映画「12人の優しい日本人」のDVDを四月の中旬に見ました。
三谷幸喜脚本ということで借りてきた一本です。
あー、まあ、「12人の怒れる男」を日本人に置き換えるとこうなるよなという映画でした。
いろんな意味で頭がきりきりと痛くなります。こういう、非論理的な偏った人間の滅茶苦茶な主張を、延々と聞かされるのはストレスが溜まります。
面白いのは面白いのですが、完全にシチュエーション・コメディー(それもブラック)だよなと思いました。
陪審員制に近い、裁判員制度が日本にも導入されるようですが、こんな感じの話し合いに本気でなりそうで嫌だなと思いました。
□裁判員制度
http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/c8_2.html あと、この制度が始まると、絶対に何人かに一人、「12人の怒れる男」ごっこをやる人間が出るよなと思いました。
だって、面白そうなんだもの。
あと、俳優のなかではトヨエツがよかったです。二転三転する宇宙人みたいな役がなかなか楽しかったです。
以下、初期設定です。シチュエーション・コメディーなので、粗筋はあまり関係がないので。
ある女性が、かつての夫に復縁を迫られて突き飛ばした。その結果、夫はトラックに引かれて死亡する。彼女は殺人罪か正当防衛か?
その裁判で、12人の男女が陪審員として選出される。
彼らは、無罪か有罪かを挙手で決める。全員無罪ということで、話し合いは終了した。
「終わった」と思った面々は席を立ち、部屋を出て行こうとする。
「あの〜、もう少し話し合いませんか? 僕は有罪に変えます」
若い男が吐いたその台詞で、会議はもつれにもつれ出した。
笑えるが、笑えないコメディーです。
陪審員制に近い裁判員制度が現実のものになることを考えれば、このコメディーのような状況が、本気で起こり得るなと思えて頭が痛くなります。(実際には裁判官が止めてくれるのでしょうが)
「俺は、彼女が美人だから無罪だと思う」
「無罪。うーん、フィーリングかなあ」
「自分で物事を考えるなんて怖いです」
「どっちでもいい。早く帰りたいんだよ!」
だいたいみんなこんな調子。
コメディーだとは分かっていても、笑えないなと思いました。