映画「X-MEN」のDVDを七月上旬に見ました。
以前、同じアメコミ・ヒーロー物で「スパイダーマン」を見たときに、1と2は実質“前後編だった”ということがあったので、「X-MEN」と「X-MEN2」を一緒に借りてきて見ました。
この借り方は正解でした。ウルヴァリンの話を主軸として見ると、この作品は実質的に前後編でした。
というわけで、まずは「X-MEN」の感想からです。
以下、粗筋です。
世界には、新人類とでも言うべき、驚異の超能力を持つ人間たち「ミュータント」が誕生していた。
しかし、一般の人々はこれらミュータントの存在を恐れ、迫害し、法的に封じ込めようとしていた。
そんなミュータントたちのなかに、二人の老齢の男がいた。
一人は人類とミュータントの対立を“戦争”ととらえ、自らの力でもって旧人類を屈服させようという男。
もう一人は、人類とミュータントの共存を考え、そのために融和の道を選ぼうという男。
彼らはかつて友であり、今はそれぞれの見解の違いから対立していた。
“戦いを選んだ男”マグニートは金属と磁力を操る能力を持つ。彼は手下を率い、人類の首脳たちを“自分たちの意思に従わせる”ための作戦を展開していた。
“平和を選んだ男”エグゼビアは強力な精神感応の力を持つ。彼は若きミュータントたちを育てる学校を経営しながら、人類との決定的な対立を避けるために力を尽くしていた。
あるとき、ウルヴァリンという記憶喪失のミュータントの男と、ローグというミュータントの少女が出会う。
二人はマグニートの手下により襲撃される。そして彼らはエグゼビアの生徒たちに助けられた。
意識を失ったウルヴァリンたちは、エグゼビアの経営する“学校”で治療を受ける。
なぜ二人は襲われたのか? マグニートの進めている作戦とは何なのか? エグゼビアは信用できるのか? ウルヴァリンの記憶が閉ざされているのはなぜなのか?
謎は次々に現れ、ウルヴァリンは逡巡する。そうしているうちに、ローグがマグニートたちにさらわれた。
彼女に対して父親のような愛情を抱き始めていたウルヴァリンは、彼女を救うためにエグゼビアの生徒たちとともにX-MENとして戦いを始める……。
映画を見終わったあとの感想はキャラクターに関してのものばかりでした。映画のできに関する感想は一切なし。
これは、キャラクター物の映画としては、非常に清く正しい結果です。実際よくできていたのだろうなと思いました。
つまり、ストーリーや映像表現、テンポには特にストレスはなく、「ああ、○○頑張れ!」「ぬおっ、○○はへたれだ!」とか思うばっかりの映画です。
製作者の意図通りの反応を観客が取っているわけですから大成功だと思います。
というわけで、以下、キャラクターに関する感想です。
まず、エグゼビア。「スタートレックだ」……以上。
いやもう本当に、最初それしか思いませんでした。あのビジュアルを見ただけで、その周囲がスタートレック・ワールドになってしまいます。
「これだけはどうにもならないよな」と思いました。
次に、ウルヴァリン。「試練の人だ」
映画を見るまでは知らなかったのですが、X-MENのメンバーはみんな精神的にガキです。そのなかで、ウルヴァリンだけが中年のおっさんです。
そのせいで、彼は浮いています。一番まともに話せるのが“老人”のエグゼビア。
話が合わない集団に放りこまれた人のようなウルヴァリンの挙動が哀愁を誘います。
あとは、「恋愛に関して幸薄い人」というイメージも。
惚れている相手には完全に無視され、惚れられている相手は恋愛対象にならない年齢差。
特殊能力が“脅威的な再生力”(爪は後付けの武器)という地味さも手伝って、“渋い”を通り越して、“苦労人”という印象になっていました。
続いて、サイクロプス。カプコンのゲームでの勝手なイメージから、もっとマッチョで男前のキャラだと思っていたのですが、図体がでかいだけの思春期の少年でした。
少年は言い過ぎですが、18〜20歳ぐらいの行動パターンです。
ちょっと肩透かしを食らいました。
ストーム。「戦い下手」
強力な能力を持っているのに、その使い方があまりにも稚拙。
荒木飛呂彦のマンガを読んで、イメージトレーニングをして欲しいと思いました。
ジーンと、ローグはあんなものかと。
マグニートは、変なヘルメットを除けば非常に格好よかったです。
X-MENに出て来るミュータントのなかでは最も好みでした。
しかし、彼の作戦とそのために使用する機械は、ちょっと考えなくても“あり得ない”仕組みの機械だよなと思いました。
至るところがおかしいです。まあ、SFというよりは「魔法です」というような位置付けなので、よいのでしょうが。
最後は、ミスティーク。「X-MEN2」まで見て思ったのですが、たぶんマグニートの次に有能です。
エグゼビアの生徒たちとは比べ物にならないぐらい仕事ができる。素晴らしい奴だと思いました。
万人が楽しめる映画なのかどうかは分かりませんが、アクション映画が好きな人は十分以上に楽しめる映画だと思いました。
私がアクション映画に求める「爆発分」もきちんと最初の方から出てきましたし。