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2008年04月26日 10:34:52
あこがれ・大人は判ってくれない
 映画「大人は判ってくれない」のDVDを三月下旬に見ました。

 1958年の白黒映画で、監督・脚本はフランソワ・トリュフォー。

「あこがれ」(1958)「大人は判ってくれない」のセットのDVDで見ました。

 この作品は、町山智浩氏の本で、初期のスピルバーグが影響を受けたということが書いてあったので見ました。

 映画はよかったです。

 でも、途中まで見ていて「これってもしかしてトリュフォーの自伝?」と思いました。DVDには映像特典が付いており、トリュフォー自身が大いに語っていました。

 やはり、自伝的内容の映画だったようです。でも、「自伝にならないように、脚本に助っ人を呼んだ」と言っており、ストレートになり過ぎないように気を付けたそうです。

 しかしまあ、この人は子供を撮るのが本当に上手いなあと思いました。

「あこがれ」(1958)や「野性の少年」(1969)でも子供を撮るのが上手いなと思いましたが、本当に上手いです。

 そして、子供の細やかな心を汲み取るのが本当に上手いなと思いました。

 家庭環境が不幸だったスピルバーグが共感したというのも分かるなと感じました。



 この映画は、親から愛されていない子供が、ふとした切っ掛けから徐々に社会から外れていき、社会から脱落していく話です。

 とはいえ、それは子供なら普通経験することで、大人がきちんと見守って、フォローしてあげれば、きちんと正しい道を歩めるレベルのことです。

 逆に言うと、親の愛や庇護が受けられない子供の不安定さが描き出されている映画です。

 愛されたいんだけど、愛してもらえない。何かを表明したいんだけど、上手く伝えることができない。

 主人公の少年は決して悪い人間でも馬鹿な人間でもありません。普通より頭の回転はよさそうで、利発な子供です。

 でも、子供です。

 その「子供である」ということのどうしようもなさがよく表現されているなと思いました。



 通常、映画などの作品では、ある部分を切り取ることによって、その対象の本質であったり内面であったりを上手く表現することで、他人に何かを伝えます。

 しかしこの作品は「切り取っている」という印象を受けません。「その全てが彼自身だ」という印象を受けます。

 一部分に代弁させるのではなく、総体が何かを表しているという作りです。

 これは難易度が高いなと思いました。そういった表現をするには、その対象について非常に深く知っていないといけないからです。

 そういった部分が感じられた時、トリュフォーの経歴を思い出し「これって自伝?」と思うようになりました。

 他人事の内容ではなく、自分自身が向き合った内容がそのままスクリーンに描写されている、本物の出来事だと感じましたので。



 映画は、主人公の終盤の環境の変化も含めてよくできていました。

 なるほど、よい映画だなと思いました。



 以下、粗筋です。(ネタバレあり。終盤の始まりまで書いています)

 主人公は十二歳の少年。彼は母親の連れ子で再婚した父親とともに三人で暮らしていた。

 彼は自分が愛されていないと感じていた。そして、徐々に親と対立するようになっていた。

 少年は、ある日、友人とともに学校をさぼった。そして町を歩いている時に、母親が他の男とキスをしているところを目撃してしまった。

 母親は、少年のことを疎ましく思っていた。そのことを少年は知っていた。そして、自分の居場所がないと感じていた。

 彼は学校に行き、なぜ休んだのかと教師に詰問される。そこで母親が死んだからと告げてしまう。

 そのことで彼は教師から、両親から大目玉を食らう。

 彼は家を出る。そして、友人の家に隠れて住むようになる。彼は生活の糧を稼ぐために泥棒をする。そして警察に捕まる。

 主人公の周囲の人間は、彼のことを駄目な人間だとみなす。母親も父親もそうだった。主人公は失意のまま少年院に送られる……。



 DVDには特典映像が付いていました。

 そして、その中で、トリュフォーが最も影響を受けた映画監督としてルノワールを上げていました。

「ルノワール?」

 あれっと思って調べてみました。

□Wikipedia - フランソワ・トリュフォー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83...

□Wikipedia - ジャン・ルノワール
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82...

 映画監督ジャン・ルノワールは、印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワールの次男。

 これって、渋谷のBunkamuraで今行われている「ルノワール+ルノワール展 画家の父 映画監督の息子」のルノワールだ……。

□ルノワール+ルノワール展
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_08_renoir.html

 私の中で無関係だった情報がピキーンと繋がりました。

 そして、今まで無関係だった情報が一本の線で繋がりました。

「スティーヴン・スピルバーグ」←「フランソワ・トリュフォー」←「ジャン・ルノワール」←「ピエール=オーギュスト・ルノワール」

 まあ、直接の関係はないでしょうが、スピルバーグがルノワールに繋がったのは驚きでした。

 世の中は狭いなと思いました。
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