●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●                  Maiking of PBM                PBM開始に先立って ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●                                     柳井政和 ver 0.01 2000.01.04 ver 0.02 2000.01.13 ver 0.03 2000.01.16 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■はじめに ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------  「PBMとは」で書いたチェック項目に再び登場してもらいましょう。「PBM」のシ ステムを選ぶ際は、以下のことを参考にして、考えていくと良いと思います。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■自分の利用できるメディアの特性を理解しているか? ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ・一度に送ることのできる情報量はどのくらいか? ・一度に送ることのできる人数はどのくらいか? ・運営するにあたってかかる費用はどのくらいか? ・運営するあたってどのくらいの労力と時間が必要になるか? ────────────────────────────────────────  まずは、自分が利用しようとする「メディア」の特徴を理解しなければいけません。今 回は、インターネットを利用することを前提とします。  インターネットを利用する際、まず選択しなければならないのが、メール中心のシステ ムにするか、ホームページ中心のシステムにするかです。 ────────────────────────────────────────  メール中心のシステムにした際は、文字情報中心で、各「参加者」の情報隠匿度が高い システムになります。  各「参加者」に提示する情報が異なるシステムの際は、メール中心のシステムが良いで しょう。また、ゲーム構造は「閉鎖型」が向いているでしょう。 ────────────────────────────────────────  ホームページ中心のシステムにした際は、情報隠匿度は低いシステム(パスワードを用 いれば高くなります)になります。  また、ホームページによる情報の提示が、そのまま広告効果を持っているので、「開放 型」のゲーム構造に適していると言えるでしょう。 ────────────────────────────────────────  いずれの場合も、メールのみ、ホームページのみにする必要性はないと思います。けれ ども、この比率がゲームの基本的性格を決定すると言えるでしょう。 ────────────────────────────────────────  インターネットを利用した際は、郵便と違って比較的「主催者」の負担は少ないものと なります(経済的条件は除く)。  また、一般に内容を広く公開できるために、「参加者」を随時増やしていく「開放型」 のシステム構造になり易いメディアでもあります。  そのため気づくと、自分の許容量以上の参加人数になっていたなどという状況も考えら れます。  そういった状態になったとき、「参加者」に上限を設けるのか、「主催者」を分散する のか、周期を長くするのか、「参加者」が増えた時点でゲームを終了するように設定する のか。どのような方向性でゲームを維持(終了)するのかもあらかじめ考えておくべきで しょう。  また、そうしたくないのなら、あらかじめその対策をこうじておく必要があるでしょう。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■自分のおこないたいゲームの内容を理解しているか? ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ・参加者の人数はどのくらいにしたいか? ・ストーリー中心にするか、戦闘中心にするか? ・ゲームの世界観はどのようなものか? ・参加者のキャラクターは、世界に対してどのくらいの影響力を持っているか? ────────────────────────────────────────  ここで考えなければならないのは、「参加者」が受け持つキャラクターが、どのような 立場(ゲーム世界に対して影響力を持つ)の人間かということです。  もし全員が貴族ならば、その設定にあったシステムを選ばなければなりません。もし全 員が冒険者なら、その設定にあったシステムを選ぶ必要があります。  貴族もいれば冒険者もいるのならば、その設定に合ったシステムをそれぞれ選ばなけれ ばなりません。 ────────────────────────────────────────  また「参加者」の人数も重要です。  戦略型の「PBM」をおこなうならば、「PBM」中に使われる力(領土、兵数など) を人数で割らなければならないからです。  また、「参加者」が扱うキャラクターの影響力の総和が、「PBM」中で行使される全 影響力に対して小さければ、ゲームシステムは厳密でなくとも破綻を来しません。  しかし、ゲーム中に使われる全影響力に対して、「参加者」の影響力が大きいほど、ゲ ームシステムは厳密性を要求されます。 ────────────────────────────────────────  理由は、「PBM」中で行使される影響力に対して、「参加者」が扱うキャラクターの 影響力の総和が大きいほど、マスターの自由裁量の部分が減るからです。