平日の真昼間だと言うのに席は満席。学生さんから、老人まで幅の広い客層が入っていました。ただし、子供は見かけませんでした。特徴的なのはカップルが少なかったことです。普通の映画だと、男女のカップルが多いのですが、ロード・オブ・ザ・リングでは男のみ、または男同士という客が多かったです。
また、複数回見ている人も多そうでした。私の隣に座っていた高校生(?)3人組も、内1人は2回目みたいでした。
以下、非常に散発的な感想です。ネタバレありですので、ネタバレ嫌いな方は見ないで下さい。
●映画の感想
前評判通りとてもよかったです。ともかく絵が美しい。それに尽きると思います。私は原作は読んでいないのですが、ファンの人達が中つ国で撮ったようだというのも頷けました。
この美しい景色は、監督ピーター・ジャクソンの故郷であるニュージーランドで撮影したそうです。ニュージーランドの自然は、こんなにも美しいのかと思いました。カメラワークは景色を俯瞰しながら移動するシーンが多く、お金がかかっているなあという印象がありました。
全体的に忙しいカメラワークが多く、画面の切り換えもかなり激しかったです。特に戦闘シーンは詰め詰めで、非常にゴチャゴチャしていました。何をやっているのか分かり難いショットも多かったです。次々とカメラが切り替わる中、武器を使って敵を殴っていると分かる絵が10枚中1枚ぐらいしかないような所もありました。
まあ、アクションを楽しむ映画ではないのでそれはそれで構わないのでしょうが、ちょっと気になりました。
とは言っても、アクションについてのメリハリはきっちりとありました。ゴチャゴチャした戦闘シーンの中にも見応えのある見せ場のシーンも多くあり、個人的にはレゴラスの弓連続射撃シーンは気に入りました。ピビュン、ピビュンという効果音とあいまって、かなり格好よかったです。
バルログも格好よかったです。ありゃ、オークも逃げるわと思いました。あの坑道でのチェイス・シーンは第一部の最大の見せ場だと思います。
あと、うまいなあと思ったのが指輪をはめたときの演出です。かなり緊迫感のあるよい絵になっていると思いました。ヤバイ、ヤバイと思わず手に汗を握ってしまいます。指輪に関しては、指輪に魅了される人達の描写もよかったです。ただの指輪が、非常に力を持った指輪に見えました。
この指輪の演出の中で、個人的に一番重要だと思ったのは、最初の方で指輪がテーブル(?)に置かれたときの効果音だったと思います。予想以上に重い音がするのです。コトッではなく、ゴゥトォ!と。思わず「えっ?」と思うほど重い音がします。この音で、指輪が持つ重さを感じる暗示にかけられたのだと思います。あの音がないと、映画自体の印象がかなり変わっていたと思います。重要な音でした。
敵の造形もよかったです。ブラック・ライダーの鎧の篭手のデザインなど、かなりよく出来ていると思いました。あの手が出てくる度に、捕まると殺されるのではと思ってしまいました。オークもとても恐ろしかったです。
全体的に怖い造形の敵が多い中、トロルだけはユーモアがありました。トロルのシーンはかなり監督が楽しんでいる雰囲気が伝わってきました。
敵と言えば、サルマンの塔の周囲の描写が毎回凄かったです。上空からカメラを動かし始め、これでもかこれでもかと言うように、なめるようにして兵站部を見せていきます。これがもう圧巻です。このショットが挟まれるたびにドキドキしてしまいました。
ストーリーとしては、最後はやっぱり泣きました。3時間はあっという間でした。
●役者
一番気になったのは、フロド役のイライジャ・ウッドはあの背の高さなの?ということです。他の映画のイライジャ・ウッドを知らないので、かなり気になりました。
あと気になったのは、プログラム中でのイライジャ・ウッドのインタビューです。「旅の仲間9人とは仲良くなり、エルフ語で9を表す字をみんなで刺青した」という話がありました。向こうの人はそういうものなのでしょうか。役者としてはあまり身体を改造するのはよくないと思うのですが。
また、ホビットの中でイライジャ・ウッドだけが顔つきが違うのも気になりました。明らかに異種族のような顔立ちをしています。まあ、主人公だからよいのかもしれませんが。あと、ホビットは雪山でも裸足なのですね。正直ビビリました。
ついでに言うと、フロドに対してサムが「Mr. Frodo」というたびに、「フロド様」と役が出るのは気になりました。語感としては「フロドさん」ぐらいにしか聞こえないのに、「様」と出ているのです。サムに関してはプログラムに、フロドの親友と書いてあるので、「様」で訳は合っているのかなあと違和感を感じました。
次は、アラゴルンとボロミアです。2人が出てきた最初の10分ぐらい、どちらがどちらか見分けがつきませんでした。暗闇だからというのもあるのですが、ぱっと見の雰囲気があまり違わないので困りました。おかげで、王の子孫がどちらなのか、最初分からずに混乱しました。
でもまあすぐに、太った方がボロミアだと分かるようになるのですが。もう少し見分けがつくようにしてくれればよかったのになあと思います。
アラゴルンに関しては、剣の強さを印象付けるシーンがブラック・ライダーとの戦いぐらいしかなかったのが寂しかったです。もう少し派手な剣闘シーンを期待していましたので。
しかしアラゴルンはズルイですね。腕が立ち、王の子孫で、エルフ族の姫にも好かれているなんて羨ましい限りです。美味し過ぎます。
ガラドリエルのケイト・ブランシェットに関して。
b-geeksの丸投げニュースウォッチの、2002/2/24で、「1作目はケイト・ブランシェットをもっとも美しく撮った映画として歴史に名を刻むでしょう」と書かれていましたが、確かに美しく撮ってありました。
でも、相変わらずケイト・ブランシェットは怖かったです。エリザベスのときもそうでしたが、何だかいつ切れて叫び出すか分からない怖さを持っています。例えばケイト・ブランシェットが奥さんなら、ある日急に叫び出して殺されそうな怖さを持っています。あの不安定な怖さは、演技ではなく地だと思うのですが、かなり怖いです。
最後はサルマン役のクリストファー・リー御大。キャスト解説が凄かったです。「これまでに出演した作品は250本以上。世界でも最も多くの作品に出演した国際俳優としてギネスブックにも載っている」とのこと。凄いですねえ。知りませんでした。
サルマンとガンダルフの戦いのシーンは、魔術師とは思えない子供の喧嘩みたいでびっくりしました。かなり地味で肉体を酷使する戦いでした。
●制作費
制作費2億7000万ドルに関して、監督ピーター・ジャクソンは「今時1本作ると1億2000万ドルぐらいかかる。3本で2億7000万ドルなら安い」との発言。
安いのか?
いや、こんだけヒットすれば1作でお釣りがくるでしょうが。
つらつらと書き連ねましたが、映画はあともう1回は見に行きたいと思います。気付かなかった細部とかまだまだいっぱいあると思いますので。今回は、見ておかないと損な映画だったと思いました。見に行って得した気分です。
第二部が楽しみです。