映画「フレンチ・コネクション2」のDVDを十月上旬に見ました。
1975年の作品で、監督はジョン・フランケンハイマー、脚本はアレクサンダー・ジェイコブス他です。
途中、ちょっと中だれするかなと思う部分もありましたが、基本的には興奮しました。特にラストの映画の終わり方は、前作同様格好よくて圧巻でした。
さて、少しだけ先に、あれっと思ったことを書きます。
「ポパイ(主人公)は、こんなに痩せていたっけ?」と思いました。
主演のジーン・ハックマンは、前作ではもっと骨太の印象でしたが、今作では、かなり痩せ過ぎのように見えました。
服装の違いなのかもしれませんが、ちょっと気になりました。
以下、前作「フレンチ・コネクション」(1971)のネタバレも含み、本作のネタバレ的な部分も含んで文章を書いていきます。
特に、先が分かったからといって、困るタイプの映画ではないので、大丈夫だとは思いますが。
この映画は、前作で逃げられたフランス・マフィアをやっつけるために、フランスに乗り込んで行くという話です。
主人公は単身で乗り込んで行き、地元の警察と対立しながら、どうにか敵のボスに肉薄しようとします。
この映画の魅力は、いくつかあります。
・マルセイユの風光明媚な景色。
・地元の警察との対立。
・マフィアとの対立。
・大掛かりな仕掛けのアクション・シーン。
・抑圧された主人公の、頭のネジが飛んだ反撃。
その中でも、特に快感要素の強い、「抑圧された主人公の、頭のネジが飛んだ反撃」について書こうと思います。
本作は、前半は抑圧シーンが続きます。
地元の警察にはそっぽを向かれ、マフィアは探し出せず、ようやく接触できたかと思ったら、監禁され、麻薬中毒にされ、ようやく解放された後には、麻薬を抜くために刑務所でのたうち回ります。
これだけ書くと、ずっと抑圧続きで間が持たないような感じですが、マルセイユの風光明媚な景色と、主人公の独白で観客の注意を引っ張ります。
「主人公の独白」とわざわざ書いたのには訳があります。
この映画は、主人公以外はほとんどフランス語を使うので、何を言っているのか分かりません。主人公も、何を言われているのか分かりません。
その周囲の人間の行動から、何をしゃべったのか推察したり、主人公の台詞から状況を把握したりしていくことになります。
とはいえ、描写は丁寧なので、言葉がなくても何をしゃべっているか分かるし、どういう状況なのか分かります。
そういった、孤立無援、言葉も通じないし、肉体・精神的にダメージを負ってどん底に叩き落とされた状態から、主人公の反撃が始まります。
反撃の狼煙は、主人公が、敵に監禁されていたホテルを放火するところから始まります。
えっ、主人公が、外国で放火って、ちょっとまずいだろうと思いましたが、そうしたくなる主人公の心情も分かります。
ホテルにガソリンをぶちまけながら、主人公は火を付けて回ります。
そこからは、派手なアクションと、蛇のような執念深さで敵を追い詰めていきます。
特に、ラストの敵のボスとの追いかけっこシーンは、長過ぎるきらいがあるものの、焦りと興奮がブレンドされていて非常に手に汗を握るシーンになっていました。
というわけで、楽しかったです。
ただ、麻薬を打たれて、そこから立ち直るまでのシーンがちょっと長い気がしたので、そこは少し短くした方が好みだなと感じました。
以下、粗筋です。
主人公はニューヨークの刑事。彼は、麻薬を追い掛け、フランスのマフィアを追い詰めたが、政治的に逃げられてしまう。
彼は単身、その本拠地であるフランスのマルセイユに行く。
だが、地元の警察は彼を蚊帳の外に置き、怒った主人公は一人でマルセイユの町で捜査を続ける。
実は、地元の警察署長は、主人公の上司からある話をされていた。主人公を囮にして、マフィアのボスを釣る話だ。
しかし、その囮作戦は失敗し、主人公はマフィアに捕まり、地元警察は行く先を見失ってしまう。
数週間麻薬を打たれ続けた後、主人公は警察署の前に捨てられる。
主人公は麻薬を抜くために牢獄で耐える。囮捜査に失敗した後ろめたさから、地元警察は主人公に同情を寄せる。
麻薬を抜き、外に出た主人公は、自分が監禁されていたホテルを探し出し、ガソリンをぶちまけ放火する。
そして、マフィアの関係者を炙り出し、捜査の端緒を作る。
主人公と地元警察は、協力して、取引の現場に乗り込む。しかし、逃げられてしまう。
だが、お金の受け渡しがまだあるはずだった。主人公は地元警察を説き伏せ、張り込みを続ける。
そして支払いのための接触から、本拠地を突き止め、一網打尽にするために、敵の秘密のアジトに奇襲を掛ける……。
終盤の、じりじりとにじり寄るような追跡劇とアクションは非常に楽しかったです。
でも、個人的に一番派手だなと思ったのは、ホテルの放火シーンでした。