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2007年07月02日 10:22:03
危険な情事
 映画「危険な情事」のDVDを五月中旬に見ました。

 原題は「Fatal ATTRACTION」。「fatal」は、致命的な、破滅的な、運命の、宿命的な。「attraction」は、魅力、誘惑、呼び物です。「危険な情事」というのは、上手い邦題です。

 1987年の作品で、主演はマイケル・ダグラスとグレン・クロースです。

 非常によくできていました。面白かったです。



 映画は、「たった一回のつもりで、お互いに遊びとしてやった不倫だったのに、相手の女が凶悪なリストカッターだった」という話です。

 おかげで男性は、付きまとわれて、家族の命を危険にさらされます。

 誰にでも起こりうることだし、健全な男性としては、「まああんな風に誘われれば不倫をするだろうな」と思うようなシチュエーションなので、かなり身近な話で恐ろしいものでした。



 映画を見ながら、ジャレド・ダイアモンドの本を思い出しました。

 だいたい生物は、雄と雌の体重の比率ぐらいの伴侶を持つという話で、人間は男性の方が重いので、1.1人ぐらいの妻を持つということが書いてありました。

 人間の雄は、より多くの相手に子孫を残せば生物学的に勝ちなのですが、「相手を選ばないと怖いよね」というのが、この映画だよなと思いました。

 人間の中身は外見からではすぐに分からないので危険です。



 少し、主人公の反撃についても書いておきたいと思います。

 主人公(マイケル・ダグラス)は、不倫の相手(グレン・クロース)から様々な嫌がらせを受けても、後ろめたさがあるので、なかなか反撃できません。

 これは、戦い方として間違っているなと思いながら映画を見ていました。

 家族を守るという目的があり、相手を敵だと認定したならば、全力で叩き潰しにいかないと駄目だろうと思いました。

 まあ、法治国家なので、法律に引っ掛からない範囲で行わないといけないので、なかなか大変なのですが。



 以下、粗筋です。(ネタバレあり。ほぼ最後まで書いています)

 主人公は弁護士。彼は出版社のパーティーで一人の女性に出会う。

 その女性と、再び出版社で出会った彼は、一夜の情事を行う。主人公の妻は留守だったからだ。彼は、女性と情熱的なセックスを行う。

 妻の留守が二晩続いた主人公は、一夜のつもりが二夜女性と過ごす。そのことで、不倫の相手は主人公に依存を始める。彼女は、家に帰ろうとする主人公を引き止めるために手首を切る。

 どうやら、やばい女に当たったらしい。主人公は彼女から距離を置き、関わらないようにする。

 それからしばらく経ち、再び女がやって来た。彼女は妊娠したという。そして不倫の相手は、主人公の家庭を破壊するための攻撃を開始する。

 妻に不倫を知らせたくない主人公は、決定的な反撃に出ることができずに、ずるずるとその女性の嫌がらせを受け続ける。

 なぜ、そんな不可解なことが起こるか分からない妻と子供に、主人公はきちんとした説明ができない状態が続く。

 不倫相手は、その主人公の弱点を突く攻撃を繰り返す。

 妻と子供の命が危険にさらされるに及んで、ようやく主人公は全てを打ち明ける。そして、そのことを女性に告げる。

 攻撃の手掛かりを失った女性は、妻を殺しに家にやってくる。そして、血みどろの格闘が始まる……。



 DVDには、インタビューが付いていました。

 その中で面白かったのは、この映画の後、イギリスに行くと「ウサギを煮る女」という単語ができていたという話です。

 映画中、子供が大切にしていたウサギを、不倫相手が煮殺すという場面があります。それを受けた言葉で、「不倫相手としてヤバイ女」を指すそうです。

 けっこうショッキングなシーンなので、なるほどなと思いました。



 また、インタビューによると、最初の完成時点では、ラストは全然違っていたそうです。

 不倫相手の女が、勝手に自殺して終わるという話だったそうです。

 しかし、試写を行ったところ、不満続出で、「敵をぶっ殺せ!」という意見が多く、今のままでは観客が納得しそうにないということで、最後に殺し合いシーンを持って来たということでした。

 これは、正解だったと思います。最後のカタルシスがないと、映画としては尻すぼみで終わってしまいますから。

 こういったエピソードを見ると、文芸作品でないのならば、試写で修正するのは大切だよなと思いました。



 インタビューによると、映画公開後の人々の反応についても言及していました。

 男性からは概ね好評だったそうで「よくやってくれた!」「すっきりした!」という感想が多かったそうです。

 女性からは、フェミニスト団体から抗議があったそうです。

 女性をモンスターのように描いていることについてか? それとも、妊娠させた男性の責任を追及するようなことか? と思っていたら、全然違いました。

「職業に就いている女性が、全員ああいった人間だと思わせるような内容」と、抗議があったそうです。

 ちょうど、時期的に、女性の社会進出に対しての是非が問われていた時期だからだろうということでした。

 そういう時期なのかと思いました。
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