軍 は、最初突然の攻撃に陣を乱し、大きな被害を出した。だが、粘り強く持ちこたえていた。  ラド将軍の適切な指示が、陣の崩壊を防いだのだ。元々、敵を誘い出す作戦。持ちこた えさえすればいいのだ。ラド将軍は、盾と槍を持った兵を前面に押し出す作戦を取る。フ ァラド軍は、槍を避け、側面からの一撃を加えようとする。同盟軍はファラド軍を避ける 様に、回転を続ける。いつしか両軍は、渦を巻く様に攻防を繰り返すようになっていた。  「あれは何だ!」ファラド軍の兵士の1人が叫ぶ。ざわめきが両軍に広がる。  銀色に輝く竜が、両軍の頭上を越え、帝都に向かって飛んで行った。ラスヴィルは黄金 の剣を抜いた。剣を空へ掲げる。天空神への短い祈りを捧げ、剣を帝都に向かって振り下 ろした。空の光が一瞬奪われ、光の剣が発動する。轟音と共に、光の柱が空から城壁を貫 いた。城壁が爆音と共に吹き飛ぶ。王子は、再び黄金の剣を空に掲げた。  「神は我々に味方しておるぞ!今だ!攻める時が来た!」ラド将軍が突撃を命じる。 「クッ。女神が姿を消し、敵には神が味方をするか!いいだろう。神の力には屈さん!」  叫び声を揚げながら一騎打ちを挑んで来た兵士を、愛馬雷神号の蹄で一蹴する。  「キマイラか!」リオットに指揮された旧アンペア部隊がファラドの退路に侵入してく る。  突撃を繰り返していたファラドは、いつの間にか敵陣深く入っていたのだ。 「魔法隊は射撃、槍隊は壁を、抜刀隊は俺の周りに密集。騎兵は突撃、包囲を突破しろ!」  極めて冷静にファラドは対処する。しかし兵士は浮足立った。キマイラ部隊の中央に、 カロミリアン姫の姿を認めたからだ。クソッ!数だけの軍はこういう時に役にたたん! 「全員密集陣形だ。右翼を突破して本隊に合流するぞ!」  そう叫ぶと、自ら戦闘に立って突撃を開始した。右翼に素早く槍部隊が展開し、突撃を 遮る。ラド将軍の部隊が右翼を押さえた。振り返ると左翼からはテスラの部隊が迫って来 る。不意にファラドの視界が崩れた。雷神号が膝を折ったのだ。見れば既に十数本の矢が 刺さっている。ここまで走り続けたのが奇跡というわけか。倒れた雷神号はすぐにこと切 れた。  「雷神号……」ファラドの視界が赤く染まる。落馬の際に頭部から出血したのだ。  起き上がるファラドの目に、地面に落ちている自軍の軍旗が見えた。まったく、最近の 若い奴らは……。ファラドは軍旗を拾うと、寄り掛かる様に立ち上がった。次の瞬間全身 に激痛が走る。目の前には数人の兵士の姿が見えた。終わったな……。 「結局俺は、あんたを、親父を越えられなかったのか……。だが俺は戦い敗れたのだ……」  戦場の音の中、ファラドの最後の言葉はかき消された。熱い血が流れ出して行くのと共 に、熱病の様な興奮が冷めて行き、冷たくなる体は静寂の中へと彼を連れ去って行く。運 命に屈したのではない。俺は運命と戦ったのだ。ファー=ラドは、わずかに微笑んで、座 り込む様に倒れた。彼の父が勝ちどきを上げる。ファー=ラドの首は、一介の兵士に落と された。 ────────────────────────────────────────  ピコ・ファラドはようやく目を覚まし、皇宮から帝都を見渡した。光の柱が立つ度に、 帝都の城壁は崩されていっていた。すぐにピコは階段を駆け降りた。  「お父様、今参ります!」彼女の手を1人の鎧兜の男がつかんだ。  「もう手遅れです。帝都はじきに落ちます……」シオンは首を横に振った。  かつて城壁であった所から、同盟軍が侵入してくる。帝都の中を騎兵達が駆け抜ける。  「全ては終わったのですよ」シオンは静かに言った。 ────────────────────────────────────────  「デルタ・クロネッカーの居場所は分かりましたか?」王子がドムグフに尋ねた。  「どうやらロディマスの探査では、あの館の中から地下に降りた様です」  王子は銀竜に降下を命じた。帝都の家並みを破壊しながら、銀竜が着地する。急襲部隊 はその館に向かった。その場を守る様に、銀竜が帝国軍に炎を吐く。 ────────────────────────────────────────  階段をひたすら駆け降りるデルタ達の耳に、地響きが聞こえてきた。地下へ降りる通路 が震動する。一瞬デルタ達は立ち止まった。この混乱に乗じて潜入に成功したのだ。  「デルタ様。上では一体何が起こっているのでしょう」部下の1人が問う。  「分からない。しかし、気にしている暇はない。先を急ごう」デルタ達は再び走り始め た。 ────────────────────────────────────────  ヨタとウェーバー達は帝国に向け馬を疾駆させていた。突如1人の帝国兵士が姿を現す。  「ヨタ様。私はウィリアム・カーンと言う者です。あなたに頼みがあり参上しました。 テスラ様は、セルビオというキマイラに躍らされています。テスラ様が道を逸らさない様 に、あなたの助力を仰ぎたいのです」ウィリアムがヨタに頭を下げた。  