PythonとPygameで作る レトロ風RPG 全コード

同人誌について

 この連載は、同人誌『PythonとPygameで作る レトロ風RPG 全コード』を一部抜粋して編集したものです。

 同人誌本編には、ゲーム本体のソースコードや、各種のサンプルコード、Windowsで実行できるEXEファイルが付属しています。PDFで290ページの本になります。ぜひ、こちらもご購入ください。

(2024-03-28:ver1.0.4 に更新、2024-03-10:ver1.0.3 に更新)


4-1 Pygameの基本的な処理

公開:2024-02-28、更新:2024-03-10

 「第3章 Pythonの基本的な文法」は省略します。こちらは同人誌をご覧ください。

 ここからしばらくは『Pygame』の基本的な使い方を学んでいきます。


基本的な処理

 『Pygame』の基本的な使い方を学びます。コンピューター ゲームとして必要な処理を1つずつ見ていきます。

 基本的には、ドキュメントに書いてあるとおりです。パッケージやモジュールの細かな仕様は、それぞれのドキュメントにあります。数がかなりあるので、この本では必要なことを抜粋して説明します。

Pygame Front Page — pygame documentation
https://www.pygame.org/docs/index.html

 まずは『Pygame』でプログラムを書くときの基本的な構造です。「example_pygame/basic.py」を示します。

import pygame
pygame.init() # Pygameを初期化
screen = pygame.display.set_mode((800, 600)) # 画面作成
image = pygame.image.load("image/icon.png") # 画像読み込み
clock = pygame.time.Clock() # 時計作成
running = True # 実行継続フラグ
while running:
pygame.display.update() # 画面を更新
screen.fill(pygame.Color(0, 0, 0)) # 画面を塗りつぶす
for event in pygame.event.get(): # イベント
if event.type == pygame.QUIT: running = False # 終了
screen.blit(image, (32, 32)) # 描画
pygame.display.flip() # 画面フリップ
delta = clock.tick(60) # 60fps制限
print(delta)
pygame.quit() # Pygameを終了
基本的な処理

初期化と終了

 まずは、import pygameで『Pygame』を読み込みます。そして、pygame.init()で初期化をしたあとに処理をおこないます。終了時にはpygame.quit()を実行します。

import pygame
# 初期化
pygame.init()
# pygameを利用したさまざまな処理
# 終了
pygame.quit()

ウィンドウの作成と処理のループ

 ウィンドウの作成はpygame.display.set_mode()でおこないます。第1引数でウィンドウの描画領域のサイズを指定します。サイズは、横幅と高さのタプルやリストで指定します。

 第2引数には、ウィンドウを制御するフラグを|で繋いで複数書けます。いくつかのフラグを掲載します。他にはOpenGLを利用する際の設定などもあります。

第2引数のフラグ

フラグ 説明
pygame.FULLSCREEN フルスクリーン(モニターの解像度を変える)
pygame.RESIZABLE ウィンドウのリサイズを可能にする
pygame.NOFRAME 枠なし
pygame.SCALED デスクトップに収まるように整数倍で自動スケール
pygame.SHOWN 表示(デフォルト)
pygame.HIDDEN 非表示

 pygame.FULLSCREENは注意が必要です。モニターの解像度を、描画サイズと同じに変更します。そのため、ウィンドウやアイコンのレイアウトが崩れます。少し使いにくい機能です。

 ウィンドウの準備をしたあとは、while文でループを回します。このループは、pygame.event.get()で得たevent.typepygame.QUITだった場合に抜けます。ループを抜けてpygame.quit()しないと、ウィンドウの×ボタンを押しても、ウィンドウが閉じないので注意が必要です。

screen = pygame.display.set_mode((800, 600)) # 画面作成
running = True # 実行継続フラグ
while running:
for event in pygame.event.get(): # イベント
if event.type == pygame.QUIT:
running = False # 終了
pygame.quit() # Pygameを終了

画像の読み込みと描画

 画像はpygame.image.load()で読み込めます。読み込んだ画像はSurfacepygame.Surface)というオブジェクトになります。描画領域を表すscreenSurfaceです。

 Surfaceへの描画はblit()関数でおこないます。第1引数は描画するSurfaceオブジェクト、第2引数はXY位置のタプルやリストです。

image = pygame.image.load("image/icon.png") # 画像読み込み
screen.blit(image, (32, 32)) # 描画

描画の基本ループ

 描画の基本ループを示します。pygame.display.update()で画面を更新します。そのあと描画をおこないます。最後にpygame.display.flip()で画面をフリップします。

while running:
pygame.display.update() # 画面を更新
screen.fill(pygame.Color(0, 0, 0)) # 画面を塗りつぶす
screen.blit(image, (32, 32)) # 描画
pygame.display.flip() # 画面フリップ

 フリップ(入れ替える)という処理は、ゲームでよくおこなわれます。

 フリップの処理では、描画面Aと描画面Bを用意します。そして、ディスプレイに描画面Aを表示します。その裏では描画面Bの書き換えをおこないます。描画面Bのへの描画が完了したら、ディスプレイに描画面Bを表示します。

 こうした入れ替えを毎フレームごとにおこないます(フレームとは、アニメーションの1コマのことです)。この方法では、描画途中の状態を見せないで済むので表示が乱れません。

フリップ

描画面A 描画面B
ディスプレイに表示 書き換え処理
書き換え処理 ディスプレイに表示
ディスプレイに表示 書き換え処理

時計

 もう1つ、clock.tick()の処理も触れておきます。こちらは、描画処理の間隔を調整するためのものです。clock.tick(60)のように引数を指定すると、60FPS(Frame Per Second)よりも短い時間で再描画しないように、描画の間隔を制限します。

 「1000/60=16.666...」なので、前の描画から16.66ミリ秒以上時間を空けて、次の描画をおこないます。この命令は60FPSを保証するものではなく、60FPSよりも速く描画しないようにするためのものです。この処理により、マシンの負荷が減ります。

 clock.tick()の戻り値は、前回の実行からの経過時間(ミリ秒)です。

clock = pygame.time.Clock() # 時計作成
while running:
delta = clock.tick(60) # 60fps制限
print(delta)

 clock.tick()を利用して、描画がカクカクなるようなら、clock.tick()の処理を取り除くときれいになることがあります。clock.tick()の処理は必須ではありません。

 pygame.timeにはClockクラスだけでなく関数もあります。pygame.time.get_ticks()関数は、pygame.init()からの経過時間(ミリ秒)を得ます。

引数

 『Pygame』では、関数の引数の多くで、colorrectが要求されます。colorpygame.Colorオブジェクト、あるいは(r, g, b)のタプルやリストです。rectpygame.Rectオブジェクト、あるいは(x, y, width, height)のタプルやリストです。

 『Pygame』では、必ずオブジェクトを書く必要はなく、タプルやリストで短く書くこともできます。


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