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2012年10月01日 17:51:26
未知への飛行/フェイル・セイフ
 映画「未知への飛行/フェイル・セイフ」のDVDを一月下旬に見ました。

 1964年の映画で、監督はシドニー・ルメット。脚本はウォルター・バーンスタイン。主演はヘンリー・フォンダです。

 傑作。

 日本ではあまり有名ではないようですが、シドニー・ルメットだし、見ておいて損はない作品だと思います。緊迫感が凄まじいです。いやあ、ラストの絶望感と喪失感が凄まじかったです。



● 内容

 冷戦下で、モスクワの爆撃指令を誤って受けた米軍の爆撃機が、モスクワに向かうのを、米ソ連絡しながら防ごうとするという内容です。

 爆撃命令を受けた部隊は、ソ連からの妨害に備えて、外部からの命令を全部無視するように命令されています。

 また爆撃機には、ソ連を出し抜く高性能な機能が多数搭載されています。そのため、ソ連側から撃墜することで止めようとしても問題が発生します。

 爆撃機の機密をソ連に明かすべきかどうか。そして、明かしたからといって、止められるかどうかという問題です。

 もしモスクワに核爆弾が落ちたら、内外への面子があり、報復なしではすみません。全面核戦争に突入することは明らかです。

 その中、米軍基地、大統領、ソ連の首脳部(音声のみ)という三者で、話が進んでいきます。

 割と初期のシドニー・ルメットの映画なので、演劇のように、固定舞台、圧倒的な会話劇という感じで展開していきます。

 そこがいい。

 そして、緊張しっぱなしの高密度した。



● スタンリー・キューブリックからの裁判

 DVDには、当時の経緯が付いていました。

 この映画は、「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」を撮ったスタンリー・キューブリックから、盗作として訴えられたという経緯を持っているそうです。

 でも、両方見た感想としては、「未知への飛行」の方が圧倒的に上です。面白さとしても出来栄えとしても。

 あと、この作品は、ジョージ・クルーニーの製作で、テレビドラマ(生放送)でリメイクもされています。

□ Fail Safe
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Miyuki/2064/tvs/00/failsafe.htm

 原作映画は、非常に面白く、かつ社会派で、人間ドラマが強く出ており、ジョージ・クルーニーが好きそうな作品だなと思いました。



● タイトで骨太な映画

 この映画で一番印象に残るのは、ヘンリー・フォンダ演じる大統領でしょう。優しく、繊細で、力強く、思慮深い。そんな大統領をヘンリー・フォンダは演じきっています。

 そして、このヘンリー・フォンダが大統領だからこそ、壮絶なラストが真実味を持って迫ってくる。

 大統領の役は、基本的に密室でソ連の書記長と電話会談をするだけです。そして、その前後に、通訳と話をするだけです。

 でも、たったこれだけの中に、人柄や意思の強さ、思いやりの深さなどが、これでもかというほど詰め込まれています。会話だけでも、ここまでの演出ができるのだと思いました。



 もう一つの大きな舞台となるのは、軍の指令本部です。ここでは、必死に爆撃機を止めようと作戦が繰り広げられるのですが、一枚岩ではありません。

 仲間の部隊を殲滅してでも爆撃を止めるという作戦に反対の人もいます。ソ連に情報を渡したり、ソ連側に自軍の爆撃機を撃墜させるのを強行に反対して、妨害しようとする人も出ます。

 しかし、大統領のレイヤーから見れば、もし爆撃が成功してしまえば全面核戦争です。それを、一段下のレイヤーの人間は分からない。あるいは、分かっていても、苦渋の選択をしなければならない。なぜなら、爆撃機に乗っているのは同僚だから。

 その苦悩と苦闘が、この舞台では描かれます。



 映画には、もう一つの舞台が用意されています。それは、基地で開かれている、民間人も交えた会議です。

 ここでは、奇妙な逆転現象が発生しています。現状を分析するだけの情報を持っている軍の人間の方が慎重派で、そういった情報を持たない民間人の方が主戦派で、議論をぶつけ合います。

 ここも皮肉が利いているなと思いました。戦争は、民衆の熱狂で起きてしまう。そういったことを、感じさせる内容でした。



 以下、ネタバレありの感想です。



● ラストの絶望感と喪失感

 この映画のラストは凄まじいです。

 何が凄まじいかというと、全面核戦争が起きることを防ぐために、大統領が採った苦渋の選択が斜め上だからです。

 アメリカの爆撃機は、モスクワを目指して、部隊を失いながらも敵の迎撃機をなぎ倒して進み続けます。米軍側は、一機でもたどり着けば、モスクワを壊滅させることができます。そして、それは現実になろうとします。

 そこで大統領は、全面核戦争を防ぐために、相手側の面子を最大限に保ち、誠意を見せるための提案を行います。

 それは、もしモスクワが爆破されたならば、同じ規模の核爆弾をニューヨークに落とすというものです。

 ソ連の書記長もドン引きするレベルの譲歩を示します。しかし、現実問題として、小手先の小細工では、全面核戦争は避けられません。

 大統領も書記長も、最悪の事態を防ぐために最大限の努力をするという前提で、この条件で事態を処理することを決めます。

 そして、この日、大統領の奥さんはニューヨークにいます。この妻を呼び戻すことは、誠意に欠けます。大統領は、妻をニューヨークに残したまま、事態の処理に全力で当たります。

 この映画の凄まじいことは、この提案が現実になることです。

 核爆弾はモスクワに落ち、誠意を見せるために、ニューヨークにも核爆弾が落とされます。そして、全面核戦争は辛くも防がれます。

 最悪の事態は回避できたものの、この絶望感と喪失感は凄まじいです。なまじ全面核戦争にならない分、現実感を持って迫ってきます。

 凄まじい映画でした。



● 粗筋

 以下、粗筋です(ネタバレあり。最後まで書いています)。

 米軍の爆撃機に誤った指令が出る。モスクワの爆撃だ。そして、安全ラインを突破した爆撃機はモスクワに向かう。

 米軍や大統領は、必死に止めようとするが、爆撃機は止まらない。ソ連に事情を説明し、協力しながら作戦を遂行するが、爆撃機は迎撃をかいくぐってモスクワに向かう。

 大統領は、もしモスクワに爆弾が落ちれば、全面核戦争を防ぐためにニューヨークを核爆撃することで手を打つことを提案する。それは双方苦渋の選択だった。

 そして、核爆弾はモスクワに落ち、ニューヨークにも核爆弾が落とされる。二つの巨大都市は消滅する。
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