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[映画] 「崖の上のポニョ」感想

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http://www.ghibli.jp/ponyo
2008/08/11(月) 12:02:01
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 前後しますが、劇場で見た物優先で感想を書きます。

 映画「崖の上のポニョ」を劇場七月末に見てきました。

 2008年の映画で、監督・脚本は宮崎駿。

 世間では賛否両論のようですが、私は楽しめました。

 まあ、否定派の意見も分からないではないですが。

 以下、それらのことについて、個人的な見解を書きます。



 さて、まずは劇場用宮崎アニメ特有のお約束事があります。

 それは、主人公=対象視聴者という前提です。

 一応全年齢向けに映画を売っていますが、基本は「主人公=対象視聴者」というのが、宮崎駿の中ではあると考えています。

 それは、これまで見てきたインタビューや、文章から考えたお約束事です。

 でも、その相手だけに対象を制限すると商売にならないので、全年齢対象で売っています。

 今回の「崖の上のポニョ」は、主人公とヒロインが五歳の男の子と女の子です。

 つまり、対象年齢は五歳です。

 なので、複雑なストーリーはないだろうと思っていました。絵が動いて、わーっとなって、わくわくしてそれで終わり。

 映画を見に行って、本当にそうでした。ストーリーはあってなきがごとしでした。

 予想通りでしたが、やっぱりそうだよなと思いました。

 ちょうど、五歳向けの絵本をそのままアニメ魔術師宮崎駿の手で、これでもかとウネウネ動かしたような映画です。

 そういう意味では、達人技術者宮崎駿のアニメートを見に行くつもりで見に行った私は十分楽しめました。

 他人の感想では、子供のしでかしたことに対する罰がないことに憤慨している人もいましたが、まあそういった作品じゃないようだしなと思いました。

 五歳だと、世の中の因果関係よりも、世界の手触り感を楽しむ年齢だと思います。

 この映画の分かりやすいイメージとしては、絵本の中の小さなジャンルとしてある「動かせる絵本」です。

 ペーパークラフト的な作りで、絵を動かせる絵本、この映画はそういった印象の作品です。こういった本はストーリーが主眼ではなく、動くことが主眼です。

 対象年齢的に、そうなんだろうなと思いました。



 ただ、宮崎駿が年を取り、説得力のある力強いストーリーを組める内的パワーがなくなってきているんだろうなという印象もありました。

 私の中では、宮崎駿は“死ぬまでの作品の変化を観察する対象”に既に入っているので、それ自体は別に不満ではありませんでした。

 宮崎駿は、“死ぬまでの変化”が“宮崎アニメという作品”になっていると、私は思っていますので。



 次に、この映画は劇場用アニメではあるけれど、大作映画ではないということです。

 プログラムに宮崎駿自身が書いていましたが、ジブリの博物館でやっていた小品の実験的延長だそうです。

 時間も百分程度なので、宮崎駿の劇場用アニメとしては短い方です。

 こういった背景もあるので、物足りなさを感じる映画だと思います。実際、物足りない印象がありました。

 それに、五歳向けのためか“死を描かない”ので、カタストロフの落差が乏しく、そういった意味でも満足感が薄いです。

 たぶん、十分削って九十分にして、値段を三百円から五百円下げると値段に対する満足感が高まるのではないかと思います。

 劇場用アニメとしての満足感を与えてくれる作品ではありませんので。

 そういう意味では、劇場モデルの商売でやる映画としては、作りがまずいと思います。端的に言うと失敗作です。だから悪い作品というわけではありませんが。

 まあ、求めるものが得られなかった人は多いだろうなとは思いました。



 クトゥルフ神話について。

 まあ、言いたい人が多いのも分かります。私は気になりませんでした。

 それよりも気になったのは、ポニョの父親と母親がどんな交尾をしたかです。

 妹の数から考えると、魚のように卵を大量に出して、そこに掛けるというやり方です。

 あと、妹が無数にいて、姉が一匹ということは、凄い勢いで食べられています。

 そっちの方が激しく気になりました。



 賛否両論についての個人的な見解はだいたいこんな感じです。

 以下、映画自体に対する感想です。



 一言で言うと、「崖の上のポニョ」は、「液体と幼女」のアニメでした。

 まあ、幼女なのは今回に限ったことではないのですが、五歳の幼女が走って、はしゃいで、動き回ります。

 お魚のポニョは、半漁人になり、幼女になり、映画の中盤以降は主に幼女として活躍します。

 何を出しても幼女に行き着く辺り、期待を裏切りません。六十を過ぎて、なお盛んのようです。

