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2009年03月31日 20:01:14
 2008年の読書のまとめ十一月分です。

 星による評価の基準については前述の通りです。

● 2008年11月(4冊/計74冊)



■ 03 空飛び猫(アーシュラ・K. ル・グウィン)

(★★☆☆☆)

 前から、一度目を通しておこうと思っていた一冊。ああ、完全に絵本なんですね。

 特に面白いというものではなかったです。その内やろうと思っていることと、ネタが被るかどうかの確認だったので役には立ちました。

 先行作品の確認は、義務としてやっておかないといけませんので。



■ 09 天使の囀り(貴志 祐介)

(★★★☆☆)

 よく出来ているのは分かるけど、「怖いか?」と問われると怖くはなかったです。

 理知的で上手い人に時折あるのですが、出してきた情報から、詰め将棋的に意図が見えてしまうことがあります。そのパターンです。

 特に、生物学、ネット、引き篭もり、新興宗教当たりのコンボで、私に基礎素養がある情報が多かったために先が読めてしまいました。

 貴志裕介は、今のところ「黒い家」が怖かったのですが、今読んで怖いかどうかは疑問です。

 最近分かったことですが、読む時の精神年齢や基礎知識は重要で、それによって、同じ作品でも恐怖を感じたり、感じなかったりします。

 そういった意味では、読む時期が違っていたら、怖いと思える作品だったのではないかと思いました。

 よく出来ている作品であるのは事実ですので。



 あと、この作品で一点気になった点があります。

 世界が閉じてしまっている……。

 民俗学的な話や、神話系の情報が若干入っているのですが、物語に必要な部品を選定して、そこで一つの設定を作ってしまっているために、世界に広がりがなく、非常にミニマムな印象になってしまっています。

 実際は、それ(選択した伝承情報)は、世界の情報の中の一部であり、それとは相容れない世界が地続きで外に広がっているはずです。しかし、今回の話に必要のない知識を刈り込んでしまっているために、話が箱庭的に閉じてしまっています。

 それがちょっと気になりました。

 アウトブレイク系の話で、「恐怖」が「外の世界」に広がっていくところに恐怖感を持たせないといけないはずなのに、文系的なバックボーンの部分で閉じた世界を与えてしまっているために、外への広がりを感じませんでした。

 これは、ちょっとまずいんじゃないかと思いました。

 まあ、目くじらを立てるべきところではないとは思うのですが。

 また、それだけでなく、情報に冗長性がなく「この小説のために出している情報」という雰囲気を、いろんな場所から感じました。

 キャラクターの会話に、遊び(冗長性)がなさ過ぎです。出てくる人物、出てくる人物、凄い勢いで解説的な台詞を吐いていますし。

 ちょっとそこら辺が気になりました。



■ 16 陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫)(夢枕 獏)

(★★★☆☆)

 なかなか面白かったですが、絵が入ったマンガ版の陰陽師の方が面白さはアップしていると感じました。

 最近、定家を調べているせいで、自分の中で「俺平安」が出来つつあるのですが、そういった世界を作り始めると、描写の細部を、どれだけ「絵として」思い浮かべらられるかを意識し出してしまいます。

 マンガは「絵」の媒体なので、それがストレートに表現できるのですが、小説はそこが弱点だったります。

 どこが弱点かと言うと「言葉」と「絵」がリンクしないところです。

 小説の魅力の一つに、詳細な描写で、その世界のイメージを立体的に脳内に構築するというものがあります。しかし、あまりに時代が遠いと「用語」と「イメージ」がリンクせず、説明が詳細になるという問題が発生します。

 夢枕獏は「細部を描写せず、勢いでぐいぐいと押す」タイプです。そのため、用語とイメージのリンクが難しく、というかリンクは意図的に飛ばしています。「雰囲気だけ読み取れ」という感じです。

 なので、マンガ版の陰陽師の方が、個人的には好みでした。




 この手の歴史物で難しいなと思うのは、物の名前を調べることと、それを、読者に伝わる形で、リーダビリティを下げずに表現することだと思います。

 物の名前を調べるのは本当に難しいのですが、調べたからと言って、相手が知らなければ、それは言葉として利用できなかったりします。

 言葉というものは、本当に使い方が難しいなと思います。



■ 17 センスをみがく文章上達事典—魅力ある文章を書く59のヒント(中村 明)

(★★☆☆☆)

 色々な表現手法を、実際の名文などを元に、事典形式でまとめた本。

 それほど有用な本ではありませんでした。まあ、表現なんて、一部を取り出してもそれほど役には立ちませんし、何より、そういった抜き出し方は、その原文を読んでいることが前提ですので。

 この手の「表現を解説する」系の本でよく思うのは、「編纂者のリスペクトは、一般人には伝わらない」ということです。

 こういった本を編集する人と同じほどには、普通の読者は本を読んでいません。だから、同じ視線で共感することはできません。

 本の筆者にもよるのですが、時々リスペクトが強く出過ぎていて、「解説」ではなく、単に「感想」(というかファンレター)になっている本も多いです。

 こういった本を、本当に有用に作るのは難しいなと思います。
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