● 本のお話 ●

● 2005.05.21(金)01 珠玉のメイドさんマンガ「エマ」5巻(森 薫) 3月31日発売

2日前に「エマ」5巻が届き、数回読みました。エマについてはもう語るまでもないと思います。今春よりTVアニメも始まるので、みなさん御存知だと思いますので。まだ御存知ない方は、過去の感想をご覧下さい。


「エマ」5巻(森 薫)

今回の巻は前回の感情昂ぶる怒涛の展開から一転、話を閉じて行くために不足していた対立要素などを堅実に配置していくという巻です。

クールダウンした中、(たぶん)連載初期にはあまり考えていなかった駒配置をしていく感じでした。

その中、第35話の「ハワース来訪」の出来は珠玉です。今まで離れて受動的にしか動いていなかった二人なのですが、初めてウィリアムが自分の意志で遠方のエマに会いに行き、きちんと出会えるという回です。

この回は、ドロテアやその旦那の温かい対応も含めて、未来へのささやかな希望を見せます。

そして次の回で描かれる階級至上主義のキャンベル子爵のエピソード。彼はウィリアムが婚約したエレノアの父親です。

商人としての側面の強いウィリアムの父親では、物語の対立構造としては少々弱いので、この子爵を出し、最終局面に対する障害としたのだろうなと思いました。明確に敵として出されているので過激です。

「二度と社交会に顔出しできると思うな」

「恥知らずの成り上がりどもが」

という二つの台詞がこの人物のパーソナリティを現わしています。

また、子爵を出す代わりに、落とし所の布石を打つために、ウィリアムの両親であるリチャードとオーレリアの若い頃の話を二回に渡って書いているのもポイントです。

というわけで、この巻では締めに向けての布石を一つずつ打っていくという感じでした。

話は思いっきり飛びますが、4巻の表紙は色塗りが平板であまり好きではなかったのですが、5巻の表紙は色塗りが非常に美しいです。

特に肌の色が大きく違っており、4巻では黄色系の肌色だったのが5巻ではピンク系の肌色になっています。印刷の違いではなく、色の塗り方を変えたのかなと思います。

いい方に変化したのでよかったです。

あと気になったのは、「顔場面転換」です。ページめくり時に顔のアップで場面転換を行なう場所や、キャラクターのぶち抜きで場面転換を行なう場所が記憶に多く残りました。

場所が限定され、キャラクターもほぼ固定され、連載も佳境なので問題ないのでしょうが、ちょっと気になりました。この作者はキャラクターの顔の基本骨格が同じタイプの人なので。

今回の巻は、物語的構成に重点が置かれているというのが個人的感想でした。以下、目次を先に示して、各回の感想を書いていきたいと思います。

  • 第三十話  伝統と血統(前編)
  • 第三十一話 伝統と血統(後編)
  • 第三十二話 決心
  • 第三十三話 変わった人
  • 第三十四話 往復書簡
  • 第三十五話 ハワース来訪
  • 第三十六話 成り上がりども
  • あとがき


● 伝統と血統(前編)~伝統と血統(後編)

ウィリアムの両親の話です。彼らが階級社会の中で、色々と苦労があったということが書かれている回です。

今はエマとウィリアムの仲に否定的な両親ですが、この話がきっと後ほど両親の理解へと繋がるのだろうと思わせる回です。






● 決心

メイド服を着る回です。4ページかけてメイド服を着ます。

比喩ではなく、メイド服を着ることで、自分の現状を納得し前向きに行こうと決意する回です。

いや、たぶん着替えシーンが描きたかっただけ。




● 変わった人

変な人という意味ではなく、変化した人という意味です。

決心の結果、明るく周囲とも打ち解け始めるエマが描かれます。ちょっと意外でした。





● 往復書簡~ハワース来訪

圧縮と解放の回。

互いに手紙をやり取りするシーンで二人の気持ちを圧縮させ、ウィリアムがエマのいる許を訪ねることで解放する。この巻の最大の見せ場です。

この二話の構成とコマ展開はよくできているなあと思いました。



非常に分かりやすい対比


● 成り上がりども

階級主義の権化登場です。明確な悪役です。

これまで完全に敵と断じれる相手はいなかったので、物語を盛り上げるために不可欠だと思い、配置したものと思われます。

きっと酷い仕打ちを色々としてくれるはずです。

どうでもいいですが、この作者の描く男の髭は犬髭だなあと思いました。今回髭だらけなので。




● あとがき

メイドだけでなく、バニーガールも大好きなご様子。

次はアメリカでバニーガールなのかなとか勝手に想像してしまいました。肉感的な女性を描くのは好きそうなので。


● 「アンケートハガキ」

「エマ」5巻にも、毎度お馴染みの手書きアンケートハガキがついています。


というわけで、アンケートの内容と個人的感想です。

○ 好きなシーンはどこですか?

今回の巻では、「ハワース来訪」で二人が出会うシーンでしょう。あれはよくできているなあと思いました。

○ あなたのラブレターに関する思い出を聞かせて下さい

雑誌の読者層的にどうなのかなあこの質問はと思いました。

○ 好きな紅茶やコーヒーの銘柄、飲み方などは?

たぶん作者の個人的な質問なのでしょう。紅茶やコーヒーを適当に交代させながら日に一リットル以上飲んでいます。

○ その他作者に伝えたいことがありましたご自由にお書き下さい?

絵が洗練されてきたなと思います。

というわけで、エマ5巻の感想は以上です。


● 参考リンク

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エマ 5巻 森 薫(amazon)


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エマ 4巻 森 薫(amazon)


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エマ 3巻 森 薫(amazon)


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エマヴィクトリアンガイド 森 薫 (著), 村上 リコ (著)(amazon)


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エマ 2巻 森 薫(amazon)


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エマ 1巻 森 薫(amazon)


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