●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●                  Maiking of PBM                  PBMの構造 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●                                     柳井政和 ver 0.01 1999.12.28 ver 0.02 2000.01.07 ver 0.03 2000.01.15 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■商業ベースと個人ベース ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------  「PBM」を分類する方法はいくつもあります。ここでは「商業ベース」と「個人ベー ス」に、分けて考えていくことにします。  「商業ベース」の「PBM」とは、会社などの営利目的の組織・団体がおこなう「PB M」です。「商業ベース」の「PBM」には以下の2つのパターンがあるようです。 ──────────────────────────────────────── ●直接営利目的の「PBM」  参加費を徴収するタイプの「PBM」です。一般的に、「参加者」はキャラクターの行 動を送り、そのリアクションが毎月帰ってくるシステムが多いようです。  企業が営利目的で運営していますので、会報やイベントなどが非常に充実しています。 多数の「参加者」の行動を処理するために、複数のマスター(処理担当者)を立てて運営 しているところが多いようです。 ──────────────────────────────────────── ●間接営利目的の「PBM」  参加費無料の「PBM」です。雑誌などの1コーナーとして運営されていることが多い ようです。  たいていは、雑誌についている専用の行動記入用紙を使います。このため、複数のキャ ラクターを使うために、同じ雑誌を数冊買う人も出てきます。  紙面の都合があるため、一般的に「読者参加型」と呼ばれる形式を取ります。このタイ プの「PBM」では、メインになるストーリーが進行し、「参加者」はその周りを取り囲 む衛星のように行動するパターンが多いようです。 ・「読者参加型」 読者が、自分のキャラクターを作り、送ることで、小説などのストーリー上の登 場人物として参加することが可能な形式。 全員分の行動は反映されず、少数の人物の行動しか反映されないことも少なくな い。 ────────────────────────────────────────  以上の「商業ベース」の「PBM」に対して、「個人ベース」の「PBM」は、非営利 目的の個人が運営するものです。  通常は、必要経費(郵便代、コピー代等)を徴収し、「主催者」の可能なペースに合わ せて運営されます。長い周期のものでは、半年や一年周期でおこなわれるものもあります。 ────────────────────────────────────────  これらの、「商業ベース」、「個人ベース」の「PBM」には、一長一短があります。  「商業ベース」の「PBM」は、その人数、規模が大きいため、他の「参加者」との幅 広い交流が楽しめます(システム的に、集団行動を誘導しているケースが多いのも特徴で す)。  その代わりに、一人の「参加者」の得られる力(権力・武力など)は比較的小さくなり、 「参加者」間の力の格差は大きくなっています。  これに対して「個人ベース」の「PBM」は、閉鎖的環境のため、かなり融通がきくよ うになります。また、各個人の得られる力も、人数が少ない分、大きくなる傾向がありま す。  自分のやりたい目的に合わせて、どんな「PBM」に参加するか、主催するかを決めて いってください。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■開放型と閉鎖型 ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------  「PBM」は、「参加者」の参加形態から、「開放型」と「閉鎖型」に分けることがで きます。  「開放型」の「PBM」とは、ゲーム中いつでも、自由に「参加者」が出入りできる形 態のものを指します。  逆に「閉鎖型」は、先に「参加者」を募っておき、その「参加者」のみでゲームをおこ なう形態のものを指します。 ────────────────────────────────────────  「開放型」のメリットは、「参加者」を随時増やせることです。  ゲーム開始時に「参加者」がほとんど集まっていなくても、ゲームをおこない続けるこ とが宣伝となり、「参加者」が徐々に集まってきます。また、「商業ベース」のPBMで は、随時顧客を増やせるので、直接収入に響いてきます。  しかし、この形態には、いくつかの弱点があります。それは、ストーリー重視の「PB M」において顕著になります。