ここ最近注目しているマンガで、「『マンガ読み』に注目されなさそうだけどよいマンガ」が二つあります。
一つは、今回書く、ビッグコミックスピリッツ連載の「超人ウタダ」で、もう一つはヤングサンデー連載の「土竜の唄」(もぐらのうた)です。
「土竜の唄」は、高橋のぼるが書いているマンガで、ヤクザに潜入捜査している刑事が、どんどん成り上がっていく話です。
絵は泥臭いですが、話は面白いです。
高橋のぼるの他の作品だと、「リーマンギャンブラーマウス」が記憶に残っています。
「超人ウタダ」を書いているのは、中堅ベテランの山本康人です。
代表作は、たぶん「内線893」だと思います。それ以降もずっと読んでいるのですが、最近はそこそこ面白いけど、書き散らしている感の強いマンガが多かったです。
その山本康人で、久々に「来た」と思ったのが、「超人ウタダ」です。
「超人ウタダ」は、顔は駄目だけど、人一倍正義感の強い警察官の主人公歌田マモルが、腐敗した警察組織の中で、なんとか正義を行おうと地道に頑張る話です。
タイトルに「超人」と付いていますが、本当に泥臭いほど地道な普通の人の頑張り方で、彼自身には超人的要素は一切ないです。
ただし、そういった現実世界とは別の要素が、このマンガにはあります。
主人公は、「他人には見えない人物」を見ます。
それは、大正時代の殺人鬼「神崎」です。彼は、歌田の前世だと言い、歌田が「超人」であると主張します。
そして、その「超人」であることを解放し、殺人鬼になることを勧誘します。さらに、歌田の寿命まで宣言し、このまま朽ち果てるか、能力を開花させるかを迫ってきます。
歌田は、その「内部の声」と心の中で戦いながら、自分なりの正義を貫き、警察組織の中で孤立していきます。
そしてその内、「内部の声」と思っていた「神崎」が、実在した人物であることが分かり、その神崎による「現代」の「連続殺人事件」が起こり始めます。
連載は、現在、その「連続殺人事件」の真っ只中です。
個人的には、最近書き散らしていた感の強かった山本康人が、「このままではやばい」と思ったのか「本気で勝ちに来たマンガを書いている」という印象が強いマンガです。
なので、けっこう注目して読んでいます。
私の評価は、「地味だけど堅実に面白い」です。
さて、この文章を書いた切っ掛けは、今週頭ぐらいに見た夢だったりします。
その夢に、この「超人ウタダ」が出てきました。
どういう風に出てきたかというと、「アニメ化」されて、そのアニメの「一話目を見る」というシチュエーションで出てきました。
それがもう、滅茶苦茶格好よかったのです。
話は、原作にないシーンから始まります。
まず最初は、主人公が学生時代に、その顔の不細工さと生き方の不器用さで、周囲と軋轢を起こしていくシーンからスタートします。
そこに、大正時代の殺人鬼のシーンがオーバーラップします。大正時代の街並みの中で、殺人鬼が動き回ります。
さらにBGMには、邦楽のジャカジャカしたロック(アジカンとか)がバンバン使われ、シーンを盛り上げます。
その「第一話」の最後は、校舎の外で、駄目声で歌を必死に歌って、周囲に無視されるというシーンで終わります。
なんというか「鬱屈大爆発」といった「圧倒的圧力」を感じる作品になっていて、夢の中でアニメを見ながら「これは凄い!」とか勝手に思っていました。
気づいたら、夢だったわけですが。
でも、こんなアニメなら見たいです。
というわけで、あまりにも格好よかったので、忘れないようにメモしておきます。
「超人ウタダ」は、地味だけど面白いマンガです。
夢の中の第一話は、再構成しまくりでしたが。