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2005年07月02日 14:36:54
 昨日は月初めで映画の日だったので「宇宙戦争」を見てきました。
 私が結論から書かないということは、まあそういうことです。

 ネタバレ&批判満載なので、以下改行。そういうのが大丈夫な人だけ見て下さい。今回は本気でネタバレと批判しかないので。















 まあ、よく出来ているとは思いますよ映像は。並以上。

 でも、ぶっちゃけ言って、脚本が滅茶苦茶です。

 投げっぱなしジャーマンというか、伏線っぽい振りをしているものを回収する気がないというか。そんな感じの映画でした。娯楽作としても疑問符が付きます。そして家族愛をテーマにしているのですが、それも破綻していると思います。

 以下、1つずつ書いていきます。

 まず脚本のまずさ。これはもう、侵略者の設定に尽きます。

 敵はトライポッドという三脚型搭乗兵器に乗っています。それが地中深く埋められていて、そこに天空から転送で宇宙人達が乗り込むところから侵略はスタートします。

 そして、作中エキストラが「奴らは人類誕生以前から機械を埋めていて、侵略の準備を進めていたんだ! そんな奴らに敵うわけがない!」といった趣旨のことを言います。

 えー、トライポッドには、「人間を捕まえるためのカゴ」が付いているんですが。

 エキストラの台詞とはいえ、仮にも映画中の台詞で、登場人物にあからさまな嘘を言わせるのはちょっとどうかなと思います。それに、いつ埋めたんだ、この兵器?

 そして、人間を捕まえて、その血を撒き散らして、宇宙人の星の植物と思われる蔦状の生き物を育てています。

 人間の血で育てる気満載です。人間がいること前提。物凄い非効率な侵略計画です。

 もう意味が分からないです。兵器をあらかじめ埋めておく必然性がまるでないし、蔦を育てる方法の必然性もまるでない。設定の多くが、ビジュアルインパクトの効果以外ないような気がします。

 行動原理が理解不能というのは、「まったく違う世界からの侵略者だから」という主張もあるでしょうが、なぜそんな回りくどいことをするのか、私にはさっぱり理由が分かりません。

 こういう部分は非常に多く、私が記憶に残っていることを幾つか列挙してみます。

・主人公はクレーン技師のくせに、冒頭、仕事でクレーンを扱ったあと、それ以降その設定は何もシナリオに関係しない。
・敵のトライポッド登場のシーンに主人公は遭遇し、思わせぶりにその登場場所にある凍った石を拾ってポケットに入れたくせに、その石は以後何も関係しない。
・子供を連れて自宅を出る時に、思わせぶりに乾電池を大量に箱に入れていたのに、その乾電池は以後何も関係しない。
・主人公は宇宙人と直接遭遇したのに、それはその後の話には特に影響しない。
・宇宙人が、あまりにも間抜けに外気に姿を晒す。観光旅行じゃないんだし。
・息子の自殺行為っぷりはちょっと。あれで死なないのはいくらなんでも。
・なぜ、息子の方が先に移動しているんだ? 最後のシーンはファンタジーなのか?

 まあ、「飯を食わんのはいいが、水ぐらい飲め」とかいろいろ言いたいこともあるのですが、それは置いておきます。たぶん、メモしながら見ると、こんなものじゃないと。

 次に、娯楽作としての問題。

 最初の破壊シーンはよかったですよ。地面の底に何かがいる。それに対して、好奇心と恐怖心を持ちつつ群がる人々。そしてトライポッドの登場。あそこから車で逃げ出すシーンまでは非常によく出来ていました。パニック映画としてとてもよい出来です。

 問題はその後。

 それを凌ぐビジュアルインパクトのあるシーンがないです。あとは敵の数が増えるとか、破壊力が凄いことに気付くとか、それぐらい。

 いい部分もありましたよ。映像の撮り方として、視界の範囲内しか写さないことで、全体像を掴ませずに恐怖を煽る演出。

 でも、娯楽映画の基本は「インフレ」だと思うのです。でも本作の、ビジュアルイメージは「デフレ」でした。

 狭い場所に逃げ込んで必死に娘を守るというハラハラドキドキはありましたが、それは娯楽大作で求められているものとは違う。マニア向けの映画でマニアが唸って見るものです。少なくとも私はそう思いました。

 そういう意味では、マイケルシャラマンの「サイン」を高予算で撮った感じ。

 そして最後はテーマの家族愛。

 これは破綻していると言い切っていいでしょう。家族愛をテーマとしていて、家族の対立がある場合には、それを和解に持ち込むためのイベントが必要です。

 それを一言で言うと、理解です。

 まず誤解があり、勇気や決断を示すことで、相手のことを一段深く知り、そのことで相手を理解する。それが家族の対立を一段高い段階に導き、和解に持ち込む。

 その過程を完全にすっ飛ばしている。

 本作では、その対立は父親と息子に設定されている。で、息子は家出同然に父親の許を出て行って、ただ戻って来ただけで和解している。(戻るということ自体にも問題のある脚本なのだが、それは置いておいて)

 家族愛をテーマにしていて、家出して、その家出の間のシーンを一切描かず、戻って来た瞬間に和解というのは、さすがにおかしいだろうと。

 少なくとも、私はおかしいと思う。

 というわけで、脚本のまずさばかりが目に付いた映画という感じでした。

 まあ、並以上にはできていましたよ映像は。でも、脚本がまず過ぎ。

 特に、1回しか見ていない間に、脚本の問題がボロボロ出て来るようじゃまずいだろうと思いました。うーん、スターウォーズ・エピソード3に期待。

 あー、あと、「大阪人は強かった」 これは書いておかないといけないです。「日本の大阪では、トライポッドを数台倒したそうだぜ!」 えっ! 凄いですよ大阪。きっと、バリアを突破して、素手で倒したんですよ。タコ焼きの街なので、タコをさばくのは得意ですから。
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