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2003年09月17日 14:25:19
 北野武監督映画の「座頭市」を見てきました。いやー、いいですね。エンターテインメントしまくりですよ。北野武監督の映画というと、これまでHANABIしか見たことがなく、HANABIは個人的に面白くなかったので、ちょっと不安ではあったのですが、徹頭徹尾娯楽作品という感じでよかったです。
 リアリズムというよりは、リズムを重視した映画で、最初から最後まで映画はリズミカルに進行していきます。北野武いわく「最後のタップダンスのシーンのリズムに、映画の最初から持って行かないと駄目だと思っていた」という言葉の通り、音が跳ね、人が躍動し、途中で挟まるユーモアで調子をつけながら、チャンバラの見事な殺陣で締めて行くという、非常に気持ちのよい映画でした。
 それにしても思ったのは、役者としてのたけしの存在感。特に仕込み杖を鞘に収めるシーンの“ため”は最高で、殺陣の“速”と対を成してぐっとくるものがありました。その他俳優で良かったのは、おうめ役の大楠道代。映画中最も最高齢の女優のくせに、前半部分の華を1人で食っていました。他に若い女優も出てきているのに、表情だけで1人際立っていました。
 さて、映画自体なのですが、因果関係よりも面白さを重視した作りとなっていました。シーンとシーンの連続性を考えると、なんでこうなるの?と思うような話の繋ぎもあるのですが、「これは時代劇なんだよ」というネタとしての強引さと、そんなことを考えさせないリズムの速さで、観客をぐいぐいと引っ張っていってくれます。漫画雑誌モーニング誌上の対談で、「映画は途中で戻って見られないから平気で嘘をつける」みたいなことを言っていましたが、なるほど、これがたけし流の嘘のつき方かとニンマリとしてしまいました。
 時代劇のコテコテのネタが随所に散りばめられている座頭市なのですが、いろんな所で肩透かしを食らわせて観客の注意を飽きさせません。そして、金髪の座頭市。金髪で今までの座頭市のイメージを切り捨てて、時代劇と現代劇の境界をぶち壊しているのかと思わせておきながら、終盤でちゃんと金髪に意味があることを悟らせる。憎いなあと思いました。
 そして座頭市の名前。劇中、座頭市は冒頭で名前が出てくる以外は、1回しか名前を呼ばれません。後は、全部「あんま」もしくは「あんまさん」と呼ばれます。同じ扱いのキャラクターがもう1人います。浅野忠信演じる服部です。彼は「浪人」と呼ばれます。劇中、主役級のキャラは、座頭市、服部夫婦、おきぬとおせいの姉弟の3グループあります。この中で、名前で呼ばれないのは座頭市と、服部。彼ら2人は、既に目的も見失ってただただ人を斬る男たち。特に座頭市は理由も明かされず斬って斬って斬りまくります。終盤のシーンでも、ストーリーと関係ない所でひたすら斬りまくる役です。
 そんな座頭市の扱いを見ていて、「いやー、だってよう。座頭市、座頭市とヒーローみたいに言うけどよう、ありゃあ、俺に言わせてみればただの人斬りだよ。しょせん外道だろう」と、北野武というよりは、いつもテレビで見ているビートたけしの口調でシニカルに笑い飛ばしている姿が想像できて、なるほどなあと思いました。
 この名前の呼び方が、あっちの世界に行ってしまった人か、そうでない人かを分ける境界線のように思えました。
 あと、映画として面白かったのは音の扱い方です。目の見えない座頭市に合わせてか、効果音の使い方が面白かったです。効果音も音楽の一部になっているというか、音楽に効果音を合わせるために演技自体を極端に歪曲しているシーンが多くて面白かったです。ただ、残念だったのが、音楽の音色の悪さ。BGMが強く表に出るシーンでは、音色の悪さが前面に出て、かなり痛かったです。和系の楽器を使っているシーンは非常によいのですが、シンセのチープな音は非常に悪かったです。
 とはいえ、映画自体は非常に満足度の高いものでした。観客賞を、ヴェネツィア映画祭やトロント映画祭で取ったのも頷けます。これは“当たり”の映画でした。安心して他人にお薦めできます。
 最後に、劇中クライマックスのタップダンスのシーンを見ていて、ガダルカナル・タカとつまみ枝豆が踊っている場面にぐっと来てしまいました。たけし軍団のメンバーは、いろいろ大変そうだと思っていましたが、たけしというタレントについていったのは、慧眼だったのかもと感じました。昔はビートたけしというタレント(才能)を好きではなかったのですが、ちゃんと自分の才能をためて、育ててきた人なんだなあということを、今回の映画を見て改めて思い知らされました。プログラムに書いてあった、「チャンバラは、浅草時代に散々練習した」という文章を読んで、人生全てが肥やしになっているんだと、ちょっとたけしを見直しました。
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