猪槌城用語辞典 ○ あ ・ 蒼竹(あおだけ・PC)…氷室子飼いの忍者<氷河>の一人。城下町で抜け忍の抹殺    を命じられ、妹白梅の身を案じる。その後、白梅を保護した真鉄の元に就く。PC    の中で始めて月の都人の殺害に成功する。鈍砂山攻防戦に備えて他の抜け忍と共に    山中で細工を行なっていたところを雪組の粛清に遭う。 ・ 青鉢巻(あおはちまき・組織)…万字賀谷で起きた雪崩の中で木に変じた爪牙によっ    て救われた月組衆達の呼称。爪牙の直属の部下として期待されるが、直後に復活が    断定された深雪に対抗するため、爪牙の手により急激に神通力に目覚めることを強    いられ、その多くが死亡するが、豪雪により苦境に陥った爪牙に呼応し、曹沙亜を    始めとする数人が蘇生した。 ・ 明日香(あすか・PC)…忍達の戦いの中で親を亡くし東慶寺に引き取られた事から、    花扇の目に止まり、禿とされた少女。魅遊に頼まれ清水に怪異を取りに行くが、運    悪く月の都人の降臨に遭遇し、全身に矢を受け死亡する。 ・ 安倍孔明(あべのこうめい・PC)…雷神道場に出入りしている食客の一人。元は外    の者だが、猪槌の里に居ついて長い。普段は雷神道場で会計の雑務をしながら、本    ばかり読んでいた。人を食った名前だが、その名に恥じぬ呪術と陰明の技を持って    いる。鈍砂山攻防戦の後、一般人を猪槌の里から脱出させようとするが、猪槌の里    の崩壊に巻き込まれ死亡する。 ・ 鴉問(あもん・PC)…明光院の一党。異能の武人。タタラの民の集落を警護してい    たところを五伏にあしらわれる。清水にて、外界との接点を渡りを応用する事で探    っている最中、竜脈の奔流に巻き込まれ重傷を負う。鈍砂山攻防戦において、巨鉄    兵に特攻を仕掛けようとした火野熊の動きを封じるが、竜王砲の直撃を受け、蒸発    する。姓は宮本? ・ 彩花(あやか・PC)…花組衆の一人であり、普段は花扇取り巻きの花魁である。た    くみに土蜘蛛を操る。陰の国では御所の門を守護していた。花組にかけられた千重    の呪に巻き込まれ、無数の土蜘蛛の母体となり、果てる。 ・ あゆ屋(−や・店舗)…城下町に新しく興った店。月河で獲れた鮎を清水の塩でくるん    で蒸し焼きにした一品を出す。鮎の油と塩が溶け合い美味いと評判だが、清水の塩    を使うとは、何気に命知らず。蜻蛉が贔屓としており、錐鮫も蜻蛉と接触するため    立ち寄った。 ○ い ・ 十六夜(いざよい・組織)…千重直属の親衛隊。頭目は火野熊。構成員には雇われ者    が多く、暴力的な振舞い等で城下町の民からは敬遠されている。子犬好きという思    いがけない面もあるが、猫好きならばさらに良かっただろう。名前の由来は、猪槌    の里の最古参の部族月組の一組織だが、現在の月組とはまったく関係はない。 ・ 石神油(いしがみあぶら・店舗)…城下町の油問屋。若き日の蜻蛉が、真鉄からしつ    こく聞き質した洋灯の話を元に興し、現在は遊郭街に卸す油のほとんどを取り扱っ    ている。洋灯というだけに、石油を扱っていると思われる。    …この情報を覚えていれば、鈍砂山の戦いで石油が使えたんだよな…    この他遊女たちの化粧道具や、竜神丹等の薬も扱っている。本店は城下町の東、月    河のほとりにある。たまに鍬形が訳ありの怪我人を連れてくる。 ・ 一純(いずみ・NPC)…外界にいる紫の主人であり、愛する人。相思相愛かは不明。    不治の病にかかっている。紫が帰ることはなかったため、死亡? ・ 猪槌城(いづちじょう・建物)…猪槌の里の中心に位置する千重の居城。この中で死    亡した者数知れず。最終的には、崩れ去る猪槌の里から脱出するための箱舟となる。 ・ 猪熊(いのくま・NPC)…猪槌の里の崩壊から脱出した猪槌城が偶然接触した戦国    時代の戦場で、火野熊が殺害した地方豪族の頭領。ここに時は円環をなし、火野熊    は猪熊に取って代り、再び猪槌の里を目指す。今度こそななえの手をつかむために。 ・猪鹿蝶(いのしかちょう・その他)…あがりだ! ・ 猪槌の里(いづちのさと・世界)…千重の呪によって形を与えられた異土。この話の    舞台。京と尾張の狭間にある峠、万字賀谷の先に存在する。 ・ いでの鼻(いでのはな・地名)…万字賀谷から蛇の背に抜ける際に必ず通る切り立っ    た崖地。兵を隠す事もできる唯一の場所である。そのため、雪組を襲うために月組    が陣地を構える場所として選ばれた。 ・ 五伏(いぶせ・PC)…雪組が城下町に放っていた草の者の現在の元締めで旅屋を営    んでいる。外見は白髪混じりの小柄な爺だが、かなりの曲者。明光院との会話は個    人的に当たりだった。直接戦闘を行なうよりは組織をまとめる事を得意とし、猪槌    の里崩壊の折には指導者のいない雪組を暫定的に統率した。老体には堪える。 ・ 陰の国(いんのくに・地名)…城下町地下に広がる洞窟に隠れ潜んだ花組衆、土蜘蛛    に対して、花扇が、花組御所を中心に、地の底の陽届かぬ国として建国を宣言した。 ○ う ・植刃(うえば・PC)…十六夜の組織の一つ「風」に属する剣士。二つ名は「烈風の    植刃」清水で遭遇した怪異の力に恐怖し、それに打ち勝つべく、敵対する雷神の二    重に剣の教えを請うべく、雷神道場の門を叩く。月の都人の降臨後、火野熊と袂を    分かち、雷神と共に戦いを始めるべく鈍砂山に向かい、雪組に月の都人の目的を語    った。光と共に銀の尖塔に攻めかかり、水晶髑髏と千幻を討つ。猪槌の里の崩壊を    生き延びる。 ・ 雲行飛(うんこうひ・PC)…小柄で好色な白髭の老人。最初の描写は婚礼の儀の最    中、猪槌城下で観影に対してセクハラを行なっている場面である。豊臣家生き残り    の家臣の一人であり、幕府転覆を狙い暗躍する中で、明光院こと南光坊天海すなわ    ち明智光秀の存在に常に行き当たる事に気づき、その野望を阻止するため、猪槌の    里に現れる。清水の地で明光院と相対するが、明光院の力の前に敗北、死亡する。 ○ え ○ お ・ 扇屋(おうぎや・店舗)…遊郭街で最も高い見世。筆頭太夫は花扇。実態は第三の忍    軍花組の本拠地であり、地下には猪槌城下に広がる大洞窟へと続く道が存在する。 ・ 黄金蟲(おうごんちゅう・道具)…深雪が死者を使役するために駆使する生物。この    蟲が宿る死者は、記憶、思考能力こそ著しく低下するものの、体力、持久力といっ    た面で生前を大きく凌駕する。宿主の肉体を再生する本能も備えており、鉄像も修    復してしまう。イメージ的には「無限の住人」か? まさかこがねむしとは読ませ    ないだろう。 ・ 大矢野一郎(おおやのいちろう・PC)…外からきた耶蘇教徒。月組に捕らわれるが、    話が面白いという理由から爪牙に囲われる。かなりの酒豪。爪牙や周囲の者に主の    教えを説き、一度を除き戦闘的な行動はとらなかった。月組と行動を共にしていた    が、城下町の難民を月河に避難させるため別行動をとる。    …神を信じる彼には、事実上、猪槌の神である一重はどう映るのだろうか? ・ 「親をなめるな。血がどうした、深雪がどうした。お前は俺と白百合が愛し、育てた    子だ。子がどう思おうが、親は死んでも親であることはやめん。」(−・台詞)…    血が繋がっていない事から豪雪を拒否する娘白雪に対して、豪雪はこう一喝した。    この言葉に白雪は人を信じる事を自分に許し、安らかに死を迎えた。千重や爪牙と    はまた違う、豪雪の強さを語る言葉である。 ・ おみよ(−・NPC)…植刃の最近のお気に入り。慢遊館のおみよちゃん。美代と書く    ようであるが、花扇とは格が違うらしい。 ・ 「俺は何のために生き、死ぬのだ」(−・台詞)…人生の目的を失った鎌井が呟いた    台詞。いったい何人の人間が同じ事を思い、死んでいっただろうか。目的を持つ者    は幸いである。結局、月の都人も一重も本質は等しく、それ以外の存在はすべて彼    らの道具としてのみ生を許されていたのである。ただ、明光院と火野熊だけは違っ    ていたのかもしれない。 ○ か ・ 怪異(かいい・世界)…猪槌城を語る上で欠かせない言葉、概念。浮世の常識が全く    通じない別の存在。そこに飲み込まれた者は、神通力を獲得する可能性はあるが、    存在自体が抹消され、人々の記憶からも消え去るという。しかし、覚書でもあれば    思い出す事が可能であったり、封印されている深雪の話を書庫の番人や蝉雨が知っ    ていたり、とケースバイケースで対応は可能である。怪異を滅ぼす唯一の方法は、    現世との接点を断つ事である。 ・ 骸骨の騎馬武者(がいこつのきばむしゃ・道具)…猪槌城地下に存在する武器庫の中    に納められていた九十九騎の死者。明光院の一党によって破られた猪槌城の四神の    結界に反応して目覚める。体をばらばらにされたぐらいでは造作なく復活する特性    を持つ。ジョン・義理が身を挺した小竜砲によって破壊される。 ・ 回想(かいそう・その他)…主に舞台設定やNPC間の因縁、裏設定を説明するため    に多く用いられる方法。猪槌城では、豪雪と深雪の過去、花扇と滝川の過去、千重    と千念の過去がこのような形で描写されたが、いかんせん多くのPCが利用できる    情報とはならなかったため、活用される事は少なかった。この点、書庫も同様で、    PCへの報酬としての情報の与え方に、今後改善を要すると思われる。 ・ 鏡城(かがみじょう・建物)…猪槌城地下の広大な洞窟内に存在する天地逆の地下要    塞。 ・ かっこ(−・その他)…結果中で<PC>≪NPC≫を区別するためにマスターが用    いた。ゲーム初期の段階では、これが行動シート作成の際の悩み所だった。 ・ 鎌井(かまい・PC)…十六夜の一員。清水において、もっとも早く怪異の脅威にさ    らされ、何もできず逃亡した事から、怪異に対抗する力を得るため巨鉄兵と戦った。    その後、猪槌城を警護中に花扇と出会い、千重を倒す手助けをする事になる。鎌井    は、千重によって滅ぼされた氏族の唯一の生き残りだったのだ。だが、その千重が    花扇によって殺された事によって、一時的に人生の目的を失い、明光院の語るがま    ま、共に江戸に渡る。そこで、民を助けるため江戸に取り残され、生涯を猪槌の里    との接点探索に費やす事になる。なお流派は寺羽流…某自動車学校が元ネタである。 ・ 蟷螂(かまきり・NPC)…雷神道場の先代の主。蜻蛉の父。文武に非常に明るく、千    重に気に入られていた。息子蜻蛉の文の才は認めていたが、剣の才に失望し、鍬形    に道場の後継者として期待を寄せた。二重を巡り、蜻蛉と鍬形に対して相反する言    葉を残した事はどのような心の働きによるものだったのだろうか。 ・ 禿(かむろ・職業)…遊郭に入った少女がまず経験しなければいけない下働き。この    時に太夫等の世話をした時に学び取った所作が、長じてその遊女の財産となる。    別意:花組で下忍相当の者をこう呼ぶ。 ・ 干水(かんすい・PC)…雪姫を火野熊に奪われ、雪組の捜索からも身を隠す必要の    あった厳水が、少年の姿を採った時に名乗った名。城下町を殲滅した月の都人の矢    の雨に巻き込まれ死亡。左手には何があったのだろうか。 ・ 神無月(かんなづき・道具)…雪組頭領の家に伝わる太刀。頭領が神通力を得る儀式    に用いる。深雪が封印された後は、錐鮫の縁者が隠匿していた。その刀身には常に    霜が降り、斬った相手の血が付着する事を防いでいる。婚礼の儀の早朝、錐鮫の手    から深雪に渡る。 ○ き ・ 気候操作(きこうそうさ・能力)…誰か使った? 実はだいぶ使われていたらしい。 ・ 雉乃丞(きじのじょう・PC)…二重を主人の元に招こうと、彼の部屋に潜入し接触    を図るが、夜を迎え女性への変容が始まっていた二重の逆鱗に触れ、問答無用で惨    殺される。当時は誰の配下かも不明だったが、後に信光の配下だったと判明。 ・ 「吸引開始」(−・台詞)…真鉄、山嵐が、竜王砲に弾を装填する際、必ず口頭確認    として連呼する言葉。 ・ 巨森兵(きょしんへい・NPC)…月組の民を守るためにその身を原生林に変じていた    爪牙が、千幻に操られ採った姿。巨鉄兵が子供のように見える偉容を誇る。 ・ 巨鉄兵(きょてつへい・道具)…真鉄が作り上げた鋼鉄の巨人。その動力は清水で採    取された怪異のかけら。そのため、降魔兵器か某エヴァのように“必ず”暴走する    ものと踏んでいたが…動力を伝える術が磁石である事から、イメージ的にはガンダ    ムだったのかもしれない。操縦方法は、動作や各部に対応した板や棒を動かすとい    った風に、極力単純に設定されている。身の丈は三十間(約55m)。    月の民との戦いの最後、その活動を停止した。明光院的には「わたしの巨鉄兵」 ・ 清水(きよみず・地名)…猪槌の里の南側に位置する塩湖。月河の水が流れこみ、穏    やかで美しい湖だが、現在は干上がっている。湖の向こうに浮かんで見える不知火    から海に続いていると考えられているが、不知火の正体は清水に存在する火の怪異    の力の現れであった。開始当初、海に続いているという描写から、クトゥルフが来    ると考えていたのだが… ・ 錐鮫(きりさめ・PC)…月組衆の一人。長身で細身の美形だが、目つきは鋭く、頬    には引きつった傷跡が残る。雪組の内情に詳しく、爪牙に対しても含むものがある。    深雪の言から本来は雪組衆であったことがわかるが、月組に移った理由は明確では    ない。鯨州丸に甘言を用い、意のままに動かす。深雪と火野熊に取り入ろうとする    が失敗する。最後は巨森兵となった爪牙の身から落ち、墜落死した。霧雨? ・ 銀華(ぎんが・PC)…雪組くの一であり、雪姫のお側衆の一人。式神の使い手。月    組の戦いの中で豪雪の身を守ろうとし、爪牙に斬り殺される。その後、深雪の黄金    蟲により生を与えられ、深雪の思うまま動く。再生後は、黄金蟲を纏った刀と、己    の体から噴き出す毒霧を武器とした。ジョン・義理の仇討ちに怒りを燃やした鍬形    に身体を細切れにされ、猪槌城外に吹き荒れる砂嵐に投じられ、滅ぶ。 ・ 銀の尖塔(ぎんのせんとう・建物)…月の都人が城下町の中心に築き上げた拠点。    白子の改造室や月との通信室等がある。竜王砲による打撃と、曹沙亜を中心とした    月組衆によって基礎の岩盤を爆破された事から遂に倒壊する。 ・ 金梟(きんふくろう・PC)…明光院の一党。金梟は通り名であり、本名は捨てて久    しい。クリクリと大きな目と、白い髪が特徴的。日中は真鍮製の遮光器を付けてい    る。口調は端的で、饒舌ではない。終盤、PCとしてはただ一人、銀の尖塔と猪槌    城上空に流れる気力の奔流を目の当たりにする。鈍砂山に待機していたところ、猪    槌の里の崩壊に巻き込まれ死亡する。 ・ 銀狼(ぎんろう・PC)…雪組衆の一人。狼に変じ、匂いを追うことで最初に滝川に    接触した。その後子犬に変じていたところ、十六夜の目にとまり、鈍砂山に連れて    行かれてしまう。