映画「エドtv」のDVDを七月下旬に見ました。
設定だけ見て、単なるドタバタコメディかなと思っていましたが、実際に見てみると非常によく出来た映画でした。
監督を見たら、ロン・ハワード。聞いたことがあるなと思って調べてみたら、「バックドラフト」(1991)や、「アポロ13 」(1995)や、「身代金」(1996)や、「ビューティフル・マインド」(2001)や、「シンデレラマン」(2005)の監督。
「そりゃあ面白いわ」というラインナップでした。
ちなみに、「エドtv」は、1999年の作品です。
□キネマ旬報DB - ロン・ハワード
http://www.walkerplus.jp/movie/kinejun/index.cgi?ctl=by_name&id=5577
以下、粗筋です。(ネタバレあり。終盤直前ぐらいまで書いています)
アメリカのあるケーブルテレビ局で新しい企画が発表された。一人の人間を24時間生中継で追い続けるという番組だ。
企画者は女ディレクター。彼女は「絶対に面白い」と言うが、社長や取締役たちは難色を示す。
彼女が番組の主人公として選んだのは、冴えないけれど、どこか憎めない青年エド。
放送初日の視聴率は低かった。しかし、チャンネルを付けた人たちは「何か起こるかも」と思いつつ、だらだらと見続ける。
なぜならば、エドは兄貴の恋人に惚れていて、彼女もまんざらでもないという雰囲気を見せていたからだ。
そして数日後に事件が起こる。エドの兄貴の浮気が発覚して、エドと兄貴の彼女がくっついてしまったのだ。
俄然視聴率は上がる。そして、エドと恋人は注目される。
しかし、そのことが二人にとって悲劇の始まりとなる。“外野”の視聴者たちは、勝手な意見を次々と言う。
彼らは「あの恋人はエドにふさわしくない」「彼女は有名になって傲慢になっている」と、恋人を非難する。
彼女はエドの許を去り、エドは落ち込む。しかし、番組の人気は上がり続ける。そして番組は、さらなる視聴率のために、エドの一家の秘密を暴きだす。
エドは番組への出演を断わろうとするが、打ち切りの時期はテレビ局が判断するという契約になっていた……。
この映画を短い言葉で言えば「ゆるくて小気味よい」です。
ゆるゆるの冴えない男エドと、その周りで巻き起こるテンポのよい騒動。
しかし、単なるドタバタコメディにはならずに、様々な人々の悲喜こもごもをうまく描いています。
とても楽しめました。
この映画を見て感心したのは、サブ・プロットの処理の仕方の上手さです。この「エドtv」は、やたらにサブ・プロットが多いです。
エドのメイン・プロット以外に、エドの恋人、兄貴、母親、義理の父、父親、女ディレクターなど、二時間物の映画にしては細かなプロットがやたらとあります。
しかし、それがあまりうるさく感じません。
それは、メイン・プロットがしっかりとしているからだと思います。
エドのメイン・プロットを要約すると、「恋して、振られて、よりを戻そうとする」。彼自身は、究極的にはこれしかしていません。
もともとのんびり屋さんなので、これ以上のことは特に頑張りません。
なので、サブ・プロットがけっこう多くても、気にならないぐらい話の展開が単純です。
大作なわけでも、凄い有名な俳優が出ているわけでもなかったのですが、とても楽しめました。
当たりを引いたなという気分になりました。