「ペルシャの幻術師」は、司馬遼太郎の初期短編を含む短編集です。
まずは収録されている短編のタイトルを挙げたいと思います。
・「ペルシャの幻術師」
・「戈壁(ゴビ)の匈奴」
・「兜率天の巡礼」
・「下請忍者」(講談社文庫:最後の伊賀者 収録)
・「外法仏」(講談社文庫:最後の伊賀者 収録)
・「牛黄(ごおう)加持」(新潮文庫:果心居士の幻術 収録)
・「飛び加藤」(新潮文庫:果心居士の幻術 収録)
・「果心居士の幻術」(新潮文庫:果心居士の幻術 収録)
やたら再録が多かったです(T_T
8話中5話が再録。
ちょっと残念でした。
最初の3話だけでは、文庫本の体裁になりにくいので「無理矢理載せた」と言った感じでした。
まあ、「2001年2月10日第1刷」なので、本人がタッチしていないのは明らかですので、仕方がないかなあとも思いますが。
なので、この本のメインは初出である最初の3話でした。
この3話、司馬遼太郎の初期の作品なのですが、他の司馬遼太郎の作品とだいぶ毛色が違っています。
同じ本に収録されている他の5話とも明らかに違います。
では以下、その違いについて書いていこうと思います。
まず文章についてです。
初期の作品のためか、文章自体の書き方が違います。
司馬遼太郎作品の特徴であるリズム感が、まだここでは確立されていないような感じがしました。
次は物語の構成についてです。
ここが大きく違っています。
非常に詩的です。
どちらかちうと幻想小説のような印象を受けました。
似ているものとしては、クトゥルフ神話の小説かなあと。
物語の構成自体がまるで詩のような構成になっていました。
同じ作者の作品でも、初期の作品というのは特別なものなのかなあと思いました。
司馬遼太郎の作品を期待して読むと、少しガッカリします。
やはり司馬遼太郎は中・長編の方が面白いです。