TRPGでよく 使われるマスターの権限は、「PBM」では選んだシステムによっては使うことはできま せん。 「PBM中の全影響力」−「参加者が扱うキャラクターの影響力の総和」=「マスターが自 由裁量できる力」になります。 ────────────────────────────────────────  「主催者」が自由裁量できる力が大きいシステムはRPG的、小さいシステムはシミュ レーション的とも言えるでしょう。  自由裁量の部分が最小のものとしては、チェスや将棋、ネットワーク対戦型のゲームが 挙げられます。また、最大のものは一人で書く小説になるでしょう。 ────────────────────────────────────────  自分がおこないたい「PBM」を理解しなければ、これらの力関係は設定できません。  まずは、「参加者」一人あたりに与える影響力と、予定参加人数を比較して見てくださ い。  「主催者」が自由裁量できる力がマイナスになっている場合(将来なる可能性がある場 合)は欠陥のあるシステムです。数人の「参加者」の協力によって、世界が滅ぶバランス 関係です。  その際は、もう一度自分がどういう「PBM」をおこないたいかを考え直してください。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■どのような参加者をターゲットにするか? ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ・参加者の対象年齢はどのくらいか? ・参加者の趣味や嗜好はどのようなものか? ・参加者の経済状態、ゲームに割ける余剰時間はどのくらいか? ・参加者に求める技術、能力はどのようなものか? ────────────────────────────────────────  「PBM」は一人ではできないゲームです。必ず自分以外の「参加者」が必要になりま す。「参加者」の定期的参加なしには「PBM」は成立しません。  そこで考えなければならないことは主に二つです。いかにして参加させるかと、いかに して継続させるかということです。この二点に話しを絞って説明していきます。 ────────────────────────────────────────  いかにして参加させるか。これは、どのような条件の人を、どれだけの人数集めたいか ということと深く関係があります。  ゲームの設定に奇抜なアイデアを盛り込み、それを「PBM」のウリにしている「PB M」は、「参加者」にある程度の予備知識を要求します。  つまり敷居が高いわけです。知人の「参加者」は増やしやすいでしょうが、外部からの 新規「参加者」は集まりにくいでしょう。もちろん、その奇抜なアイデアが非常に魅力的 なら話は別です。  外部からの「参加者」、つまり「PBM」を探している人は、自分の趣向に合うかどう かという基準で「PBM」を探しています(商業ベース大手ではこの限りではありません が)。 ────────────────────────────────────────  「参加者」が理解しやすく、そして、自分の探している趣向に近いと思わせる設定作り が、外部「参加者」の人数を増やしていく上で重要です。  参加してみるまで内容が分からないゲームに人は興味を持ちません。ターゲットとする 「参加者」の特徴を理解することが重要になります。 ────────────────────────────────────────  次に、いかにして持続させるかです。これは、経験的な感想なのですが、「参加者」の ゲーム内における影響力と関係しているようです。  特定の「参加者」の影響力がいつも高く、その一方で特定の「参加者」の影響力がいつ も低いシステムがあったとします。いつも影響力が低い「参加者」は継続して「PBM」 に参加してくれるでしょうか。 ────────────────────────────────────────  いかにして持続させるかということは、ゲームのシステムに深く関わります。  勝敗の存在するシステムなのか。キャラクターが成長するシステムなのか。新規加入者 と従来の参加者との差別化をおこなうか否か。  ゲームのシステムは、「PBM」のゲーム的処理(戦闘ルール、行軍ルールなど)以外 にも、参加者の心理的欲求を満たすということも考慮にいれて作成する必要があります。 ────────────────────────────────────────  「参加者」は、「PBM」で勝敗を争うためだけに参加しているわけではありません。 「PBM」で心理的満足感を得るために参加しているのです。  その満足のひとつの方法として、勝敗や成長などのルールがあるのです。  緻密で厳密なルールを選ぶのもけっこうですが、単純でも「参加者」の快感を刺激する ルールを考慮することも「PBM」には重要です。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■自分のおかれた状況、能力を理解しているか? ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ・PBM参加期間中に割ける時間はどのくらいか? ・自分の作業効率はどのくらいか? ・自分のテンションを開催期間中維持できるか? ・自分の健康状態、家族の健康状態は良好か? ────────────────────────────────────────  「PBM」をおこなう上で重要なことのひとつに、「主催者」に負担をかけないという ことがあります。 ────────────────────────────────────────  時間と労力をかければいくらでも見栄えのあるゲームを作ることができるでしょう。  