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[DVD] 「イングリッシュ・ペイシェント」感想

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2008/10/15(水) 15:20:03
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イングリッシュ・ペイシェント
 映画「イングリッシュ・ペイシェント」のDVDを九月の上旬に見ました。

 1996年の映画で、監督、脚本はアンソニー・ミンゲラ。

 ちなみにペイシェントは患者という意味です。



 最初は「愛が云々という映画か?」と思い、あまり期待していなかったのですが、ウィレム・デフォーが出た辺りからひねりが入り、恋愛系映画でありながら、それ以外の深さも見せてくれて、それなりに面白くなりました。

 そういう意味では、序盤はかなり地味だったと思います。

 理由は、序盤のサスペンスが「旦那のいる女性に恋をするか?」といったものだからです。

 しかし中盤以降は、その結果として「北アフリカの砂漠の地図をドイツに渡したのは誰か? なぜか?」といった大きな話に発展します。

 まあ、確実に後者の方がワクワクします。

 内容的には「純愛」系の物語です。後者でドキドキする「第二次世界大戦の北アフリカ情勢」は背景設定のギミックにしか過ぎないです。

 でもまあ、これを入れたことによって、壮大っぽい物語になったのでよかったのではないかと思います。だいぶ技巧的なやり方ですが。

 後、中盤の最初の方は、二十分ぐらい不倫でいちゃつくシーンが続くのですが、これはちょっと長いかなと感じました。

 映画は162分あるので、少し端折ってもよいかと思いました。



 この映画は、現在と過去回想の二重進行タイプの物語です。

 このタイプの物語は、受け手側は先が読めずに「なるほどこうなったのか」と思えますが、製作者側の創作コストは低いです。

 起こったことを、時系列の一点で分断して、受け手が知らないことをサスペンス要素として順次出していけばよいだけですので。

 まあ、「だけ」と言っても、その情報の出し方や、元々の時間分断前の物語に魅力がなければ駄目なので、簡単なわけではないですが。



 この映画「イングリッシュ・ペイシェント」は、主人公は一人ですが、視点は二つあります。

 一つは、回想シーンでの「主人公自身の視点」です。

 もう一つは、現在シーンでの「患者となった主人公を世話する看護婦の視点」です。

 そして、回想シーンで物語を時系列で進めながら、その合間に看護婦視点での現在シーンを挟みます。



 この現在シーンは、作劇上、二つの役割を担っています。

 一つ目の役割は、回想シーンで“だれる”のを防ぐことです。回想シーンは割りと淡々としています。

 主人公はどちらかというと根暗で口数の少ない人物です。派手なアクション・シーンもありません。北アフリカの砂漠地帯の景色の美しさという要素はありますが、それだけでは間が持ちません。

 シーンを切り替えることで、そういった「丁寧に語りたいけど、観客が退屈する」部分を上手くクリアーしています。

 特に如実にそのことを感じるのは、二つのシーンの興味の比重の切り替えです。

 回想シーンが淡々としている時は、現在シーンで戦争がドンパチあったり、地雷が爆発したりします。

 逆に回想シーンが盛り上がっている時には、現在シーンは穏やかに進みます。

 当然、どちらも盛り上がる時もあります。

 これは、仕掛けとしてよくできているなと感じました。



 二つ目の役割は、回想シーンのサスペンス要素を、現在シーンで与えることです。

 先ほど、「ウィレム・デフォーが出た辺りからひねりが入り」と書きました。これは、回想シーンで彼が出て来る前に、現在シーンでまず出て来て「復讐に来た」ことを臭わせます。

 そのおかげで、回想シーンを見る時に、「なぜ復讐に来たのか?」と考えるというサスペンス要素が加わります。

 こういった仕掛けは、コストが安く、効果が高いです。

 そういった仕掛けを、別の時間軸でやっているのは上手いなと思いました。

 二つの時間軸を切り替えて進める意味のある作劇だと感じました。

 全体的に、だいぶ技巧的な脚本だなと思いました。



 以下、粗筋です。(終盤の直前まで書いています。割とネタバレ度が高いです。映画を見て、ストーリーを知りたい人は、読まない方がいいかもしれません)

 第二次大戦末期、一機の飛行機が撃墜され、全身火傷の男が命を取り留めた。

 彼はイギリス軍の傷病兵として輸送される。そして、一人の看護婦が彼の世話をする。

 その患者は過去を回想する──。

 主人公である彼は、北アフリカにいる冒険家だった。彼は仲間とともに砂漠で地図を作っていた。

 主人公たちの許に、飛行機乗りの友人がやって来る。彼は妻を連れてきていた。主人公は彼女に恋心を抱く。

 そして、夫の不在の時に、砂漠での遭難を経て肉体関係に至る──。

 全身火傷の患者となった主人公の許に、一人の兵士がやって来た。彼は主人公のことを知っていた。そして、彼の罪を知っていると仄めかす。

 過去──。

 主人公と不倫の関係に陥った女性の夫が戻ってきた。そして、二人の関係に気付く。彼はそのことで傷付く。だが、そのことで主人公を責めなかった。

 兵士は、その夫の許で働いていた。彼はその後、主人公の取った行動のせいで、軍事機密を流した人物と間違われて拷問に掛けられる──。

 主人公は砂漠で調査を続けていた。その彼の許に、友人夫婦が飛行機でやって来る。

 だが、その飛行機は主人公目掛けて墜落する。主人公は辛くも助かる。そして、飛行機を操縦していた夫は死に、妻は重傷を負う。

 それは、不倫を知った夫の取った行動だった。

 主人公は、不倫相手の女性を洞窟に運ぶ。そして、必ず戻ってくると言い、単身出発する。

 彼は砂漠の地図を持っていた。そして、愛する女性を救うために徒歩で砂漠を渡り始める……。



 終盤の「イングリッシュ・ペイシェント」の意味は「おおっ」と思いました。

 それほど大きな謎でもなく、最大のテーマでもないのですが、さりげなくパンチが利いていました。

 しかしまあ、途中、不倫が始まってしばらくは、エッチばっかりしまくっているなと思いました。




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