「あなたはテスラの側にいた……」ヨタがウィリアムの顔を確認する。  ウィリアムは表を上げ頷いた。 「テスラ様は、今のままでは王国を帝国の支配下に置こうとするでしょう。テスラ様は私 に語ってくれました。真に目的を達するためには、己が頂点に立ち、己の力でことを成す 必要があったのだと。テスラ様は、そのために王国を滅ぼそうとするはずです」  「そんなことはさせない!」リーがウィリアムに詰め寄る。ヨタがそれを制す。 「あなたは、私がテスラと話し合うことで、彼の考えを変えるようにと言いたい訳ですね」 「そうです。帝国と王国は、これ以上争うべきではありません」  ウィリアムは、背中に背負っていた、2本の杖の内1本を取り出した。彼は同盟以来、 セルビオのことを調べるために帝国に潜入していたのだ。エルダー・ルーツが手渡される。  「分かりました。努力しましょう。これから進む道には、王国と帝国の運命だけでなく、 この世界の運命もかかっているかも知れませんね」ヨタは久しぶりの杖の感触を確かめた。  ヨタは、帝国へと続く荒れた道を振り返った。今は、一時も早く帝国に行く必要がある。 その頃、戦場から遥か離れたクロネッカー領では、クロネッカー領の元家臣達が、デルタ の名の下に独立を宣言していた。クロネッカー領から勃発した独立戦争は、周りの諸領に も飛び火していた。 ────────────────────────────────────────  イプシロンが放つ無数の闇は、ノーデンスの激しい凍気により、動きを鈍らされていた。  「ハハハ!ミューとはこの程度の力か!」ノーデンスの氷の剣がイプシロンの首を掠め る。  イプシロンは瞬間移動でその場から離れ、透明のチャクラムをノーデンスに放った。空 気を引き裂くチャクラムは、ノーデンスに近づく前に、霜を着込んで脆く砕け散った。ノ ーデンスの放つ凍気に耐え切れず、幾人かの百鬼衆が凍りつく。頭上から声が発される。  「相変わらず威勢がよいな。いつまで待ってもやってこないから、こちらから出向いて やったわ!」上空に、闇と共に人影が現れた。  「来たな、ミューよ!」ノーデンスが宙に飛び、黒衣のサラに氷の剣の一撃を与える。 「駄目!SEEKにはかなわないわ!ノーデンス、あなたも融合させられてしまう!」  黒衣のサラは、氷の剣を手で払った。剣が呆気なく吹き飛ぶ。そしてもう一方の手をノ ーデンスに伸ばした。「駄目!」イプシロンの声が響く。ライザの体が雪原にゆっくりと 落下した。ミュー、黒衣のサラはゆっくりと地上に降り立った。指を動かすと残りの百鬼 衆が消滅する。  「どうしてお前は私たちの邪魔をしようとする。ミューの考えに賛同して、ミューにな る道を選んだお前が何故……」サラはイプシロンを睨んだ。 「それは、人が弱い者だからです。ミューの様に強く生きれる者は、人間のごく一部。残 りの多くの者達には、神の力が、いや神という支えが必要なのです」  「……愚かな。我々は、幾人かの神の器を作るために、数々の国に女として入り、血を 交ぜ濃くしていった。そして、血が交わることにより、その力が強くなると教え続けた。 その行動が、母となることが、お前に人としての、心の弱さを呼んだと言うのか。我々は 神々と戦うために、己らをも道具とする覚悟だったはず!」黒衣のサラが声を張り上げる。  「……そう、確かに誓ったわ。でも、そのために、我々に利用されるだけのために生ま れて来たあの子の顔を見ていて、私は耐えられなくなったのよ!」イプシロンは叫んだ。  「聞いたでしょう、イプシロン。我々ミューは決して一枚岩ではないのよ。いつ自分達 で争うかも知れない。神達と何ら変わりはないのよ。後4人!お前に我々を邪魔すること はできない!」黒衣のサラ、ミューは上空へと飛び立った。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■今回のシナリオ■ ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------  今回参加者を募集するシナリオは、以下の1種類です。 ●シナリオ14『神への挑戦者』  ミューは空へと飛んだ。目指すは天空神プルーム!そして大地母神、海神、秋の女神フ ルーティア!ミューの進撃を、神は既に阻むことはできなくなっていた。例え残りの神が 全て力を合わせたとしても、ミューを打ち破ることはできないだろう。全ては人の手に託 された。帝国の地下、ミューの鏡の間にデルタは走った。また、その後ろからはラスヴィ ル王子達がデルタを追いかける。同盟軍は、帝都を今にも完全に掌握しようとしていた。 ヨタとウェーバー達一行は、煙を上げる帝都を遠くから見た。次回最終回、世界の運命は ……。 ・ミューの一言「あと少しで全てが終わる。全ては計画通りに……」 ・ラスヴィルの一言「デルタ・クロネッカー……僕は自分を抑えられるだろうか」 ・ヨタの一言「大変なことになりましたね。