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2007年06月01日 17:29:32
ライムライト
 映画「ライムライト」のDVDを四月下旬に見ました。

 1952年の作品です。

 切なく悲しい物語でした。

 心の深いところに入ってきて、傷を抉るように辛い気分にさせ、涙させる。

 チャップリン渾身の作品だと思いました。

 人が死ぬことで涙を流させる作品は多いのですが、この作品で流す涙はそういった涙ではありません。

 老いることや、自分の人生をどう生きるかということ、そういったことを考えた上での決断の積み重ね、それ自体が切なさや悲しみを誘います。

 これは素晴らしい作品だと思いました。

 また、自分自身が老いなければ書けない脚本だとも思いました。



 以下、粗筋です。(ネタバレあり。終盤に入ったところまで書いています。結末は書いていません)

 かつて人気者だった道化師の主人公は、酒で身を持ち崩し、失職状態だった。

 彼はある日、アパートの自分の部屋に帰った時に、ガスの臭いを感じる。自殺だ。そのことに気付いた彼は、扉を開けて、その相手を救い出す。

 自殺しようとしたのは、若くて美しい女性だった。彼女はバレリーナだが、心因からくる足の麻痺で絶望し、ガス自殺を図っていた。

 主人公は、彼女を元気付けようとする。

 そして、彼女に、舞台の仕事に復帰しようという気持ちを呼び起こさせようとする。またそのために、自らも舞台に復活しようとする。

 彼は、酒を断ち、かつての栄光をかなぐり捨てて仕事を取る。

 その姿勢に心打たれた女性は、次第に元気を取り戻し、リハビリをこなして復活する。

 だが、主人公は、彼女の復活とは裏腹に、辛い現実を直視することになる。時代遅れとなった彼の芸は観客に受け入れられず、舞台では罵声を浴びる。

 やがて女性はバレリーナとして成功の階段を上り始める。そして、ある劇場のプリマドンナとなる。彼女のコネで、主人公も道化役として舞台に立つ。

 やがて女性は、主人公と結婚したいと言いだす。しかし、主人公はそのことで心を痛める。

 彼は一人の男である以前に、舞台で芸を披露する芸人だ。老いた自分には未来がなく、これから伸びる女性には輝かしい未来があることを、彼自身が一番理解していた。

 また、女性には、かつて心を通わせた男性がいた。その男性は作曲家として成功して、女性に思いを寄せていた。

 主人公は、自分は身を引き、この二人が結ばれることこそが正しい未来だと考える。

 彼は、舞台から身を引き、女性の前から姿を消し、酒場で歌いながら日々を過ごす生活を始める。

 だが、やがてそのことが女性にばれる。彼女は、主人公のために、記念公演を企画する。その舞台には、主人公に黙って、多数のサクラを用意していた。

 主人公は、その舞台に立ち、道化師としての全人生を賭けて、観客たちを笑わそうとする。



 芸人や役者、物書きやデザイナー、そういった、自分の能力で仕事をしている人は、誰しもこの映画を見ると辛い気分になると思います。

 やがては老い、枯れ、自分の能力では仕事ができなくなる。そのことを、真正面から扱っているからです。

 その事実は、そういった職業の人間にとっては、死刑宣告に近いものです。

 そういった題材を、芸の道に生きたトップレベルの人が、自ら描いているのです。そのことだけでも、胸にぐっとくるものがあります。

「分かる。分かるけど、悲しい」

 そう思いながら、全編辛い気持ちになりながら映画を見ました。

 とてもいい映画ですが、とても辛い映画です。



 また、「知る」ということは「不幸」ということと同義語だなということを、この映画からは感じます。

 昔勤めていた会社の先輩と話したことがあるのですが、「知る」ということは、「不幸になること」だという話があります。

 知らなければ幸せだったが、勉強して自分がどういった状態にいるか知ってしまったがために、自分の現状に不満を感じ、不幸になるという話です。

 この映画の主人公は、酒に溺れる人生に満足していましたが、酒を断ち、芸の道に復活したがために不幸になっていきます。

 自分自身に自覚的になり、きちんとした判断力を持つことによって、自分がいかに駄目な状態にいるかを知っていく。そのことが、痛いほど胸に迫ってきます。

 そういった部分も、素晴らしいけれど、辛い映画だなと思いました。



 この映画は、チャップリンが初めて映画で素顔をさらした作品で、同時にアメリカでの最後の作品だそうです。

□Wikipedia - ライムライト (映画)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83...

 そういったことも考えると、さらに心に来る物を感じます。



 さて、映画を見る前に聞いていた、バスター・キートンとの共演ですが、後でキャストを見てみて、「ああ、彼が晩年のキートンだったか」と思う程度にしか分かりませんでした。

 主人公と一緒に舞台をやっていた仲間が、キートンだということでした。

 まあ、年を取って、化粧をしていなければ、人相は変わりますし。

 人相が違うといえば、チャップリンの人相も、最初本人だとは分かりませんでした。

 化粧をしていないと、誰だか分かりません。化粧なしの顔は、なかなか柔和な顔でした。



 映画中、感心したことがあります。

 それは、台詞です。非常に含蓄のある、人生を深く考えさせられる台詞がやたらと多かったです。

 そういった台詞が、さりげなく映画全体に撒き散らされています。

 映画の内容もそうですが、こういった部分からも、非常に成熟した作品だなと思いました。



 最後に、ライムライトの意味について書いておこうと思います。

ライムライト【limelight】

1 ライム(石灰)片を酸水素炎で熱し、強い白色光を生じさせる装置。また、その光。19世紀後半、欧米の劇場で舞台照明に使われた。石灰光。

2 名声。評判。また、花形。


□Yahoo!辞書 - ライムライト
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%83...

 名声ですか。

 まさに、この映画に相応しい名前だと思いました。
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