映画「アパートの鍵貸します」のDVDを十月中旬に見ました。
1960年の映画で、監督・脚本はビリー・ワイルダーです。
この監督は「麗しのサブリナ」や「お熱いのがお好き」を撮っていますね。そういった方向性の映画が得意な人なのだと思います。
俳優は、主演がジャック・レモン、ヒロインがシャーリー・マクレーン。
シャーリー・マクレーンはとても可愛らしかったです。現代にも通じる可愛らしさを持っていると思いました。
シャーリー・マクレーンの役について少し書きます。
ヒロインは、可愛いけど、男運がなくて、不倫などの地雷系恋愛に気付くと突っ込んでいくという設定です。
「どういったキャラ付けですか」と思いました。
いやまあ、そこらへんが、男性の庇護欲をそそるのでしょうが。
さて、映画ですが、面白かったです。ラブコメディーとしてよく出来ているというのもあるのですが、何よりも「設定勝ち」だなと思いました。
これは、序盤の粗筋を書けば、「ああ、なるほど」と頷けると思いますので、まずは粗筋を書きます。
以下、粗筋です。(序盤だけです)
主人公は大手生保会社の平社員。
彼は、ある日、パーティーに行く友人のために、着替え用に部屋の鍵を貸した。
その後、主人公は、そのことを聞きつけた課長に請われて、逢引きのためにアパートの鍵を貸し始める。
いつしか噂は課長たちの間で広がり、主人公は四人の課長に自室の鍵を貸し、そのスケジュール管理をするのが副業になっていた。
だが、主人公は、そのことを嘆いてはいなかった。そのコネを最大限に利用して出世しようとしていたからだ。
そんなある日、彼は部長に呼び出される。そして、アパートの鍵のことを糾弾される。出世の切り札にしようとしていた主人公は慌てる。
しかし、部長の目的は、そのアパートの鍵を自分も利用することにあった。
主人公は了承し、そのことと引き換えに昇進する。主人公は有頂天になり、前から恋していたエレベーターガールにアタックをかけようと考える。
しかし、そのエレベーターガールこそが、部長の逢引きの相手だった。
そして、エレベーターガールと、部長、そして主人公が、アパートの部屋で入り乱れる、悲喜劇が始まった。
この「部屋貸し」の設定は、これだけでもう「勝ったも同然」の設定だと思います。
そして、部長が出てきた時点で、三角関係が予想され、その後は、その通りの展開になります。
なんというか「安心して見ていられる良質コメディー」という感じでした。
最後はちょっと甘々な展開なのですが、まあ、コメディーなのでよいかなという感じです。
現在リメイクするなら、「もう一ひねり欲しい」と言われそうなラストではあるのですが、まあこれもありかと思いました。
今回、この映画を見て思ったのは、「コメディーでは、『よい設定』を考えられれば、かなり簡単に話が転がるな」ということです。
他のジャンルでもそうなのですが、コメディーでは特にその傾向が強いと感じました。
素人でも先が読めるぐらい「設定」から転がる部分が見えるので、プロも加工しやすいのではないかと思いました。
この映画のコメディーには、サブの小ネタも利いています。
逢引きのために上司たちに部屋を貸しまくっているせいで、隣人たちから主人公が精力絶倫男だと勘違いされているという設定です。
「又貸し」は、当然ばれるとまずいので、主人公は、全てを「自分のせい」として振舞います。
そのせいで主人公は、彼女もいないのに、「物凄い女ったらし」と思われて、隣人たちの前ではそう振る舞います。
これが、観客視点では、ニヤニヤできて面白いです。
そういった、繰り返しギャグで使える設定を織り交ぜて、メインコメディーとサブコメディーを上手くミックスして話は展開されていました。
この監督は、こういったのが得意なんだろうなと思いました。