2005年11月02日 09:10:45
映画「スパイダーマン2」のDVDを10月の初旬に見ました。以下感想。
この「スパイダーマン」という作品は、1と2をセットにして初めて評価が高くなる映画です。1が前編で、2が後編。そういう位置付けです。
1では、ヒーローとして覚醒してしまった主人公が、その力を受け入れ、世の為に使おうと決意するまでの過程と、そのことで生じる周囲との軋轢、そして葛藤が描かれています。
2では、ヒーローとは何なのかを改めて問い直し、主人公がスーパーヒーローとして生きていく決意とそのための心の成長を描いています。そして1での軋轢や葛藤をどうやって乗り越えて行くか、そこまできちんと話を消化しています。
つまり、1と2を合わせて「スパイダーマン」というヒーローの誕生物語が完結します。
「スパイダーマン2」の話の展開はスピーディーです。細かな設定の説明などは1で終わっています。そのため1のようなたるい部分も少なく、話がぐいぐい進んでいきます。
ただしその分、2では1を見ていないとさっぱり意味不明のシーンが多数あります。2から見た人はポカーンとすると思います。
1は正直言って、「まあこんなものか」と思いましたが、2を見て「なるほどね。これなら納得の出来」と思いました。面白かったです。ただし、ラストの展開はズッコケます。ヒロインとの絡みの最後の締めがいくらなんでもこれはという感じです。それ以外はよかったです。
あと、2を見て一番感心したのは、1、2を通じて「敵は生まれながらの悪人ではない。何かをきっかけにして悪の行動を取るようになった」ということをしつこく描いていることです。
ヒーローだけでなく、アンチヒーローも葛藤する。スパイダーマンという存在が、「大学生が衣装を着ただけの等身大のヒーロー」なのと合わせて、この物語の世界観をきっちりと描き切っているなと思いました。
さて、今回の「スパイダーマン2」に一番期待していたのは「アクションシーンの改善」です。これはよく考えられていました。
画面が見やすくなったのはスタッフがこなれたからだと思いますが、企画レベルでの改善もきちんと行なわれていました。
まず、スパイダーマンという素材を映像化する上で一番の問題は「アクションが単調」ということにあります。
スパイダーマンは、クモの糸を使って「振り子運動をする」と「ぶら下がる」ぐらいしか派手なアクションはありません。この2つに加えて、「肉体で殴り合う」ぐらいしか動きを付けようがありません。
はっきり言って地味です。
1では、この少ないアクションを律儀に使っていたせいで、凄い地味なアクション映画になっていました。
2では、いろいろな面で改善が見られます。
その改善の1点目は、敵に「派手で立体的なアクション」を加えたことです。敵の「ドク・オク」は背中から触手を生やした科学者なのですが、この触手がグネグネとよく動く。そして、壁に張り付いたり、物を投げたり、360度様々な方向から襲いかかったり、派手なアクションをしてくれます。
この触手は、スパイダーマンのクモの糸と似てはいるのですが、スパイダーマンが柔なら、こちらは剛。対比もきちんとできていて、アクションの幅を広げてくれています。
2点目の改善点は、「相対移動の概念」を持ち込んだことです。1では「動かないビル」に対して「その間を滑空するスパイダーマン」というアクションばかりでした。
対して2では「動く電車」の上で「動くスパイダーマンとドク・オク」や、「磁力で空を舞う金属」を「躱しながら戦うスパイダーマンとドク・オク」など、戦闘空間自体が移動するようになっています。
これが、非常にアクションをよくしています。これはお手柄。
1の不満点は、ほぼ解消されていました。
「ちゃんと考えてやってるんだな」と感心しました。
最後に1つだけ。
「スパイダーマン」は、2作を2日ぐらい掛けて連続して見るべき映画だなと思いました。物語も完全に続いているし、比較もできるし。そうしないと、評価が落ちる作品だと思いました。