2006年02月28日 04:10:57
映画「21g」のDVDを1月下旬に見ました。
ピーター・ジャクソン版「キング・コング」でナオミ・ワッツがよかったので、その繋がりで借りてきました。
まあ、「キング・コング」で見たようなナオミ・ワッツの魅力はなかったわけですが。
本作は、非常に玄人好みの映画でした。
物語自体は、三人の主人公のストーリーが中盤で絡み、最後は意外な結末に至るというお話です。
しかし、映画は時系列どおりに進みません。
時間軸に沿った映像を、時系列とはばらばらに切り刻み、モザイクのように繋ぎ合わせて、最終的にストーリーとして理解させるという構造をとっています。
最初の三十分までストーリーはまったく繋がらず、次の三十分でようやく話は噛み合い、後半三十分で物語を展開させ、最後の三十分で意外な結末を理解させる。
玄人は喜びそうだけど、観客への負担は大きい映画です。
こういった細切れの演出といえば、「メメント」を思い出します。「メメント」の演出は評価をしています。
しかし、本作の「21g」においては、この演出方法は評価していません。
なぜならば、「メメント」では特殊な演出が映画のストーリー上の必然になっていました。しかし「21g」では必然ではなく、演出のための演出になっています。
「難解にすることによって、難解な物を好む人の評価を上げている」
そう受け取れるからです。「映画を面白くするための手法として使っていない」と私は感じました。
もう一点、「21g」のこの手法を評価しない理由があります。
三人の主人公は、事件前と事件後では容貌(雰囲気)が変わります。しかし、時系列をばらばらにして映像を並べているために、そのことが繋がらず「三人の主人公」が、最初「六人の主人公」に見えていました。
これは、映画の意図とは違うはずです。
白人圏の人間ならともかく、私のようなアジア人には白人の顔は見分けが付かない場合が多いです。
同じ人か、違う人か、さっぱり見分けが付かない……。
紛らわしいので、どうにかして欲しいと思いました。
以下、若干のネタばれあり。
この映画は、粗筋を書いてもあまり意味がないので書きません。前述のように、時系列をばらばらにしていますので。
なので、主人公三人の設定だけを書いておきます。
・主人公A(男性)
心臓移植を控えている数学者。妻とは不仲で別居をしていたが、子供が欲しいとせがまれ、人工授精用の精子を採取。
・主人公B(女性)
夫と息子が交通事故に巻き込まれる。そのショックで、麻薬に手を出す。事故後、夫の心臓は主人公Aに。
・主人公C(男性)
前科者。悔い改め、神に信心して真面目な生活を送っている。交通事故を起こしてしまう。悩んだ末、自首する。
それなりに面白かったですが、まあ、こんなものだろうという感じでした。
あと、「21g」と聞いて、それが何の重さであるか映画を見る前から分かる人は何割ぐらいいるのかなと思いました。
私の友人なら、たいてい分かると思いますが。