2005年11月23日 00:57:23
映画「アメリカン・サイコ」のDVDを11月頭に見ましたので感想です。
2回見た。非常によくできていた。感想を一言で言うならば、
エクセレント!
これに尽きます。素晴らしい映画でした。
2000年製作の映画ですが、そんなに新しかったとは意外です。もっと古い映画だと思っていました。そして、ノーチェックでした。反省です。
以下、粗筋。
証券会社に努めるパトリック・ベイトマンは、ハイソでハンサムな“カード・バトラー”。
人気店にディナーに行ったり、高級な部屋で優雅な生活を楽しむかたわら、仲間たちとカード(名刺)の出来を競う毎日だ。
美容とエクサイズに余念のないパトリックだが、実は彼には裏の顔があった。殺人鬼だ。
夜だけ出していたこの裏の顔だが、次第に押さえられなくなり、昼にも進出し始める。
ある日、カード・バトルで負けたパトリックは、その相手ポール・アレンを自宅に誘い、斧を持ち出し、リアル・バトルで葬り去る。
たがが外れたパトリックは、表の顔を必死に維持しながら、次第に恐怖の殺人鬼の顔を抑えられなくなっていく。
カード・バトラー云々のところは、少し誇張していますが、概ねこんな話です。
いや〜、もう、パトリック・ベイトマン役のクリスチャン・ベールの演技が冴えまくりです。素晴らし過ぎる。
特に、ポール・アレンを斧で惨殺するシーンの出来は最高。映画を見終わったあと、何度か巻き戻して見ました。
ウキウキルンルン気分で殺人の準備をして、叫び声とともに斧を脳天に、喚きながら何度も斧を振り下ろし、酔いが覚めたのか葉巻を持って、フーッと一息。
感情の変化が、これでもかと言うくらい出ていて素晴らしい。
そして、ラスト近くで、秘書のジーンがパトリックのノートを見るシーンは悶絶物のよさでした。
これだけの落差は、なかなか見られるものではありません。
映画自体の出来も素晴らしくよいです。
音楽の使い方が非常によく、映像のセンスがまたよいです。
音楽は、基本的に静謐なクラシック調の音楽と、ポップミュージックが、状況によって使い分けられています。
主人公のパトリックは、なぜかポップミュージックに一家言あるらしく、ことあるごとにポップミュージックの解説をしながら殺人に及びます。その語り口が超ナルシスト。
そして、表の顔のときはクラシックをBGMに、穏やかで美形の証券マンを演じます。
映像も非常に落ち付いて高級感があり、映画の雰囲気をよく表わしています。
時代設定が80年代(日本で言えば、バブルのような時代)なのですが、「消費社会を風刺している」という監督の意図通りの出来になっています。
日本のバブル時代に「イタ飯」とか言っていた人は、きっとこんな感じだったんだろうなと思いました。
私はポスト・バブル時代に就職した人間なので、こういう時代も一度体験したかったです。
あと、脚本・監督はメアリー・ハロンという女性の方なのですが、こういったテーマを女性監督が撮るのは珍しいなと思いました。
ともかくよく出来ている映画でした。
万人にはお勧めしませんが、未見の人は見る価値がある映画だと思いました。
いや〜、よい映画でした。