ネタバレが嫌いな方は読まないで下さい。まあ、公開からだいぶ経っているので大丈夫だと思います。
あと、原作読んでいる人前提の文章になっています。読んでない方、ごめんなさい。
さて、殺し屋1。どんな映画かと言うと「血と精液の飛び散る映画」です。血:精液=99:1ぐらいの比率ですが、要所要所で精液が出てきます。タイトルロゴからして精液です。彼女さんがいる男性は、彼女を連れて行かないのが賢明です。多分、引かれます。
原作は同名のマンガ殺し屋1。山本英夫原作です。原作はリアルタイムで追いかけていました。そのため、映画を見ている間の視点は、原作との比較が中心になりました。
映画の作りはオーソドックス。最初にこれでもかという暴力シーンを詰め込み、ピークに達したところでストーリー描写。後半はまた暴力シーン。最後は「どっちなんだ!」と思わず叫びたくなる、あいまいにボカシた終わり方でした。
原作を読んでいたせいで、映画の細部が補完されて、かなり痛みを感じる映画でした。マンガより、実写の方が「肉」を連想して痛みを想像してしまいました。
一緒に見に行った のごさん は、暴力に関して「あそこまでいくとギャグだよね」と言っていました。人によって、あの暴力描写は受け取り方が違うようです。まあ、CGが前面に出てきている暴力シーンは、完全にギャグみたいな作りでしたが。
脚本に関しては、原作を2時間に一気に積め込んだら、多分こんな感じになるだろうなと言う作りでした。個人的には「有りだな」と思いましたが、「原作には負けているな」とも思いました。
2時間に詰め込むために、原作から多くのシーンが切り捨てられていたのですが、原作と違うシーンもいくつかありました。
カレンとじじいに関係する後半のシーンは、原作を踏まえてうまく作ったなあと思いました。このシーンに関しては、原作に勝っていると思いました。
垣原の終盤のシーンは、映画がマンガに完全に負けていました。マンガでは物語の異常さがピークに達するシーンだったのですが、映画では単なる話しの流れの一コマになっていました。残念です。
ラストシーンは、原作を知っている人には物議を醸し出す作りになっていました。このシーンは、映画のあと、見に行った2人で頭を抱えて考えました。
原作が人物の異常性を中心に展開していくのに対して、映画は暴力の連射で爽快感を出す作りになっていました。
そのため映画では、人物描写の前提がないために、完全にギャグにしか見えないシーンも散見しました。特に、じじいが裸になるシーンは完全にギャグでした。原作を知らない人は、このシーンで何が起こったのかサッパリ分からない作りでした。
映画化を初めて聞いたときに、垣原を浅野忠信がやると知り、「絶対に合わん」と思っていました。これに関しては、監督が「(垣原は)強烈な人物なので、原作に近づけようとしたら原作に負ける。そこで、マンガの呪縛を断ち切る武器として浅野さんを呼んだ」と語っていました。
原作を越えられなかったのも仕方がないのかなあと思いました。
及第点は越えている映画でしたが、暴力・残虐系が嫌いな方にはオススメできない映画でした。他の方にも、特にオススメする程でもないだろうと感じました。
映画のあと、 のごさん と2人で「トラウマになるほど怖いマンガ」について話し合いました。
2人で一致したのは、御茶漬海苔のマンガです。
のごさん「トラウマになっていて、今でも読めない」
るてん「夢に出る。何日もぐるぐると頭の中で回るので読めない」
この人のマンガは、本気で怖いです。
あと、殺し屋1がヤングサンデーに連載されていた繋がりで、度胸星の話もしました。あのマンガが打ち切りになったのは、本気で悲しい事件でした。勿体無いオバケが出てしまいます。本当に。
参照:
・殺し屋 1 公式サイトです。
・極限の暴力、映画化 「殺し屋1」 三池監督語る asahi.com の記事です。
・『殺し屋1』 Movie Watch の記事です。
・殺し屋1 映画瓦版 の感想です。