そこで、偶然にも雪姫の魂が怪異に投じられる場面に遭遇し、諸    共に怪異に身を投じた。現世に帰還後、雪姫を白雪と名付け付き従うが、豪雪との    親子の意識の違いに心を痛める。千重と戦い、生き残った唯一のPC。塩の帷子に    身を包む。白雪を救出するため潜入した猪槌城内で姉銀華の手にかかり、深雪の黄    金蟲によって蘇生する。しかし、白雪の力により黄金蟲の支配から逃れ、水の神通    力も会得する。白雪に愛を語り、豪雪には次代を担う忍として認められ、猪槌の里    の崩壊を生き延びる。 ○ く ・ 玖須(くず・PC)…雪組の中忍。紗織の兄。まったく耳が聞こず、声も発すること    ができないが、独特の手話と口の動きで意思を伝え、妹を何よりも大切に思ってい    る。彼がただ一度だけ発した声は、妹の名だった。鈍砂山の戦いで、妹を助けよう    として、土宣の前に倒れる。プレイヤーは当初「くす」と読んでいたが、プレイヤ    ーらしいとそそのかし改名のきっかけになったのは、マスター。 ・ 黒鬼(くろおに・NPC)…鍬形のペンネーム。目指せ、印税生活。もとい、般若面を    被り忍者を斬っていた鍬形が禍丸に問われ、とっさに思いついた名。 ・ 鍬形(くわがた・NPC)…城下町にある剣術道場雷神の師範代。凄腕の猛者。城下町    では有名人。元々は雷神道場の奉公人の息子だったが、蜻蛉の父蟷螂にその才を見    出され、剣士としての修行を積んだ。人を傷つける事を躊躇する蜻蛉とは違い、戦    う事に喜びを積極的に見出し、幼少の折には猪槌城内で蜻蛉の両腕を折った事もあ    った。戦いでは終止先頭に立ち剣を振るい、最後には二重の身を巡り、蜻蛉を躊躇    なく斬り捨てた。 ○ け ・ 鯨州丸(げいしゅうまる・PC)…自称月組一の豪傑。かなりの巨漢。棍棒と長刀を    好む。錐鮫の命に従い、力仕事を行なう。また、曹沙亜に稽古をつける一面も持つ。    銃殺された鱗の仇を討つため曹沙亜の命を狙い、嵐、崇を倒しながらも、幹、曹沙    亜の前に倒れる。 ・ 月河(げつが・地名)…鈍砂山に源流を持ち、猪槌の里の東側を流れ、清水に注ぐ大    河。多くの支流を持ち、肥沃な土地は耕作に適している。この土地の収穫量だけで、    猪槌の里の全食糧をまかなう事も可能。月組衆こと水虎の一族が住む。 ○ こ ・ 豪雪(ごうせつ・NPC)…雪組現頭領。厳格ではあるが、部下からは信頼されてい    る。また、珍しく神通力を持たない上級NPCである。娘である雪姫の失踪に狼狽    し、雪組を動かした事から月組の攻撃を招き、氷室にも見放される。一時、掲示板    にて豪雪様アイドル化計画が局地的に盛り上がった。兄深雪と共に先々代頭領の父    を殺す。深雪の妻姫百合を恋慕し、神通力を会得する儀式の際深雪に殺意を抱き、    深雪の変貌を招いた。最後は死を賭して深雪を怪異に葬った。禿頭の仁者。 ・ 氷の鎧(こおりのよろい・道具)…銀狼の腕の中で眠りについた雪姫が変じた鎧。ま    た、氷の剣も存在し、豪雪、銀狼と共に深雪との最後の戦いに臨んだ。 ・ 児玉(こだま・PC)…十六夜の一員。背が低く小太りで、人が良さそうな風貌をし    ている。自称「物見遊山の風来坊」で、日狩の相棒。城下町を殲滅した月の都人の    矢の雨に巻き込まれ死亡する。明光院に見覚えがあったという事から外から来た者    と思われる。第三回の中で本人もその事実を語っているが、その後城下町に流言蜚    語を流すのはどうであろうか。 ・ 「子は親を殺す」(−・台詞)…若き日の深雪が豪雪に不老不死を語る中で放った言    葉。この言葉から他人への愛は感じられない。女は穢れと言い切る等、猪槌城はか    なり男尊女卑な世界観をベースにしている。 ・ 厳瑞(ごんずい・PC)…雪組衆の一人。氷雨によれば、反豪雪派の一人。    月組襲来の隙を突き、雪姫の体を奪い、城下町に逃走し、傷ついた体を雷神道場に    保護される。鍬形によれば、どう見ても悪人面とのことである。雪姫の存在を忘れ    てしまい、その体を遊郭に売りさばこうと道場を抜け出したが、氷雨と火野熊、な    なえに捕まり、雪姫の体を奪われてしまう。以降は、干水の項にて。 ・ 「今度こそはその手をつかむ」(−・台詞)…竜王砲の弾となり消え逝くななえを目    にした刹那、過去を思い出した火野熊の台詞。だが、彼の手がななえをつかむ事は    なかった。 ・ 婚礼の儀(こんれいのぎ・その他)…千重と雪姫(滝川)の婚礼が行なわれた第8話    タイトル。この回は、月の民が登場し千重が死亡する等、猪槌城の転換点となった。 ○ さ ・ 紗織(さおり・PC)…雪組のたぶん中忍。言霊使い。玖須の妹。性格はじゃじゃ馬。    豪雪に一途な想いを抱き、同様に兄を大切に思っている。終盤、金の神通力を会得    するが、その時豪雪と深雪の不和を導いた過去を目撃し、精神の均衡が崩れ、豪雪    の逆鱗に触れ、兄を失うこととなる。その後、兄の敵を倒すが力尽き、豪雪の元に    戻ることもできず、猪槌の里の崩壊に巻き込まれ、怪異に落ちる。さおりん。 ・ 三畳(さんじょう・PC)…城下町でそば屋を営んでいる、実は外から来た草の者。    妻の樹羅を月組赤髪の手の者に殺され、復讐のために忍を狩る。その際、禍丸にな    ぶり殺しにされるところを、正体を隠した鍬形に救われる。恩返しのため黒鬼とし    て月組を狩り続け、遂に月河の戦場で赤髪を襲ったが、返り討ちにあい死亡する。    しかし、この襲撃が赤髪の陣の崩壊、ひいては月組の敗北につながった。    名前の元ネタは、三畳紀。 ・ 斬人許可証(ざんじんきょかしょう・道具)…十六夜の構成員に下賜される、裁く事、    裁かれる事なしに人を斬ることが許される証し。殺しのライセンス。 ○ し ・ 屍解仙(しかいせん・世界)…死して後に生き返り仙人となった者を、唐の国の伝承    ではこう呼ぶ。しかし、けして不老不死の存在では、ない。 ・ 式鬼(しき・PC)…黄金蟲によって復活させられた紅松に深雪が与えた名。その由    来は、自らの四肢を切り離し敵に対して特攻、自爆させる様を、式神を使い死人を    奪う鬼として、深雪が気に入った事による。流れる時の中、徐々に記憶を取り戻し、    最後は土宣の手にかかろうとした白梅を助け、猪槌城内で深雪を倒すため自爆した。 ・ 「式鬼ではない」(−・台詞)…猪槌城内で豪雪、白雪、銀狼と対峙した深雪が命じ    た助力を拒絶し、式鬼の自我が戻った事を端的に示す台詞。しかし、この後に続く    言葉は風にかき消されてしまった。 ・ 「死ぬのはばかばかしい」(−・台詞)…蝉雨が心中を表した言葉。そのために蝉雨    は雪組を裏切り、深雪を裏切り、猪槌の里を抜けようとし、死んだ。 ・ 東雲(しののめ・PC)…雷神に居候している男装の少女。その性は純真で、男所帯    の雷神門下生を和ませていた。本名は山吹という外の者。過去に兄を千重に殺され、    記憶を閉ざし、雨の中放浪するところを二重に拾われる。二重を慕い力を尽くすが、    道具として意識を奪われた二重を目の当たりにし、抱いた殺意を一重に察知され、    抹殺される。 ・ 東雲(しののめ・NPC)…東雲の兄。千重を暗殺しようとして命を落とす。 ・ 重(じゅうorえ・設定)…千重の落胤達に与えられた一字。二重、ななえ(七重)。 ・ 「重の名を持つ者に関しては、私の方で心当たりがあります」(−・台詞)…月の都    人に対抗するため集った、真鉄、明光院達との話し合いの中で、蜻蛉が語った言葉。    