映画「フリークス」のDVDを六月下旬に見ました。
「見ていなかったのか?」「放っておいても、お前ならいつか見ると思っていた!」などと、各所から声が飛んできそうです。
TSUTAYAを徘徊していて、ようやく置いてあるのに気付きました。既に何度も周っているのに、なぜ気付かなかったのだろう。謎。
映画の存在は、何度も本で読んでいて知っていたのですが、映像として見るのは初めてでした。
まあ、その手の標本の写真が載っている本は、本屋でまめにチェックする方なので。
そういうわけで、割と穏やかな姿のフリークスたちが、サーカス内で繰り広げる「恋愛&差別ドロドロ惨劇」という感じのお話でした。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。最後まで書いています)
サーカス。そこは、軽業を見せる曲芸師や、異形の奇形者たちを見せる“この世の異世界”。
そのサーカスに一組の婚約者がいた。小人症の男女のカップルだ。
しかし、その男が一人の女性に恋をした。相手はサーカスの花形、空中ブランコに乗る美女だ。
彼はその女性のために多くの金品を与える。女はそんな男のことを心のなかで嘲笑いながら、彼をおだてて、より多く貢がせようとしていた。
小さい男は知らなかったが、女は“力自慢の男”と出来ていた。
そして美女は、小人症の女性から、彼女の婚約者が莫大な財産を相続しているということを聞く。
美女は邪悪な企みを思い付く。男と結婚し、毒殺して財産を奪うという計画だ。
女は結婚をほのめかし、男は喜んでその誘いに応じる。そして結婚式の当日になった。
その式は散々なものだった。小さい男の仲間の“フリークス”(異形の者たち)からの祝いを、彼女は拒絶する。
「なぜ、私が、あんたたちフリークスの仲間にならないといけないの!」
小さい男は不安を感じる。
そして、彼女の計画が始まった。男は食事に毒を盛られ、床に伏せることになる。
しかし、美女が馬鹿にしていたフリークスたちの逆襲が始まる。彼女の企みを嗅ぎ付け、小さい男に真実を明かし、ともに復讐を行なうことにする。
雨の降りしきる夜──。
その日はサーカスの移動日だった。多くの馬車が連なり、山道を越えていくとき、美女の乗った馬車に突如フリークスたちが殺到した。
逃げる女。追う、異形の者たち。
そして捕らわれた女は、彼女が嘲笑った人々と同じような姿にされてしまうのだった。
基本は、ベタベタな「財産乗っ取り話&復讐劇」です。
そこに、“サーカス”という非日常的な空間と、“無数のフリークス”という幻想的な視覚世界を加えることで、酩酊するような作品にしています。
とはいえ、それほど“えぐい映像”は出てこないです。
しかし、普段は写真などの“動かない映像”で見ることの多い、こういった人々が、生き生きと動き回っている様はなかなか壮観です。
「不謹慎な」という声が聞こえてきそうですが、人間はそういった事を楽しむ性向を持っています。
というわけで、私はこの映画を素直に楽しみました。
しかし、万人向けの映画でないことは確かでしょう。
見世物小屋が当たり前だった時代ならともかく、現代では“興味のある人”だけが見るべき映画だろうと思いました。