早く帝国に行かなくてはなりません」 ・ウェーバーの一言「話が大きすぎるぜ。冗談がきついよな、まったく」 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■第7回名声ランキング(敬称略) ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ●18point:村岡博幸(イプシロン、マルク=レートVSシナモン、リー=ラド) ●13point:きむ ゆんすん(エルダーフレイム、エルダールーツ) ●12point:夕惟猗(銀竜、デルタ・クロネッカー、デルタの部下7人衆&クロネッカー家 の元家臣、フォトン・ヘルツ、ミカ・ウェイラン)/どんぶり(ライザ、ノーデ ンス) ●11point:サタクレ(カロミリアン=メルク=ザイン、シオン、セルビオ、雷神号、リオット) ●8point:よっとだ(カジ、リューオとジャコ) ●7point:あめふらし(キャス・クリム、シュレッド、白の凶、バレオ・クリム、ボエラ ・クリム)/NRA(ウィリアム・カーン)/伸幸(アンペア、シータ、ドムグ フ、ラスヴィル王子)/松本彰(エレス・レイシル) ●5point:九条一馬(ダーク・カジェル、百鬼衆) ●3point 風幻(ピコ・ファラド、フルーティア、レッドロード) ●2point G☆G/志柿俊光 ●1point 中島一州  どんぶりさん、きむ ゆんすんさん、よっとださんはイラストで1点です(う〜ん、最 近点数の付け方が厳しいのかな)。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■SEEKの禁忌(タブー) ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------  SEEKには幾つかの禁忌(タブー)があります。これに触れるとキャラが没ったり、 活躍できなかったりします。今までは黙っていたのですが、次回最終回と言う訳でその禁 忌の幾つか紹介することに決めました。今まで没ったりした人は以下を参照にして下さい。 ●未来を決定させる単語は使えない(例:「後の世に〇〇と呼ばれる…」) ●名前が同じキャラは1人しか生き残らない(読み手を混乱させるから) ●全編を通じて「誰かにそっくり」「偽物」「変身能力」は1人ずつまで(強力な能力は  名前と同じ。何よりもいたずらにストーリーを停滞させる) ●世界を滅ぼせる一般人はいらない(そんな世界は既に滅んでいる) ●巨大な力を発動させるのには、数回の準備がいる。「巨大な力は突然ではなく、当然現  れる」(例:ノーデンスの復活。今回の『キマイラ』はページが余ってなければ真っ先  に没にされてたでしょう) ●NPCを殺すのには巨大な力がいる(暗殺は基本的に失敗する) ●同じ冠詞を持つキャラは没になりやすい(例:将軍、将) ●本編と無関係に動くキャラは没になりやすい ●SEEK紙面に書かれていることのみが真実である。キャラシートに書いてあっても、  紙面に出て来なければ未だ真実ではないし、紙面に書かれたことの方がキャラシートに  優先する ●名前の長いキャラは活躍できない(文字数がかかるから) ●ストーリーを停滞および逆行させるキャラは没になる ●キャラシートのないキャラは没になる(ルール違反) ●行動しないキャラ、行動が行動になっていないキャラは没になりやすい ●説明に長い行数(またはイラスト)が必要な行動・描写は没になりやすい ●消化しきれない設定はいらない ●暗殺者には光があたらない ●ストーリー進行に不必要なキャラは没になりやすい  すぐに思い出すだけでもこれだけの禁忌があります。要は、ゲームを盛り立てる方向性 でキャラ・行動を作ればいいわけです。後は文章に散りばめられている伏線を上手く読み 取ることですね。SEEK中盤で、ミューの設定をほぼ当てた人もいますから。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■キャラクター人気投票のお知らせ ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------  SEEK参加者でもそうでない人でもかまいません。好きなキャラクター(PC、NP C関係なく)を5人、1位から5位まで好きなキャラを書いて送って下さい。1位に3点、 2位に2点、3位以下に1点として集計します。 《人気投票途中経過》 ●1位:サラ、ミュー様 ●3位:ヨタ様 ●4位:アンペア、デルタ ●6位:イプシロン、テスラ総統 ●8位:ファラド将軍 ●9位:ウェーバー ●10位:ノーデンス、ライザ ●12位:キャス、シナモン、シェリー、フルーティア、マルク ●17位:カロミリアン姫、セルビオ、バレオ、ラスヴィル王子、ラド将軍(以下略) ●番外:カンガルー募金(5点)、はらたいらに3000点、あめふらし ※テスラに組織票が入っている模様(笑)