2003年10月15日 16:20:22
「創造力は思いつきと違う。既存の知識の組み合わせを抜本的に変える能力が創造力なんです」と。文部省のゆとり教育を批判しての発言だそうです。いい言葉です。
知識というのは、ある一定の所までは積め込まないといけません。それは水蒸気を加圧するのに似ています。水蒸気を加圧すると、ある時点で劇的変化を起こして水になる。こういった現象のように、考え方の質が根本から変わるのが創造力の基本です。
人間は基本的に量が質の変化を起こす仕組みを持っています。運動しかり、脳の活動しかり、社会しかり。ある密度までは量で勝負し、量が飽和した時点で変化が起こり、質が変わる。その後は、違う加圧を加えて新たな飽和点を目指す。
どの段階で、どの種類の加圧を加えていくかはきちんと選択しなければいけないですが、楽をして(加圧をしないで)何かが出てくるわけではありません。
幸いなことに、人間は知識に関してはこれまでの歴史で圧縮されたパッケージをいくつも開発してきました。0の段階から試行錯誤で身につけなくてもよいように、効率のよい知識体系がいくつも用意されています。
教育というものは、この知識体系を次世代の子供にインストールすると共に、新たな効率化を果たした知識体系のソフトウェアの開発を進めていくべきものです。
なのでまあ、ゆとり教育には危惧を抱くわけです。