「参加者」がいつでも参加でき、かつやめることのできる この形態では、突如重要なPCが消えてしまうことが往々にしてあります。  この可能性はいつもつきまとい、「主催者」を悩ませ続けることになります。 ────────────────────────────────────────  解決方法はいくつかあります。  その中の一つは、特定のPCに重要な役を与えないという方法です。この方法の実践下 では、勇者はひとりではなく複数人になり、勇者集団が魔王を倒す世界設定になります。  もしくは、NPCを補佐する複数のPCがいるという世界設定になります。PCに、絶 対的な強さが与えられることはありません。PCは、集団の中の一人として活躍する必要 があります。 ────────────────────────────────────────  「閉鎖型」のメリットは、あらかじめ「参加者」間で、それぞれの役を決めることがで きる点にあります。  この顕著な例としては、シミュレーション・ゲームに近い「PBM」が挙げられます。  例えば、「参加者」は、国家元首となり、それぞれの国家を持ちゲームをおこなうこと もできます。「開放型」では困難だった、大きな権力や武力を、1人の「参加者」に持た せることが、「閉鎖形」の「PBM」では可能になります。  「閉鎖型」のデメリットとしては、「PBM」の楽しみの一つ、自分の知らない人との 交流が図りにくいことにあります。 ────────────────────────────────────────  これら二つの応用として、閉鎖集団(100人規模のRPGサークル・・など)の中で、 「開放型」の「PBM」をおこなうという手法があります。  この場合は、「開放型」、「閉鎖型」両方のゲームの特性を生かすことができます(デ メリットが強く出る場合も、もちろんあります)。  「サークルのメンバー間の交流を活性化させる」などいった、明確な意図に沿って「P BM」を運営すると良いでしょう。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■収束型と発散型 ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------  これは、主に「ストーリー重視」の「PBM」に当てはまることです。 ────────────────────────────────────────  「収束型」の「PBM」では、「主催者」は、ゲーム開始時点で、ゲーム終了(ストー リーの終了)の予定を立てておきます。  「全8回」などと、期限を切っておこなう場合にはなおさらです。  「収束型」の特徴は、ストーリーの進行によって、毎回の単発のストーリー(エピソー ド)が融合していくことにあります。これは、推理小説で、各推理のネタが、どんどん一 つの解決に向かって解き明かされていくことに似ています。  いくつかの事件を突き詰めていくことで、その根元が一つにつながるようにストーリー が展開していくわけです。  この、ストーリーの融合(つじつま合わせ)が、「主催者」の腕の見せ所となります。 伏線を有効に使って、ストーリーを融合させていって下さい。 ────────────────────────────────────────  この際、注意することがひとつだけあります。  それは、ラストシーンを、ゲーム中盤までに、明確に定めてしまうことです。序盤は、 「参加者」や、「主催者」の不慣れから、ストーリーは遅々として進まないでしょう。  しかし、中盤になったとき、ストーリーの進行は加速度的に増していきます。この際、 「主催者」は、しっかりと手綱を取らなければなりません。そうしなければ、ストーリー は収束することなく、打ち切りになってしまいます。  ゲームの終盤で、きれいにストーリーをまとめるためには、ゲーム中盤での舵取りが、 非常に重要になります。 ────────────────────────────────────────  「発散型」の「PBM」では、基本的にストーリーは進みません。ごくごく自然に日常 が流れ、小さな事件が起こっていきます。  大きな事件が起こらない代わりに、マスターはどんどん増えていく事件の処理に追われ ることになります。この場合のマスターの腕の見せ所は、この数多くの事件を、どれだけ 効率よく、面白く処理していくかということになります。 ────────────────────────────────────────  この「収束型」、「発散型」は、途中で切り替わることが往々にしてあります。「RP G」のキャンペーンをおこなう場合を思い出して下さい。「収束型」と「発散型」が、ま るで波のように交互に来ると思います。  「PBM」でも、回数が多い場合には、同じようなケースが発生します。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■ストーリー重視と戦闘重視 ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------  「ストーリー重視」と、「戦闘重視」のどちらをとるかは、「主催者」の好みもさる事 ながら、「主催者」が得意な処理方法に由来することが多いようです。 ────────────────────────────────────────  「戦闘重視」の「PBM」をおこなおうとした場合、参加人数が少ない場合を除いて、 パソコンのプログラムの書ける人が、非常に有利です。  また、「戦闘重視」にした場合は、処理を自動化できるため、時間のない人に向いてい るという利点もあります。 ────────────────────────────────────────  また、「ストーリー重視」にした場合はどうでしょうか? これもまた、「主催者」個 人によって制約を受けます。  「主催者」が、文章を書くことが苦手な場合、「ストーリー重視」は成り立ちません。  しかし、自分を表現したいという欲求のある人なら、何らかストーリー的要素を盛り込 みたくなるものです。  このような場合の、比較的負担の少ない解決方法は、新聞形式でストーリーを進行させ ることです。参加者から、記事(文章)を募集すれば、「主催者」の負担は、格段に減り ます。 ────────────────────────────────────────  もし、文章も、パソコンのプログラムも得意なのであれば、2つの特性を融合させた面 白いゲームができるはずです。可能な方はチャレンジしてみて下さい。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■処理時間とシステムの関係 ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------  「PBM」をおこなう時に、直面する壁の一つに「処理時間」の問題があります。  「個人ベース」でおこなう「PBM」では、時間は有限です。「商業ベース」でおこな う「PBM」と違い、「予算を割いてアルバイトを雇う」などという人はいないはずです から。 ────────────────────────────────────────  まず、「PBM」の「システム」を選ぶ上で考えなければならないのは、「続けられる か」ということです。  ゲームを楽しみに待っていてくれる「参加者」を裏切ることなく、運営していくことの できる「システム」にするべきです。  「PBM」を初めておこなう時は、とかく力みすぎて、「良いもの」「立派なもの」を 作ろうとしてしまいます。  しかし、実際に始めてみると、処理が大変で続かなかったというのは良くあることです。 ────────────────────────────────────────  肩の力を抜いて、自分が7割の力でできる「システム」にするべきです。120%の力 量を要求する「システム」は、実用的でない、駄目な「システム」です。  「PBM」をはじめて、いくらか時間も経ち、経験を積んで要領を得てきてから、徐々 に「おまけ」を増やしていけばよいのです。  最初から欲張ると、ろくな目にあいません。実際にそういう苦い経験を、私は何度も積 んできました。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■処理人数と形態の関係 ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------  時間と共に問題となるのは、「参加者」の人数です。  「参加者」が少ない内は、あまりものを考えなくても、行き当たりばったりの「システ ム」で運営できるものです。  しかし、あらかじめ参加人数が増えることが予想される、もしくは参加人数が多い場合 には、それなりの対策を立てなければなりません。 ────────────────────────────────────────  まず、最初に考えなければならないことは、「主催者」の負担を、なるべく「参加者」 に分担させる「システム」を作るということです。  人数が10人のとき、10の労力がかかっていた場合。人数が100人に増えたときに、 100の労力がかかってしまうような「システム」は、欠陥のある「システム」です。  ゲーム開始前に、試算をし、なるべく労力を減らせるように「システム」を改善するべ きです。  後は、ゲーム開始後も、絶えず「システム」の改善を怠らないことが重要です。 =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=--------- ■ ■■■リアクション規模と形態の関係 ■ =---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------=---------  「リアクション規模」とは、「PBM」中のリアクションの総量です。  この「リアクション規模」は、各参加者に送られるリアクションの量の合計ではなく、 「主催者」の作成する情報の総量です。  複数の人にまったく同じ情報を送れば、「リアクション規模」は小さく済ますことがで きます。  主催者は、「リアクション規模」を小さくすることによって、運営の負担を減らすこと ができます。