 そして液体。

 今回のメインは液体のアニメです。海をウネウネ動かして、水を擬人化して蠢かせて、様々な方法で液体の表現をしまくります。

 宮崎アニメと言えば「食事シーン」なのですが、ここでも徹底していて「液体」が中心です。

 今回の食べ物のメインは「スープ」と「インスタントラーメン」です。

 ポニョが使う魔法の源泉も生命の水です。

 徹頭徹尾“液体”です。

 まあ、小品の延長として、液体の実験がやりたかったんだろうなというのが個人的印象です。

 液体も幼女も動きは、さすがによかったです。



 さて、今回の作品で感心したところがあります。

「ゲド戦記」は飛ばしたので、一つ前に見たのは「ハウルの動く城」なのですが、「ハウル〜」では映像表現に違和感がありました。

 金属質の乗り物などをCGで合成しているのですが、その質感が浮いており、アニメの整合性としていまいちだと感じました。

 今回は、そういった部分がほとんど感じられずに、コンピューターを使った部分の整合性がよく出来ていると感じました。

 今回の「崖の上のポニョ」の背景は色鉛筆調です。

 この背景を動かすのに、控えめにCGが使われています。その使い方は、背景オブジェクトの枠線を動かし、その線を境にマスキングして、中の色鉛筆調の部分は別のアニメーションをさせるといった使い方です。

 これが、なかなか雰囲気がよかったです。

 何より、色鉛筆調の背景が絵本っぽくてよかったです。

 これは上手くできているなと思いました。



 ただし今回は、絵は基本的にシンプルに作ってあるので、劇場で見るレベルの金の掛かった絵を見に行った人は肩透かしを食うだろうなと思いました。

 私も、その点では不満が残りましたので。



 ストーリーについても少し書きます。

 基本は人魚姫伝説にのっとったものです。

 大筋はあれでいいだろうと思いましたが、ラストの老人ホームのおばあさんたち絡みの展開は、説明不足というか、そもそもいらないだろうと思いました。

 あそこを切って、上手いエピソードを入れて調整すれば、もっといい作品になっただろうと感じました。



 もう一つ、ちょっとなあと思った点があります。

 主人公の母親の行動です。

 中盤以降、母親として問題のある行動が散見します。

・水が溢れて危険だと忠告されている道を、家に早く帰りたいという理由で、子供を乗せた車で突っ切っる。

・五歳の息子と、誰だか分からない幼女を洪水真っ只中の家に残し、職場が気になると言う理由で、家を出て行く。

 演出的都合で母親が動いていて(主人公は終盤に、家から母親の職場に移動(冒険)する)、本来あるべき母親の行動を大きく逸脱しています。

 ここはさすがに頂けないなと思いました。



 あともう一点。どうでもいい感想です。

 主人公は、幼女に「ぽにょぽにょしているからポニョ」と言い、幼女は喜ぶのですが、これは五歳だから許される会話だなと思いました。

 大人の女性に同じことを言ったら、たぶん叩かれます。



 以下、粗筋です。(少しだけネタバレあり。中盤まで書いています。ラストに関わるネタバレはないです)

 海の底に、かつて人間だった男が住んでいた。

 彼は、偉大なる海の精との間に魚の子供を儲けていた。

 その内の一匹が、家を離れて冒険に出る。そこで底引き網漁船の網に巻き込まれてあやうく捕らえられそうになる

 彼女はガラス瓶に頭を突っ込んだ状態で岸まで運ばれた。その彼女を助けてくれたのが五歳の少年だった。

 彼女は、ガラス瓶を割った時に怪我をした少年の指を舐め、その傷を治す。

 不思議な金魚を助けたと思った彼は、その魚を飼い始める。

 しかし、娘を探しに来た父親に取り返されてしまう。彼女は、人間の血を吸った影響で半魚人となる。

 父の許に戻った彼女は、父親が集めていた生命の水を飲む。

 そして完全な人間の姿になる。強大な魔法の力を得た彼女は、海を荒し、大洪水を起こしながら少年の許に向かう。

 海面は上昇し、町のほとんどは沈んでしまった。

 少年と、元魚の少女は再会する。

 彼女の父親は世界の危機を知る。海面が上昇したのは、娘の強大な魔力に引き寄せられた月のせいだった。

 このままでは月が落下する。

 彼は海の精の妻と会い、この世界の危機を救うために一計を案じる。



 私は楽しめましたが、万人が満足するタイプの作品ではないなというのが感想です。

 あまり、うるさ方には受けないだろうなというのが正直なところです。

 単純に動いているのを見て「わー」と言える人向きの映画だと思います。五歳向けですし。

 なので、行こうか行くまいか迷っている人は、頑張って見に行かないでもいいと思います。

 最近三作の個人的評価としては、以下の通りでした。

「千と千尋の神隠し」>>「崖の上のポニョ」>>>>>「ハウルの動く城」




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