●3-2 会話の配分に関する問題(周りを見る) |
しゃべり過ぎるという行動も、気をつけなければならない問題行動の1つです。 例えばその場に5人の人間がいるとしましょう。その場の人に与えられた会話時間は、1時間あたり0.2時間です。それ以上話すということは、その人の権利を上回る時間を消費することになり、それ相応の利益を集団にもたらす必要が生じます。 それだけの利益を集団に提供できないと判断するならば、0.2時間以上口を開いてはなりません。利益を与えられないのに口を開くということは、他人の持ち時間を奪い、集団に損害を与えるという行為になります。 人間は、何かに対して反応する機会を奪われるとストレスを感じます。例えば他人の会話に対して、誰かが1人で反応をし続けた場合、反応の機会を奪われた人のストレスはどんどんたまっていきます。 これは、集団でキャッチボールをしている状況に似ています。5人でキャッチボールをしている時に、たった2人でボールを投げ合っていれば、残りの3人は憤慨します。 会話でも同じ状況が発生します。会話をおこなう場合は、その場の人たちが最大限会話というゲームを楽しめるように、会話を配分する必要があります。 しゃべる機会を失して、ストレスがたまった人を見つければ、その人が意見を述べられる話題を振り、ストレスを発散させてあげなければなりません。同様に、自分が喋り過ぎたと思った場合は、会話の主導権を他人に渡し、自分は沈黙しなければなりません。 このことは、集団の人数が多ければ多い程気をつけなければなりません。その場の人数が増えるということは、自分の持ち時間が少なくなるということを意味します。その場に10人いるならば、持ち時間は1分あたり6秒です。 会話ではこういった配分に対する配慮が必要です。 その中で自分が他人の時間を奪う必要があるのならば、自分の会話能力を他人より高い位置に置いておく必要があります。会話は、参加者の会話能力によって、持ち時間が変わる非対称のゲームです。 また、他人の会話を途中で遮ることも注意しなければなりません。 他人の会話の腰を折ることは、会話ゲームの中で深刻な損害になります。会話をすることによって、利益を得ていたはずの人の満足度を、一転して損害の領域まで引き下げることになります。 その人が明らかにしゃべり過ぎていて、集団の会話ゲームの利益を損なっている場合以外は、他人の会話の腰を折るべきではありません。 このことは、自分の会話の連続時間にも気をつけなければならないということです。他人の集中力が持続する時間は想像以上に短いです。できるだけ少ない言葉数で、他人を満足させられる会話を提供しなければなりません。 核心に迫るのに時間がかかるような会話の行い方や、核心を言ってからダラダラと続く会話は、失点の多い会話の仕方になります。
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