● 2002.10.04(金)01 サイン

10月1日映画の日、台風ど真ん中の日に、マイケル・ナイト・シャラマン監督の最新映画「サイン」を見に行って来ました。

第1作「シックス・センス」を見て「なかなか良かった」と思い、第2作「アンブレイカブル」を見て「ハズレ」だと思い、第3作は見るのをよそうかなと思ったのですが、3作目も見に行って来ました。ハズレを引くのが怖かったので、値段の安い映画の日に行ったのですが。

今回の感想は、どうしてもネタバレが中心になってしまうので、見るからまだ読みたくないとか、ネタバラシは絶対嫌という人は見ないで下さい。憤慨することひとしおですから。

以下改行。























結論から言うと、ラスト以外は良かったです。

なぜラストが駄目かというと、理由は一点。宗教ネタは、宗教を信じていない人にはあまりにもナンセンスだからです。

宗教というのは、人の心理や、社会の集団をうまくコントロールするための道具なのであって、「宗教っていいよね」みたいなネタの振られ方をすると、「トンカチっていいよね」と言っているようにしか聞こえず、その宗教を信じていない人にとっては、「はっ?」と思わず問い返したくなるようなものになってしまいます。

「で、その道具を使って、何をするの?」と考えて欲しい所なのですが、「宗教っていいよね」で思考がストップする映画を見せられると、思いっきり脱力してしまいます。というか、ここで終わりなのかと問い詰めたくなります。

今回のサインと同じ感想を抱いたのは、「グリーン・マイル」という映画でした。その映画を見て感動するのって世界の何割いるんだと、監督と脚本家を問い詰めたくなるような映画です。

アメリカが映画輸出大国だからと言って、国際社会に世界的感動を与える名目で出荷する映画で、アメリカというかキリスト教系社会を前提条件として感動を要求してくるのはどうにかしてくれと思います。ある国の、文化的背景を元にした、ローカルな映画としての世界進出なら理解できるのですが。

同じ宗教を扱った映画でも、時代物は許容できます。なぜなら、監督自身が、その時代の特殊性を持ったエピソードと理解して、作品を作っているからです。

でも、現代物は危険です。監督や脚本家自身が、非常に偏狭な社会的・文化的合意事項を、世界的な合意事項と勘違いして作品を作るからです。自分自身が、世界的に見るとマイナーな存在だということを理解していない。そういうことが作品に出てしまうのが非常に痛いです。

そういう意味で、サインのラストシーンは個人的に完全にアウトでした。人によっては違う感想を抱くとは思います。事実、近くに座っていた大学生とおぼしき数人連れは、「もう1回見ようぜ」とか言っていましたので。あくまで、個人的な感想です。



さて、ではラスト以外はどうだったかと言うと、非常に面白かったです。ラストが台風のせいで停電とかになっていたら、いい映画だったと思います。本当に。

まず、特筆すべきことを1つ挙げるとすれば、ともかくお金をがかかっていないことです。

脚本兼監督のシャラマンと、主役のメル・ギブソンに凄いお金を払っているそうですが、映画の作りとしては、徹底的にお金がかかっていませんでした。いや、もう気持ちいいほどに。

ミステリー・サークル→宇宙人→宇宙人の大襲来という展開だと、SFXを駆使して……と昨今のハリウッド映画はなりがちです。でも、この映画では、驚くほどそんなものは出てきません。それなのに、ラストまで非常に緊迫してずっと観客を引っ張って行きます。

観客の驚かせ方、期待の持たせ方、引っ張り方、アイデアの小気味のよさはなかなかのものです。値段に見合うかどうかはともかくとして、シャラマンはよい仕事をしています。

映画を見終わってびっくりするのが場面の数です。主人公の家、町のお店、他人の家、回想シーンでの道、と出てくる場面はこの程度です。セットすら作る必要がなかったのではないかと思うほど簡素です。

宇宙人も設定上はたくさん出てきているはずなのですが、画面上には一体しか現れません。

ともかくお金がかかっていません。これだけお金をかけずに、あれだけ引きつけるのは、脚本いい仕事しているなと思いました。久しぶりに、脚本勝負の映画を見た気がしました。脚本家の仕事は、脚本で人にお金を払わせることなので、そういう意味ではシャラマンは第一線だなと思いました(まだ3作なので、打率がどの程度か分かりませんが。アンブレイカブルは非常に不味かったので)。

何よりもよかったのが、宇宙人のあまりにも素な登場の仕方と、とてつもなくお馬鹿な設定です。「テクノロジーを駆使した兵器を使ったら、人間が核爆弾などを使って地球の環境を破壊する。だから、宇宙人は接近戦で攻めてくる!」って、一瞬あごが落ちました。で、本当に素のまま登場して(本気でブラリと現れる)、そこら辺の農家に住んでいる元神父と肉弾戦を繰り広げます。カンフーとかも使わずに、泥棒と家主が遭遇した程度のただのケンカです。唖然としました。本気で。

拳銃のドンパチもなく、超兵器の登場もなく、SFXも駆使されず、ただ肉弾戦だけをやっていました。いや、あの宇宙人の使い方は、話のネタとして1回見ていてもよいかと思います。特にブラジルでの登場シーンは最高でした。宇宙人解剖フィルムのクオリティを忠実に再現しているかと思えるチープさは凄かったです。かなりシュールでした。あの場面は必見です。そのシーンを見ながら、本気でおろおろするメル・ギブソンたち。あのシーンだけで、500円以上の価値は確実にあります。

映画としては、以上のような感じで、ラスト部分とそれ以外の部分でかなり評価が分かれる映画でした。



あと、俳優では、子役の女の子のアビゲイル・ブレスリンが非常によかったです。現在5歳だそうですが、かなりうまかったです。また、非常に華もありました。造形的には決してかわいいわけではなかったので、かわいらしい仕草や表情を作るのが非常にうまいのだと思います。擬音語を当てるなら「ぷりぷり」といった言葉がぴったりの女の子でした。

個人的には1000円だったら満足かなという内容でした。わざわざ正規の金額を払ってまで、映画館で見るほどでもないかなと。

ただし、B級好きの方は正規の値段を払ってでも見るべきかと思います。B級の宇宙人映画として見ると、かなりイケていると思いますので。……そうなのか?




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