2006年01月08日 22:39:24
映画「デビルマン」のDVDを、酒氏と12月初旬に見ました。
感想。「噂に違わぬ酷い出来だ」
「高校演劇レベルだな」と私が呟いたら、「柳井さん、高校演劇に失礼ですよ」と突っ込まれ「そうだね、小学校の学芸会レベルだよね」と訂正しました。
全てが駄目だったのですが、そのなかでも特に「主人公二人の演技力が絶望的」でした。「棒読み以下の台詞回し」というのを、初めて映画で見ました。
さて、粗筋など書かず、以下「デビルマン」の駄目な部分を書いていきたいと思います。
● 演技
まず、何よりも駄目なのは演技です。
主人公二人の演技力が全くなく、台詞回しに至っては、一昔前のコンピューター音声レベルの喋り方です。
感情がまったくこもっていない平板な喋り方です。そしてそれ以前に、「物凄く不自然に台詞を区切りながら」喋ります。
例えば「俺はお前が好きだ」という台詞があったとします。「デビルマン」の主人公二人は、この台詞を「俺は…… お前が…… 好きだ」と、文節でやたら間を空けながら喋ります。
当然、抑揚も何もなしです。
さっぱり意味が分かりません。主人公二人が出て来るたびに萎えます。そんな映画は初めてです。
● 感染する演技力
まるで「主人公二人の演技力のなさを目立たないようにするため」のように、脇を固める他の俳優の演技もことごとく主人公レベルの演技になっています。
なぜ、そんな不思議な喋り方をして、そんな酷い演技をわざわざするのか理解不能です。
登場直後は割りと普通の演技をしていた人物が、「演技指導」を受けたのか、どんどん酷い演技になっていったりもします。
その様を見ながら、私と酒氏はこの現象を「感染する演技力」と呼びました。
しかし酷い。
「他の映画やドラマで普通に演技が出来ている人」までも酷い演技に変えてしまう魔性の力が、この「デビルマン」という映画にはあるようです。
● 叫び
主人公が叫ぶ場面が映画中何度かあるのですが、この叫びの脱力っぷりが凄まじいです。
「ウウアアアアア」
と、まるで出来の悪いロボットのように静かに叫びます。
悪夢を見ているようです。出来の悪い映画を見せられる苦痛を存分と味わえます。
● 平板な画面
演技が平板なだけでなく、画面もやたらと平板です。
酒氏いわく「全ての背景が書き割りのようだ」。それに答えて私、「お遊戯会レベルの演技だからね。それに合わせて、そういう撮り方でもしているのかもね」と力なく……。
少なくとも映画レベルの画面ではないです。
物の質感がやたら薄っぺらです。仮面ライダーやゴレンジャーなどの古い特撮ヒーロー物で、怪人のいる基地のセットのようにしか見えません。
そして、画面の構成も昔のテレビドラマ(以下の)レベルです。カメラ位置に工夫がほとんど見られません。
やっつけ仕事なのか、ただ対象を水平から撮っただけで何の躍動感や迫力もないです。
これを“映画”と称して劇場で公開するのは無理があるだろうと思いました。
● 低レベルなCG
プレステのゲームのオープニングムービーレベルのCGで戦闘シーンが展開します。
2004年公開だということに驚きました。画面を見て、もっと古い時代の技術だと思っていましたので。
● なくなる予算
原作が「デビルマン」なので、デーモンたちが凄い勢いで戦うシーンを当然想定していたのですが、ほとんどありません。
なぜか、デーモンたちは変身もせずに銃を撃ったりして戦います。
えー、途中でCGを作る予算がなくなったとしか思えないような脱落っぷりです。
いったい、製作費はどこに消えたのでしょう?
● ナレーションだらけの脚本
脚本はまったくダイナミックさがありません。
ありとあらゆる部分で手が抜かれており、プロの仕事とは到底思えません。
そして、状況説明のほとんどを、ナレーションで行ないます。それも、主人公のまったく駄目な声だったりします。
酒氏の情報によると、脚本は監督の奥さんだとか。えー、夫婦で黒歴史を作らないで欲しいです。
● 舞台挨拶
映画が終わったあと、映像特典で舞台挨拶がありました。
そこで、主人公役の二人が言っていた言葉。
「演技をするのは初めてでした」
誰だ、こんな奴らを映画の主人公にした戦犯は。
彼らを主人公にせざるをえない、政治的圧力が働いていたとしか思えませんでした。
「デビルマン」は、噂に違わぬ駄目映画でした。
駄目映画にも種類がいろいろありますが、今回は「演技の下限」を見た気がしました。私の映画観が大きく改められました。下には下がある。
「そりゃあ、祭にもなるわな」
本気でそう思いました。