しかし、それは商業ベースでおこなう場合のことです。いえ、商業ベースであっても、 「主催者」の負担を軽くする努力を怠ることはできません。  「PBM」の負担が重くなりすぎると、「主催者」が続行不可能になります。  初めての「PBM」だから、しっかりとしたシステムで、すごい会誌を作って、文章だ けでなくイラストもふんだんに盛り込んで・・。  夢は膨らむでしょうが、よく現実を見つめて下さい。あなたは、「PBM」だけで生活 をしているわけではないはずです。「PBM」の負担をいたずらに増やすことは、あなた の生活を圧迫することにつながります。 ────────────────────────────────────────  負担を軽くしようと考えることは良いことです。  そうすることによって、自分がおこなおうとしている「PBM」の本質を理解すること ができます。それは、必要なものと不必要なものを見分けなければならないからです。 ────────────────────────────────────────  また、「PBM」を始めようとする人に多いのが、うまい文章をかく方法がわからない という人です。  「PBM」の「主催者」は、小説家ではありません。私は、目指す所は新聞の文章だと 思っています。  新聞の文章のように、必要な情報を読み手にわかりやすく確実に伝達できる。そういっ た文章が「PBM」には望まれると思います。これは、小説形式の「PBM」だけでなく、 戦闘中心の「PBM」においても同様です。 ────────────────────────────────────────  そして、情報を編集する能力も非常に大切です。情報は文章だけではありません。数字 データもそうですし、イラスト、内容の構成、システムの優先度など、数々の情報を編集 できる能力が望まれます。  事実を的確に伝える能力と、物事を編集する能力。この二つが「PBM」において、最 も重要な能力です。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■ゲーム開始後の展開を考慮しているか? ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ・ゲーム終盤の作業状況を予測できているか? ・ゲーム開始後の不測の事態の切り抜けかたを考慮しているか? ・参加者をどう誘導していくか、どう育成していくかのプランは? ・ゲーム開始後、参加者の意見を吸い上げる方法を考慮しているか? ────────────────────────────────────────  ゲーム開始前に、ゲームの展開を考えておく必要があります。  これは、最終的に考えた通りにするのが目的ではなく、現在の状況が当初の予定とが、 どれだけずれているかを確かめるためにおこなうために必要です。  これは、ゲームの過剰な逸脱や暴走を防いでくれます。 ────────────────────────────────────────  最初から全てのことを予測することはできません。しかし、ゲームの展開とは別に考え ておかなければならないことが二つあります。  「参加者」からのフィードバックによる「PBM」の改善(「主催者」の技術向上も含 む)と、「参加者」の育成です。 ────────────────────────────────────────  「PBM」は最初から完全な状態でスタートするわけではありません。  問題が発生したとき、その問題を解決するためにシステムを修正できないシステムは、 作るべきではありません。  「PBM」は、一度始めると、おいそれと中心のシステム変更はできません。予め修正 が入ることを予測して、システムは余裕のあるものを作るように心がけるべきです。 ────────────────────────────────────────  そして、「参加者」の育成です。  「PBM」の「参加者」は、すべてがベテランである可能性は、まず無いと言ってよい でしょう。「PBM」初参加の人もいれば、期間は長くともあまり正しくないプレイをし ている「参加者」(悪いベテラン)もいるでしょう。  このような人たちを、ゲームを進めていくことによってベテランに導けるようなシステ ム作りが重要となります。  このことは、「主催者」の負担を減らすことにも繋がります。初心者はいつまでも初心 者、悪いベテランはずっと悪いベテランでは、本当に楽しく「PBM」を主催することは できないでしょう。  良いベテランを育てることは、主催者のためでもあるのです。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■ゲームの諸条件に適当なシステムかどうか? ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ・主催者、参加者の負担はどの程度か? ・不必要な部分、無意味な部分は極力省いているかどうか? ・本当に必要な部分が、きちんと存在しているかどうか? ・もっと効率的な方法はないか? ────────────────────────────────────────  ここまでくれば、ゲームのシステムはほぼ完成していると言って良いでしょう。残るは 最終的なチェックだけです。  友人を捕まえて、「PBM」の内容を5分程度で話してみましょう。  最初の1分で、その友人が面白そうだと思えば(理解させられれば)、 ある程度の概要がまとまっていると言えるでしょう。  5分以上かかっても説明できない場合は、あなたはまだ自分がおこなう「PBM」を理 解してないと言えます。  最終的には、始めて会った人に1分以内で自分の「PBM」を紹介できるようになれば、 良いシステムが完成しているといえるでしょう。