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          PBeM     資料

               陰陽道

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                                    柳井政和
ver 0.01 1999.12.26

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■■■陰陽道(おんみょうどう)
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 陰陽道とは、陰陽五行説(おんみょうごぎょうせつ)にもとづいて、森羅万象の背後に
秘められた法則を解読し、未来を占い、諸事の指針を得る思想と技術である。

 陰陽道の源泉は中国にある。古代中国では、世界を「陰陽」で現す思想が生まれた。こ
の陰陽は、森羅万象を構成する八つの気の状態である「八卦」(はっか)(乾・兌・離・
震・巽・坎・艮・坤)へと進化し、易の思想を生み出した。

 乾  | 兌  | 離  | 震  | 巽  | 坎  | 艮  | 坤 
 けん | だ  | り  | しん | そん | かん | ごん | こん

 また、それとは別に、世界を「木・火・土・金・水」という五つの気の動き(五行)で
現す思想も生まれた。この「陰陽八卦」と「五行」の思想が結びつき、陰陽道が誕生した。

 陰陽道は、日本には六世紀頃、仏教と同時期に伝来した。そして、678年には行政機関
として陰陽寮が設置された。日本に入った陰陽道は、天文、占筮(せんぜい)、相地を扱
い、吉凶禍福を見て、祭りや方術、呪詛や呪殺をおこなった。

 相地とは、今でいう風水であり、平安京などの都市の設計もこの風水にもとづいて行な
われた。日本に広まった陰陽道は、密教や神道や修験道などとも結びつき、日本のオカル
ティズムの中核となった。

 その後、平安時代中期に陰陽博士賀茂忠行(かものただゆき)により、息子の賀茂保憲
(かものやすのり)に天文と暦道が、安倍晴明(あべのせいめい)に天文が伝えられた。
以後、陰陽博士に任じられるのは賀茂(天文)・安倍(暦道)の二大宗家に限られ、この
両家の競い合いで平安時代に陰陽道の黄金期を迎えた。

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■■■陰陽師(おんみょうじ)
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 陰陽道(おんみょうどう)の使い手を陰陽師という。陰陽師は、奈良・平安の時代には、
天皇まで動かす国家専属の占術師として活躍した。陰陽師は未来を洞察し、鬼神を操り、
ときには死者までも甦らせるような超越的な力を持っていた。

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■■■賀茂家と安倍家~日本における陰陽道の歴史
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 鎌倉時代、安倍家は有力な人材を輩出し、幕府の支持を得て関東にも確固たる地盤を築
いた。しかし、賀茂家は凋落傾向にあった。

 南北朝時代になると安倍家は土御門家(つちみかどけ)と称し、室町時代にいたり賀茂
家は勘解由小路家(かでのこうじけ)を名のった。その後、室町後期に賀茂家は直径の後
継が絶え、土御門家が暦博士と天文博士を兼務した。

 江戸時代に入り、徳川家康は、戦国時代に衰退していた陰陽道宗家の土御門家を復興す
る。その一方、途絶していた勘解由小路家の代りに、同家に連なる幸徳井家(かでいけ)
を採用して再興した。土御門家はのちに幸徳井家を圧して陰陽道の実権を握り、土御門家
神道を形成する。しかし、江戸時代を通じて、古代ほどの政治的影響力を取り戻すことは
なかった。

 陰陽道宗家の凋落とは逆に、室町あたりから民間に浸透しつつあった陰陽道は、江戸時
代に全盛を迎えた。民間の陰陽師は諸国を巡回して暦や方角の吉凶を教え、加持祈祷など
によって一般庶民の支持をえた。

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■■■式神(しきがみ)
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 式神とは、陰陽師に使役される目に見えぬ鬼である。陰陽師が作った人造人間ともいわ
れ、職神(職=工人)とも書く。式神の「式」は、「もちいる」の意味であり、式神とい
えば「神を用いる」ことであり、もともと式神という神が存在していたわけではない。

 人を呪うときは、この妖怪を相手に放った。式神はその相手にとり憑き、生命を奪う。
呪われた人は、一瞬でも早く、より強力な陰陽師に頼んで相手に式神を打ち返さない限り
助からない。相手の使う式神を調伏(ちょうぶく)して、逆に相手を呪殺するという方法
もあった。

 後の時代には、式神も物質的な存在として捉えられるようになった。そのため、紙幣や
符をから姿を変える式神の姿もよく描かれるようになる。また、動物や、小鬼を使い魔の
ように操る方法も、式神として扱われるようになっていく。