誰を指した言葉であるかは明らかである。 ・ 酒仙楼(しゅせんろう・店舗)…城下町の東にある高級料亭。全席個室となっており、    密談には最適。 ・ 修羅(しゅら・PC)…明光院の一党。武士のわりに鉄砲しか能がないと言い切る。    真鉄に願い、六連装リボルバーを手に入れる。江戸から帰還する中、吉野と共に明    光院の命を狙い、地獄に送り帰される。修羅は、明光院が地獄から連れ帰り仮の肉    体を与えられた死者だったのだ。 ・ 樹羅(じゅら・PC)…三畳の妻。実は外から来た三畳を監視していた雪組のくの一。    しかし、いつしか任務を越え、三畳を愛するようになり…月組の者に殺害される。    それは、月の明るい夜だった。 ・ 寿羅(じゅら・PC)…明光院の一党。坊主頭の男。式神を繰る。猪槌城の四神の結    界を破壊した直後、現れた骸骨の騎馬武者の槍に刺し貫かれて死亡。 ・ ジョン・義理(−・ぎり・PC)…剣の腕は立つが性格に難がある雷神門下。戦いで    は二刀流を好むため、他の雷神と違う印象を受ける。元ネタは某八凶星の一人?    その豪放さに目が行くが、鍬形の忍狩りを察知する等勘が鋭い面も持ち合わせる。    二重を救出するため鏡城に向かい、仲間のため自ら小竜砲の弾となり、避けられぬ    死を前にしても、最後まで戦い続けた。暴走する気と共に光の渦となり、散る。 ・ 焦熱(しょうねつ・道具)…猪槌城地下の武器庫に保管されていた、仏教の八大地獄    の名の一つを冠する、朱塗りの鞘に納められている太刀。刃文は乱刃で炎のように    見える。 ・ 小竜砲(しょうりゅうほう・道具)…二重救出に赴くジョン・義理に真鉄が与えた武    器。竜王砲を小型化した人間大砲。 ・ 白梅(しらうめ・PC)…氷室子飼いの忍者<氷河>の一人。紅松と蒼竹の妹。まだ    幼さが残る少女。紅松の死後、抜け忍となり城下町に潜むが、月組衆に狩り出され、    あわやのところを巨鉄兵に乗った真鉄と山嵐に助け出される。以後、行動を共にし、    いつしか山嵐を愛するようになった。猪槌の里の崩壊を生き延び山嵐と再会する。 ・ 白雪(しらゆき・NPC)…滝川によって体と言霊を奪われ、しかし銀狼の手によっ    て、怪異から生還した女性が、雪組の正当後継者としてふさわしくあるよう銀狼に    こう名付けられた。その心は冷たく、世界を永劫の雪に閉ざす事を願った。猪槌城    の主となるべく深雪と対決するが、ねじ伏せられ監禁される。その後脱出に成功し    豪雪と再開するが、血が繋がらない事にこだわり、豪雪を拒む。 ・ 神通力(じんつうりき・世界)…怪異に吸収される事で会得する事が可能なこの世な    らざる力。真鉄が神通力を会得するためには死ななければいけないと言った時には、    かなり困った。上級NPCのほとんどは豪雪、真鉄等を除いて神通力を有している。    PCで会得した者は曹沙亜(木)、土宣(水)、紗織(金)、銀狼(水)、である。    雪組には比較的安全に神通力を会得するための儀式が伝わっている。また、神通力    を得た者は怪異に飲み込まれても死ぬ事はない…脱出する術もないが。 ・ 「神通力を得た者と、神通力を得ていない者では、その力に天と地ほどの開きがある」 (−・台詞)…鈍砂山攻防戦において、雪組衆に対して、土宣が言い放った言葉。そ  れは相対する者にとってはいかなる時も、残酷なほどの真理であった。 ○ す ・ 水虎(すいこ・組織)…月河の東部に住む一族で、月組を組織する。その性はどこか    暗く、常に抑圧から抜け出そうとする。また、新興の雪組に駆逐された過去からか、    変化を嫌う。 ・ 水晶の髑髏(すいしょうのどくろ・道具)…月の都人の首魁千幻が携行していたもの。    千念の仙骨に、気力で振動を制御する回路を施し、仙骨の共振現象を操作できるよ    うにしてある。その目的は、千重が呪の一角として必ず青い目より作り出している    であろう爪牙を奪い取る事にあり、一時は爪牙、曹沙亜を掌中に収めるに至った。    持ち主の千幻と共に植刃の一刀に破壊される。 ・ 崇(すう・PC)…第五回から曹沙亜の配下として登場した月組衆の一人。嵐、幹と    共に曹沙亜の身辺を守り続け、最後は曹沙亜の命を狙った鯨州丸と戦い、肩口から    腹まで長刀に切り下げられ絶命する。 ・ 鈴蘭(すずらん・PC)…扇屋に住む二人姉妹の遊女の妹。姉は向日葵。滝川に会う    ことを無断で目論み花扇に叱責される。その後、滝川の匂いを確認するよう命令さ    れ、猪槌城に侵入する。滝川の匂い、それは若き日の花扇がはじめてもらった給金    で滝川と互いに贈り合った南蛮渡来の花の香水の香りだった。向日葵が持っていた    羽衣を譲り受け銀の尖塔に侵入を試みるが、無数の矢を受け絶命する。 ○ せ ・ 赤髪(せきはつ・NPC)…月組の一部族の長。第一回の軍議からその名が見うけられ    る。三畳の妻を手の者が殺害した事から、三畳に狙われる。月河で行なわれた月の    都人との戦いでは部下を動かしよく敵を食いとめたが、三畳の襲撃に気を取られた    一瞬の隙をつかれ、陣は壊滅、赤髪も戦死した。 ・ 雪月花(せつげっか・設定)…若き日の深雪が、雪組、月組、花組をまとめて呼んだ    言葉。この単語に思い当たった方は、猪槌城開始当初の段階で、花組の存在を予見    できたのではないだろうか。 ・ 蝉雨(せみあめ・PC)…雪組衆の一人。下忍。忍の掟に疑問を持ち、生きたいと願    う彼は、任務を放棄し雪組地下屋敷に潜るが、そこで偶然にも深雪の復活を目撃し    てしまう。その後、月組の拷問を受け死も間近となるが、大矢野一郎の治療と紫の    竜尽丹によって蘇生する。紫の話から外界へ憧れを抱くが、深雪の目にとまり黄金    蟲を埋め込まれ、再び死と隣り合わせの生活に戻る。まずは雪組の下忍相手に、深    雪の元に下るよう勧誘し、豪雪の逆鱗に触れる。その後、鏡城崩壊のどさくさに紛    れ脱走を図るが、猪槌の里の崩壊に巻き込まれ死亡する。 ・ 千幻(せんげん・NPC)…千重を滅ぼすため降臨した月の都人の首魁。矢文の主。    千重、千念の兄。人間であった時の名は幻。大陸で桃源郷を発見した折に、仙の字    を与えられ、仙幻と称する。その後、月の都での描写では千幻と改名しているよう    だが、由来は不明。火野熊を従え、城下町、月組を殲滅するが、植刃、光の手によ    って白子を破壊され、巨鉄兵の竜王砲により月の都ごと消滅する。 ・ 千重(せんじゅう・NPC)…猪槌城の城主である若い男。しかし、猪槌の里が開い    ている時は闇に身を隠す等、奇妙な振舞いを見せる。不死を願い、永劫に至るため    雪姫(滝川)との婚礼の儀を執り行い、その中で雪姫共々花扇に殺害される。事物    を侵食する闇を武器とする。月の都から逃亡し、猪槌の里を作り出した。 ・ 千念(せんねん・NPC)…千幻、千重の弟。生まれつき青水晶の目を持っていた事    から、桃源郷の存在を周囲に確信させ、長じて兄二人と共に大陸で桃源郷を見つけ    出し、仙人となる。月の都に移住するが、延命槽の使用を拒否し最初の死者となる。    彼の死が千重の逃亡のきっかけとなった。水晶の骨を残し、千重が目を持ち逃亡、    千幻が髑髏を所有する。 ・ 仙骨(せんこつ・道具)…仙人が不老不死を目指すために、脆く砕けやすい生物質の    骨と交換した金属製の骨。それぞれ異なる金属の組成で作られている。世界には、    生まれつき仙骨を得た者が存在し、千幻、千重、千念の兄弟もその中に含まれてい    る。 ○ そ ・ 爪牙(そうが・NPC)…猪槌の里で二番目の勢力を誇る忍軍月組の頭領。月組に伝わ    る「青い目」を相続している。開始時は己の力に疑問を抱いていたが、第二回にお    いて、木の神通力を会得する。月の都人を防ぐため森に変じるが、青い眼を逆に利    用され、千幻のくぐつとなり、幼馴染である曹沙亜の声に自分を取り戻す。その名    は千重の道具、爪牙であるという意味が込められている。猪槌の里の崩壊を曹沙亜    と共に生き延びる。 ・ 爪牙の館(そうがのやかた・建物)…月河の葦の原に立つ月組頭領の館。葦の原に幾    つもの離れ屋があり、橋を渡って各棟を行き来する。その橋の下には月組の下忍が    潜む。各族長の部屋があるようである。 ・ 曹沙亜(そうさあ・PC)…劣等感に悩む月組の下忍。爪牙の幼馴染であり、同じ外    れの者として爪牙から共感を抱かれていた。雪組との戦いの中で素質を開花させる。    いでの鼻では神通力を会得した爪牙の変じた木に吸収され、同じく木の神通力を宿    す。その後、月の都人の戦いに備え、雨を呼ぶため古木の洞に篭った影響で、二十    歳過ぎの男の姿にまで成長する。青く染まった髪が特徴。森に変じた爪牙から青い    目の片割れを託される。千幻のくぐつとなった爪牙を幼き日の約束通り救い出す。    猪槌の里の崩壊を爪牙と共に生き延びる。 ・ 「そうだ。忍者は斬ってもかまわない」(−・台詞)…千重と雪姫の婚礼の儀の警備    の手配をしていた鍬形が、許可を求めたジョン・義理に対して答えた言葉。前日に    は巨鉄兵に乗った真鉄も同様の発言をしており、城下町での忍者の扱いの悪さを物    語っている。 ・ 双沙(そうしゃ・PC)…十六夜に籍を置く富裕な庄家の次女。性格はお転婆。剣の    腕は三流。下男の郎蘭に対しては常に厳しく接していたが、恋心も抱いていた。    しかし、郎蘭は鈍砂山で死に、自身も婚礼の儀の中で、家族と共に鯨州丸に無残に    殺害された。 ・ 「外の者は、里者全てを忍びのように言う」(−・台詞)…鴉問の詰問に対して、五    伏がとぼけて答えた言葉。このように見られても無理はないと思うが。 ○ た ・ 第二回結果(だいにかいけっか・その他)…第3話から第5話を収録。早くもこの回    から、メモ帳では開けない分量を猪槌城は誇るようになった。 ・ 「だから俺は、花扇には、めいっぱい甘える」(−・台詞)…蜻蛉がかつて東雲に花    扇を語り最後に言った言葉。女を尊敬する事が男にとって惚れるという事。男に母    性愛を持つ事が女にとって惚れるという事なのだと彼は言った。 ・ 滝川(たきがわ・NPC)…雪姫を誘拐したとして、雪組が探索した謎の女性。 ・ タタラの民(たたらのたみ・組織)…鈍砂山に住む鍛冶を生業とする一族。彼らは、    鈍砂山が治外法権地帯として認められている事から、一般人よりも千重から優遇さ    れていると思われる。とはいえ、ゲーム中では真鉄一人の個性に押され、彼らが描    写される事は少なかった。月の民との戦いと明光院の術によって、全滅する。 ○ ち ・ ちはや(−・道具)…曹沙亜の愛銃。正式名称は種ちはや。爪牙と曹沙亜の命を再三    救った事から、爪牙によって促された曹沙亜が名付ける。曹沙亜の持つ神通力の影    響か、次第に金属部分が木に置き換わりつつある。 ・ ちはやの種(ちはやのたね・道具)…月組衆の生き残りが、銀の尖塔を地下に叩き落    すべく、地下洞窟の天井を爆破するために使用した。ダイナマイト相当の爆発力が    あるものと思われる。種ちはや。 ○ つ ・ 月(つき・世界)…太陽系第三惑星地球の衛星。古来より人々の信仰の対象であり、    また潮の満ち引き等、地球の自然現象にも深く関わりがある天体。そこには、兎、    天人等が住むとされ、巨大ロケットを用い辿りついた西洋の探検家が、巨大な脳を    持つ種族に遭遇したとの記録が残っている。猪槌城の世界では、仙人が暮らす巨大    な怪異として語られている。 ・ 月組(つきぐみ・組織)…雪組と抗争を繰り返す、猪槌の里で二番目の勢力を誇る忍    軍。部族制を布く。その始まりは、千重と共に月の都から移住した弟千念である。    その千念の眼球は「青い目」として代々の族長に受け継がれている。月の民と十六    夜の攻撃により、その構成員のほとんどを失う。 ・ 月の都人(つきのみやこびと・組織)…千重を滅ぼすために月の都から降臨した仙人    達の呼称。怪異を自在に操り、圧倒的な攻撃力を有する。遠くに達する程数を増す    その弓や槍は城下町、月組の集落を容易く殲滅した。仙人の本体は月の都に眠り、    猪槌の里に現れた白子は仮の肉体である。雲などで月が隠れると、月との交信が不    可能になるが、その白い肌は仙骨共振の受信皮膜である。別称エルリ○クの集団。 ・ 月丸(つきまる・NPC)…信光の弟。成人するまで、信光が後見人を務めている。病    床の父から死臭がすると信光にささやいた。信光共々白眉に放逐され、明光院の    下に身を寄せた後の動向は不明。 ・ 土蜘蛛(つちぐも・組織)…猪槌城下に広大な地下世界を築き生息する一族。手足が    異常に長く剛毛に覆われたその姿は人形の獣と呼べるだろう。花組の女達を孕ませ    る事によって繁殖する。猪槌の里存亡の折には、その精が無数に増殖し、花組の女    達の胎の中で孵化するよう千重に仕組まれていた事から、人工的な存在と思われる。    この花組と土蜘蛛の真実は千重の非人間的なおぞましさを浮かび上がらせた。 ・ 積分(つみわけ・NPC)…三畳と共に猪槌の里に侵入し、唯一生き残っている忍者    仲間。復讐に生きると宣言した三畳に白亜の守護を一方的に頼まれ困惑する。 ・ 氷柱(つらら・PC)…雪組の下忍。失踪した雪姫をだしに豪雪の後継を狙うが、失    敗する。その後、扇屋に忍び込み花扇に接触するが、手もなく緊縛されてしまう。    雪姫の記憶を失ったまま猪槌城に向かい、真鉄の元に就く。だが、千重の居室を目    指したため、侵入者と判断され、骸骨の騎馬武者に馬蹄で踏み砕かれた。 ○ て ・ 「敵の真ん中で、俺だけが味方さ」(−・台詞)…深雪復活を記した偽の密書のため    月組から拷問を受け意識を失っていた蝉雨が息を吹き返した時、治療に当たってい    た大矢野がかけた言葉。大矢野のスタンスが端的に示されている。 ・ 鉄鍋(てつなべ・道具)…鈍砂山攻防戦において、白梅が巨鉄兵の操縦席を防護する    ため用意したが、実際は土宣の酸を防ぐために使用された。 ・ 鉄馬(てつば・道具)…火野熊達に月の都人が与えた馬。対巨鉄兵用の秘密能力とし    て、飛行能力を備えていた。 ・ 手長(てなが・NPC)…月組氏族の族長の一人。城下町での雪組攻撃の任に就いたが、    その無能さから全く戦果を挙げる事ができなかった。焦りから長年幽閉していた禍    丸を解き放つが、復讐のため殺害される。 ○ と ・ 東慶寺(とうけいじ・建物)…遊郭街の奥の寂れた一角に、過去にその場で起きた忌    み事を静めるため建立された、遊女のみが参拝を許された寺。その目的は花組衆が    外との行き来に常用する抜け道を提供する事にある。地下には洞窟が存在しており、    扇屋を始め、その他花組衆のいる見世に通じている。また、背中合わせに同名の縁    切寺が存在しているが、そこではしばしば女児が神隠しに遭うという。 ・ 土宣(どせん・PC)…十六夜の組織の一つ「風」に属していたが、清水で怪異を斬    ろうと試み、逆に飲みこまれ意識を失っているところを真鉄に採集される。