2006年05月28日 02:29:42
映画「陽気なギャングが地球を回す」を二日前に映画館に見に行きました。
伊坂幸太郎の同名原作の映画化作品です。
一緒に行ったのは、友人二名と映画観賞サークルのメンバーの女性三人(合計六名)。
映画自体には問題点が散見されたのですが、俳優の演技は楽しめました。
以下、粗筋です。(序盤のみ)
人の嘘が見抜ける男成瀬、スリの天才青年久遠、絶対時間の体内時計を持つ凄腕ドライバーの雪子、全ての人を引き込む演説の天才響野。
退屈な日常を過ごしていたこの四人は、ひょんなことから意気投合。彼らはロマンを求め、チームを組んで銀行強盗を行なうことにした。
しかし、完璧と思われた計画は漏れ、お金が別の集団に奪われる。
彼らは、現金を取り戻し、さらに敵を倒すために次の計画を練る。
問題点は以下の三点です。
1.フィクションの舞台に観客を上げるのに失敗している。
2.CGがしょぼい。
3.終盤のちょっと複雑なプロットを説明する部分が破綻している。
まずは1から。
映画が始まって数分は、チームができる過程を描いているのですが、これが短過ぎるというか、あまりにも端折り過ぎています。
そのせいで、この四人が組むことに納得がいかず、感情移入もできず、以後映画中の感情的な場面は全て「うーん、なんでこんなに熱くなっているの?」と思ってしまいます。
また映画中、響野が「ロマンはあるか?」と何度も言うのですが、導入に失敗しているために、この台詞が非常に空々しく聞こえます。
導入部分は映像的なギミックに凝り過ぎていて、一番重要な部分、“観客がキャラクターに自分を重ね合わすこと”に注意が払われておらず、完全に失敗しています。
これは問題だなと思いました。
次は2。
カーチェイスの車がCGで描かれているのですが、このCGがしょぼいです。光の反射率が高過ぎて、周囲の絵から浮いてしまっています。
モデルが悪いのではなく、純粋に質感が悪いだけなので、もう少しどうにかならなかったのかなと思いました。
なんだか、玩具の車が走っているようでした。少なくとも、映画館で見るCGのクオリティには達していないと感じました。
最後は3。
終盤、少しプロットが錯綜するのですが、これをうまく説明できていない。
ある場面が入る際、当然事前で説明されていないといけないことが抜けていたり、いくらなんでも無理だろうと思う展開があったり、そんな部分が目白押しでした。
正直言って「つながってないよな」と思いました。
そもそも脚本がまずいのか、映像化の時点でぐちゃぐちゃにしてしまったのか分かりませんが、終盤は完全に破綻していました。
たぶん、原作とは大きく違うんじゃないかなと思ったので、映画が終わったあとに、原作を読んできた方にそのことを聞いてみました。
原作の要素を分解し過ぎ。原作はきちんとしたミステリー。
ということでした。たぶん、要素を分解し過ぎて、空中分解してしまったのだろうなと思いました。
原作も活かせておらず、だからといって映画用に加えた新しい要素も有効になっておらず、なんというか非常に中途半端な印象を受けました。
せめてもの救いは、役者の好演です。主役四人はよかったです。
でも、古田新太(脇役)を出しているのに、全く活かし切れていないのはどうかなと思いました。
以下、少しだけネタバレです。
映画中にクイズが出されます。かなり簡単な問題です。映画の最後に答えが明かされます。
その答えが出たとき、映画館のかなりの場所から「あぁ!」と感心する声が上がっていました。
なるほど、これぐらいのレベルの問題を出せば、一般の観客は感心するのかと思いました。こういったクイズのレベルの選択は難しいので。