以後,、    真鉄の庇護の下、水の神通力に目覚め、十六夜に帰参した後は多彩な技で敵対者を    葬っていった。月組との戦いの中では、モーゼを連想する大矢野の眼前で川を割り、    鈍砂山攻防戦では山に火を放ち、玖須を始め多くの雪組衆を葬った。最後は巨鉄兵    の破壊を試み、紗織と白梅の前に倒れる。 ・ 蜻蛉(とんぼ・NPC)…雷神の道場主。石神油の旦那。剣の才は鍬形に劣ると思われ    ているが、それは人を傷つけたくないという優しさの現れである。しかし、そのた    めに父蟷螂の心は蜻蛉から離れ、猪槌の里が最後を迎えた時、鍬形の手により命を    落とす事になる。 ○ な ・ ななえ(七重・PC)…火野熊の傍らに常に従う薄倖の女性。その心は静かな狂気に    満たされているが、腕は雷神の二重と互角だという。実は千重の落とし子。    数ヶ月に一度だけ正気に近い状態になる。生を与えてくれた者として火野熊を慕う    が、鈍砂山攻防戦において、竜王砲に吸引されようとした火野熊の身代わりとなり、    散る。 ○ に ・ 鈍砂山(にびすなやま・地名)…猪槌の里の北に位置する鈍砂山は、良質な砂鉄が採    れる鉄鉱山であり、また、原油も産出している。地下に存在する水の怪異の影響か    らか豊富な地下水脈を有し、侵入するに困難な密林を形成している。タタラの民の    地であるが、神通力の修行の場としても有名で、多くの武人がこの山で修行をして    いる…とは開始時の説明だが、そんなにいたかなぁ? とは編者の感想である。 ・ 「忍者ってのは昼は出てこねえんだなあ」(―・台詞)…第2回での日狩か児玉の台    詞。そのとおりである。 ○ ぬ ○ ね ・ 念じ衆(ねんじしゅう・NPC)…雪組の中でも陰明師を中心に構成されると見られ    る集団。豪雪の血を媒介に、万字賀谷に吹雪をもたらし、月組を封じ込める。しか    し、そのからくりを熟知する錐鮫に指示された鯨州丸によって惨殺されてしまう。 ・ 念射(ねんしゃ・技能)…木の神通力を会得した曹沙亜の攻撃方法の一つ。弾も火薬    も込めずとも、念を込めてちはやより敵を撃つ。雪組頭領豪雪が狙われた。 ○ の ・ 信光(のぶみつ・PC)…月組衆の一人。病床の父に代わり、一部族を代表する立場    に立つが、慢心から雪組の奇襲を受ける等不運が続く。その後、後ろ盾であった父    が死に、失態の責任を名目に、身を寄せていた白眉の部族から放逐され、明光院の    元に身を寄せる。実は女性。明光院によれば、あの男の面影があるらしい。 ○ は ・ 花扇(はなおうぎ・NPC)…扇屋の第一の遊女。遊郭街一の情報通。その実は、第    三の忍軍花組の頭領。東雲、鎌井等と体を重ねる。若き日の彼女と滝川の絆は姉妹    よりも強かったが、掟を破り千重の子を産み落とそうとした滝川を、頭領の座を引    き継いだ彼女は無残に殺害してしまう。そして明かされた真実に、彼女は心を凍ら    せ、己を責めつづける事を選んだ…そして、彼女は再び滝川を殺害する。 ・ 花組(はなぐみ・組織)…猪槌の里第三の忍軍で、すべての構成員は女性であり、遊    郭街を本拠地とする。現頭領は花扇。花組の一員となった者は、土蜘蛛の子だけを    孕むという掟がある。実は、花組は猪槌の里に危機が訪れた時、無数の土蜘蛛を産    み猪槌の里の呪を保つ保険として千重に飼育されていたのだ。そして、彼女達は御    所の中で無残な最後を迎えた。 ・ 花組御所(はなぐみごしょ・建物)…城下町地下に広がる洞窟内に、月の都人から隠    れた花組と土蜘蛛が築き上げた壮麗な邸宅。しかし、外見とは裏腹に、灯りも絶え    果てたここは、のちに花組の墓標となった。 ・ 白亜(はくあ・NPC)…三畳と樹羅の娘。名前の元ネタは白亜紀。 ・ 白眉(はくび・NPC)…信光の父と義兄弟の契りを結んでいる月組の族長の一人。    しかし、その契りも自己の勢力の拡大に利用するためのものであり、任務に失敗し    帰還した信光を罵倒し、月丸共々放逐する事に何ら躊躇する事はなかった。爪牙に    謀反を企てるが、月河で行なわれた月の都人との戦いの中で、ななえに首を落とさ    れる。 ・ 箱庭(はこにわ・道具)…千重が猪槌城内に置く箱庭の中には、猪槌の里が詳細に形    作られている。否、この箱庭こそが千重の呪の要であり、猪槌の里そのものである。    自己防衛機能を備えており、試みに打ち付けた鎌井の拳を焼いた。 ・ 羽衣(はごろも・道具)…月の都人が必ず纏っている衣装。それが千重の所有物であ    ったとしても、持参した火野熊に対して、千幻が交渉の権利を与えた事から、一種    のステータスシンボルである事が推測できる。また、仙骨共振の増幅器、仙人同士    の通信装置としても使用される。 ・ 破魔の矢(はまのや・道具)…明光院が猪槌城の結界を破壊するため、一党に渡した    朱塗りの矢。数は四本。 ○ ひ ・ 日狩(ひかり・PC)…十六夜の一員。その風貌はやせていて、無責任そうな顔。自    称「城下町きっての情報通」で好奇心は強いが、腕はからっきし。児玉の相棒。城    下町を殲滅した月の都人の矢の雨に巻き込まれ死亡する。外から来た者である。 ・ 蟾吏(ひきり・PC)…月組の一人、禍丸の肩から生える首だけの存在。その性は残    虐にして非道。鍬形と戦った際、折れた剣が突き刺さり死亡。 ・ 氷雨(ひさめ・PC)…雪組のくの一。背は低く、長髪の黒髪。いつも表情を変えな    いため、仲間内ではお人形さんと呼ばれている。月組襲来の際、厳瑞が雪姫の体を    かどわかす場面を目撃し、その後を追う。そして、雪姫の体を手に入れた火野熊に    請い、滝川となった雪姫の側に使えるが、婚礼の儀の中で花扇に殺害される場面を    目撃し人事不省に陥り、猪槌城外に吹き荒れる砂嵐に身を投じる。 ・ 一重(ひとえ・NPC)…二重から産まれた赤子。その正体は陰陽合一の儀によって    転生し神に等しき存在となった千重である。2001年宇宙の旅の中で現れたスタ    ーチャイルドのようなものか。 ・ 火野熊(ひのくま・NPC)…千重親衛隊十六夜の隊長。外から現れ,不老不死のため    に千重を殺そうとするが、果たせずその下につく。婚礼の儀の直前、再び不老不死    を問い、千重より羽衣を譲り受け、千幻の下につく。以後、月河の戦い、鈍砂山攻    防戦を戦い抜くが、ななえを失い、過去を思い出す。猪槌の里の崩壊を生き延びる    が、時代の接点から戦国時代にこぼれおちる。この世の果てで恋を歌う親父。 ・PBM(ぴーびーえむ・その他)…プレイ・バイ・メイルの略。郵便等を使用して行な    われるゲーム一般を指し、その歴史は古く、現在でもチェスや将棋等を遠隔地の対    戦者と行なう愛好家は数多い。eメールを使用した場合は、差別化を図るためか、    PBeMと呼ばれる場合がある。 ・ 向日葵(ひまわり・PC)…扇屋に住む二人姉妹の遊女の姉。妹は鈴蘭。言葉が不自    由なため見世にあがる事はない。月の都人の降臨後、言葉が戻ってくる。報告に戻    った御所において、花組にかけられた千重の呪に巻き込まれ、無数の土蜘蛛の母体    となり、果てる。 ・ 氷室(ひむろ・NPC)…雪組の上忍。豪雪の信頼厚い老忍。しかし、雪姫の失踪に    うろたえる豪雪に不安を感じ、その残虐さから怪異に封じ込められていた深雪の封    印を解いてしまう。氷室自身はその直後深雪の手にかかり、黄金蟲によってくぐつ    となる。最後は深雪復活の非を悔い、銀狼に白雪を託し滅ぶ。得意技は、式神を纏    わせた毒手裏剣。 ・ 姫百合(ひめゆり・NPC)…深雪の妻。深雪の封印後は豪雪の妻となる。深雪との    間に娘雪姫を産む。 ・ 雹(ひょう・PC)…雪組衆の一人。滝川探索と称して、城下町で一番大きな遊郭「扇    屋」で遊ぶ。その後、禿たちに紛れ猪槌城に忍びこみ、千重と滝川を発見するが、    滝川に干渉したため、千重の闇に喰われる。 ・ 氷河(ひょうが・PC)…氷室子飼いの忍者、紅松、蒼竹、白梅等三人の総称。深雪    の封印を解く時間を稼ぐため、氷室に月組本陣襲撃を命じられる。名前の元ネタは    松竹梅で間違いないと思われる。 ○ ふ ・ 風幻(ふうげん・PC)…雪組の中忍。堅実に任務をこなすやり手。直接腕力に訴え    るよりも、情報戦を得意とする。独自に花扇の滝川暗殺計画を調べ上げ、蜻蛉に接    触を図るが、協力を拒否される。その後、雪組を離れ、二重救出に同行し、二重を    豪雪の下にもたらす。最後は虚無を望み一重の暗殺を図り、闇に喰われる。鴉への    変化と式神の使役が得意。 ・ 不死(ふし・世界)…古くは秦の始皇帝、エジプトの王達が望み、千重、千念等仙人    達が手にしたと信じ、火野熊、深雪等が追い求め、多くの存在を滅ぼす原因になっ    たもの。最終的に千重から再生した一重のみが残るものの、これも永劫の生を手に    したと、誇る事はできないだろう。    不死を得るためには、三戒を守れと千重は言う。一つ、神通力を極めよ。二つ、俗    世との縁を絶て。三つ、時を止めろ。しかし、これも心の老いを止める手立てには    ならない。例外は、虚無と無限に至る道を選択する事である。千重は無限を選んだ。 ・ 二重(ふたえ・NPC)…雷神で最古参の門下生。日頃は道場でグータラとしているが、    相当の腕の持ち主である。日が暮れると自室にこもり、閂までかけて他者との接触    を嫌う奇癖を持つ。実は、千重がひそかに滝川に生ませた隠し子であり、両性具有。    二重は、千重をその身に宿し一重として生まれ変わらせ、月の都を破壊するための    実弾とされるために生を与えられた存在だったのである。 ○ へ ・ 蛇背(へびのせ・地名)…緑色の苔が生えた道。外の世界との境界である万字賀谷ま    でゆっくりと蛇行しながら続いている。道の両脇には、誰を相手にするともない旅    篭が建ち並んでいる。夜になると、狐火が通る事も少なくない…らしいが、旅篭や    狐火の設定はすっかり忘れられていた。また、万字賀谷の霧が深いときには、蛇背    まで霧が訪れることがある。そんなときには決まって新たな住人が猪槌の里に訪れ    るのである。 ・ 紅松(べにまつ・PC)…氷室子飼いの忍者<氷河>の一人。蒼竹と白梅の兄。爆撃    の紅松の名のとおり、火薬を用いた術を得意とする。月組本陣襲撃の際に致命傷を    追い、兄弟達を逃がすため囮となり、自爆する。その骸は解き放たれた深雪の黄金    蟲によって、意思を持たないくぐつとして利用される。 ○ ほ ・ 蓬莱(ほうらい・世界)…遠い昔、不老不死を目指し仙人達が月の怪異に築いた都市。    伝承の中で語られる仙境、蓬莱山、蓬莱島は実は水平線上に浮かぶ月であったとい    う逆転の論理が蜻蛉によって語られる。人工島に作られた巨大学園都市。 ・ 「本来、寺というのは聖域でな、人を殺す場所ではない。」(−・台詞)…城下町の廃    寺で、明光院が手負いの信光に語った言葉。その後に続く独白に、明光院の正体を    見て取った参加者も多いのではないだろうか。 ○ ま ・ 禍丸(まがまる・PC)…月組の手長の部族の者。その性は残虐狂暴で、12歳の時に    は、取り押さえられるまでに20人の下忍を殺害した。3年間の幽閉から城下町に    解き放たれた禍丸は、まず族長である手長を殺し、狩りと称して人を襲った。左肩    に蟾吏の顔を生やす。その蟾吏を殺害した黒鬼と名乗る男に復讐を誓うも、城下町    を殲滅した月の都人の矢の雨に巻き込まれ死亡する。 ・ 真鉄(まてつ・NPC)…鈍砂山のたたらの民の出である発明家。その実力は不完全な    がらも怪異の制御に成功し、千重に重く用いられるほどである。物事を記録する事    が楽しみで、毎夜必ず就寝前に日記をつける。家には妻と多くの子供たちがいたが、    猪槌の里の崩壊で死亡したものと思われる。住居の地下には書庫、武器庫の他、拷    問室も本格的に構えている。 ・ 万字賀谷(まんじがたに・地名)…猪槌の里と外界の唯一の接点であり、雪組の本拠。    常に霧に覆われており、雪組の頭領の血筋に変事があれば、霧が吹雪に変わるとい    う。 ・ 漫遊館(まんゆうかん・店舗)…古本屋、ではなく、遊郭の一つ。植刃の最近のお気    に入り、おみよちゃんが在籍している。 ○ み ・ 観影(みかげ・PC)…そばかす顔の女瓦版屋。雷神道場の鍬形からは、事件がある    たびに顔を見せる事から、逆説的に、ろくでもない事を招く人間としてろくに歓迎    されていない。蜻蛉からは、とにかく女性ではあるので良くしてもらっている。    下町の特攻娘。鈍砂山攻防戦において雪組に捕らわれるが、混乱の中脱出に成功す    る。しかし、万字賀谷において、猪槌の里の崩壊に巻き込まれ死亡する。 ・ 幹(みき・PC)…第五回から曹沙亜の配下として登場した月組衆の一人。曹沙亜の    命を狙った鯨州丸と戦い、嵐、崇の犠牲の下、鯨州丸に深手を負わせる。はっきり    とした描写はないが、猪槌の里の崩壊を生き延びたものと思われる。 ・ 光(みつ・PC)…明光院の元に身を寄せ、年相応の娘姿に身を変えた信光が名乗る。    月の都人に対抗するため、真鉄の所蔵文献を読破しようとするが、その膨大な量に    途方にくれるが、鈍砂山攻防戦において、蜻蛉、安倍孔明と共に月の都人に対抗す    る策を練り、その後植刃を始めとする雷神と共に銀の尖塔を攻略し、猪槌の里の崩    壊も生き延びる。信の字を捨てた事に、明光院の意図は感じられないだろうか。  ・ 魅遊(みゆ・PC)…元花組の一人で、石神油で働いている、とうの立った女性。子    供好き。しかし、花扇から借り受けた明日香を、方策も伝えないまま清水に怪異を    採集に行かせるとは、少々適当である。世界を知るために不老不死を求め、慎重な    行動で通風孔より銀の尖塔に侵入するが、火野熊によって殺害される。だが、その    行動に敬意を表した千幻の気まぐれにより、遺体は月の都人の仮の肉体である白子    として改造される。 ・ 深雪(みゆき・NPC)…雪組の先代頭領。腰まで伸びた白銀の髪、美しい顔立ち、    精悍な体つきを持つ美丈夫。その顔は、若い頃の≪豪雪≫(ごうせつ)に瓜二つで    ある。その性は冷酷非道で残虐。若き日には知恵長け思いやりのある人格者であっ    たが、金の神通力を会得する時、信頼していた弟豪雪の裏切りを感じ取り豹変する。    その力量は爪牙自身も敗北を認めるほど強大である。黄金蟲を使役し、自在に四肢    の形状を変化させることから、寄生獣が元ネタかと思いきや、違ったらしい。一時    は主不在の猪槌城を支配するが、死を賭した豪雪によって再度怪異に葬られた。 ○ む ・ 睦月(むつき・地名)…月河最大の半月湖。そこには葦が生い茂る、月組最大の氏族    青眼の領土である。 ・ 紫(むらさき・PC)…外の世界から来た者。何者かに追われ、よりによって清水に    逃げ込み、十六夜の者が怪異の前に倒れて行く様を目撃する。当初の目的は、外界    にいる主人である一純の不治の病を治す万病の霊薬の探索であった。万字賀谷で道    に迷い、そこで蝉雨を救った直後、深雪の目にとまる。落石から助け出してくれた    深雪に他の者のように恐怖を感じる事はなかったが、婚礼の儀の前日、深雪に子を    望んだ事から、腹中に大量の黄金蟲の幼虫を孕む事になる。猪槌城に火を放つため    潜入したが、骸骨の騎馬武者の手にかかり落命する。 ○ め ・ 明光院(めいこういん・NPC)…外から来た僧形の男。しかし、その神通力の力は、    覚醒前とはいえ爪牙を手玉に取るほどに強力だった。その正体は、徳川三代に使え    た南光坊天海こと明智光秀である。龍脈に詳しいためか、地を割る技を得意として    いる。目的は幕府の文武霊による日本の完全支配であり、そのための障害である異    土を排除し、また不足している武力を獲得するため、猪槌の里において暗躍する。    終局において、巨鉄兵回収には失敗するものの、猪槌の里の崩壊を生き延びる。 ・メイルゲーム(−・その他)…遊演体のネットゲーム88から本格的に動き始めたPB    Mの一種。黎明期には謎解き、PC間の競争等のゲーム要素が重要視され、活躍す    る少数のPCに多くの役割が与えられる傾向にあったが、参加者全員に平等な満足    を配分するため、ボランチ制のようにストーリーを重視し比較的PCに大きな役割    を負わせない傾向に変化しつつある。ホビーデータ、M2、AISと言った商業大    手の他、同人ベースでも数多くの作品が運営されている。 ○ も ・ 「門弟が、生きて捕らえられているのならば救うべし、殺されたのなら仇を討つべし」  (−・台詞)…雷神の訓。先代道場主蟷螂が残した言葉。それは、最後の時、悲劇  の種となった。 ○ や ・ 山嵐(やまあらし・PC)…雷神門下生。しかし、真鉄の話に魅せられ、いつしか巨    鉄兵の専属操縦士にまでなる。行動不能となった巨鉄兵を動かそうと試み、暴走し    た巨鉄兵に吸収されるに違いないと考えていたが、そんなことはなかった。猪槌の    崩壊からも生き延び、しかも白梅という恋人までできた、実は一番の幸せ者? 背    が高く理知的で、晴れやかで人好きのする顔を持ち、なんだか優しげな笑顔だとは、    白梅の弁である。針を武器として使用する。 ・ 山吹(やまぶき・PC)…猪槌城上空に浮かぶ漆黒の怪球を目の当たりにし、東雲が    思い出した己の名。東雲と山吹は、猪槌の里と千重を調査するために侵入した外の    者であった。 ○ ゆ ・ 「故あって成長した」(−・台詞)…己の成長した姿に戸惑う大矢野に対し、曹沙亜    はこの台詞で全てを説明した。その後ちはやを見せ、再度納得させているようだが、    猪槌の里ならではである。 ・ 雪組(ゆきぐみ・組織)…猪槌の里の西に位置する万字賀谷を本拠とする最大の忍軍。    現頭領は豪雪。前頭領はその兄深雪である。ある時西方より現れ、当時最大の組織    月組を月河の東部に追いやった後進の勢力である。 ・ 雪組地下屋敷(ゆきぐみちかやしき・建物)…天上屋敷とは別に雪組が設けた根拠地    の一つで、大量の火薬や食料が備蓄されている。重要書類が納められた書庫や、最    奥部には深雪が封印された金の怪異が存在する。 ・ 雪組天上屋敷(ゆきぐみてんじょうやしき・建物)…月組の襲撃を受けた雪組が、月    組殲滅を狙い、あえて爆破したため、第一回にて炎上した。 ・ 雪姫(ゆきひめ・NPC)…雪組頭領豪雪の一人娘。この娘の心が滝川により盗まれた    事が、豪雪と雪組を動かした。豪雪と己が呼ぶ吹雪の質の違いから、実の子ではな    い事に薄々と気づき、その恐れから豪雪を拒絶する。肉体を奪われ、魂を怪異に廃    棄された事により死亡するが、銀狼の働きにより白雪としてかりそめの復活を果た    す。猪槌の里の崩壊の最中、豪雪と巡り合い、親子の絆を再確認し、愛を語る銀狼    の腕の中で眠りについた。 ・ 雪姫(ゆきひめ・NPC)…千重の手により雪姫の体を手に入れた滝川に対して、千重    がかりそめに付けた名。逝き秘めという言霊を守っている。婚礼の儀の際、花扇の    手によって、千重共々消滅する。 ○ よ ・ 吉野秀華(よしのひでか・PC)…明光院の一党。女剣士。明光院の側付きとして、    他の者より一段上の待遇を受けていた。外界の竜脈を猪槌の里に引き込む為、江戸    城下に火を放つ。元ネタは今は亡き某社3D剣劇格闘ゲーム。江戸から帰還する中、    修羅と共に明光院の命を狙い、地獄に送り帰される。吉野は、明光院が地獄から連    れ帰り仮の肉体を与えられた死者だったのだ。 ・ 黄泉の国(よみのくに・世界)…真鉄の語るところによれば、黄泉の国も怪異の一つ    だという。その五行は土。 ○ ら ・ 雷神(らいじん・組織)…城下町に構えられた剣術道場。または、そこの門生を称し    てこう呼ぶ。その剣は電光石火、間合い十間。一歩の間合いは十間(18m)にあた    るという、一撃必殺の剛剣。道場主は蜻蛉、師範代は鍬形である。また、古株の門    下として二重がいる。モデルは薩摩示源流だろうか? ・ 嵐(らん・PC)…第五回から曹沙亜の配下として登場した月組衆の一人。崇、幹の    まとめ役である。曹沙亜の命を狙った鯨州丸と戦い、金棒に頭を潰され死亡する。 ○ り ・ 竜王砲(りゅうおうほう・道具)…巨鉄兵の最終兵器。地上に生じた神の血族を核と    して、竜脈の力を使い銀の砲弾を打ち出す。月の都を打つ際、説明に矛盾が感じら    れる個所があるが、ドラゴンブレスの効果をイメージしてもらいたい。 ・ 竜神丹(りゅうじんたん・道具)…不老長寿の秘薬であり、万病にも効く。雪姫や、    花扇が好んで服用していた。真鉄の家や石神油で購入できる。使用法は水で飲むだ    け。一粒飲めば体の新陳代謝を活発にし、二粒飲めば逆に新陳代謝を止める。三粒    飲めば死が待っている…とは真鉄の弁。その直後,、紫から新陳代謝という言葉に突    っ込みを受け、説明し直す描写は芸が細かい。 ・ 竜脈(りゅうみゃく・世界)…目には見えないが、世界を巡り、気が循環する力場。    人間にとっての血管と例えればよいか。レイラインとも呼ぶ。 ・ 鱗(りん・PC)…眉目整い、匂い立つように麗しい、男装の女人。月組の中でも小    規模な部族鯱の使者として、白眉の元へ爪牙への謀反計画を促すため訪れる。月の    民との戦いに敗北後、戦死した族長の後を継いだ。混乱の最中、月組の指揮権を掌    握すべく動くが、現れた曹沙亜のちはやによって頭部を撃ち抜かれ絶命する。 ○ る ○ れ ○ ろ ・ 郎蘭(ろうらん・PC)…奉公先の庄屋の次女である双沙が十六夜に籍を置いたため、    仕方なく付き従っている青年。双沙の身を心配し、早く十六夜から抜けるよう祈っ    ている。十六夜と共に訪れた真鉄の小屋の中で、突如怪異の入った箱を奪い廃棄し    ようと試み、山嵐、ななえの攻撃を受け、ジョン・義理に粛清された。 ○ わ ・ 渡り(わたり・技能)…多くのPC、NPCが使用していた便利な移動手段。ある程度    の集中が必要であり、連続で行なう事は難しい。また、渡りを行なう者にはその軌    跡を察知されてしまうという欠点もある。竜脈の風に乗り宙を飛ぶ技であり、気の    薄い外界で使用する事は難しく、また全くの異界である怪異の中では方向を定める    事ができず、無意味な行為と成り果ててしまう。 ○ を ○ ん