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2006年10月25日 20:52:18
私は器用貧乏と呼ばれるタイプの人間です。
だいたい何でもそこそこできるけど、人を圧倒的に凌駕している能力は何も持っていません。
そういったタイプの人間が、自分のリソースをある一つのことに振り分けると地獄が待っています。
今回は、そういった話をしようと思います。
例えば、器用貧乏タイプの人が、十の分野に一ずつ労力を振り分けて、合計十の成果を上げていたとします。
この十の労力を一つの分野に突っ込むと、“一”の成果は“二”ぐらしにしかなりません。
成果の合計は、当然“二”です。
なぜ、こういうことになるのでしょう?
それは、器用貧乏タイプの人間は、基本的に“何かを積み上げていく方向性”を持っていないからです。
器用貧乏タイプの人が得意なのは、一つの分野で手に入れたノウハウを“他の分野に次々と応用していくこと”です。
共通点がある部分は上手くできるけど、そうでない部分は上手くできません。
そのため、“一”は“二”ぐらいにしか増えません。
これは工事に例えると分かりやすいです。
一つの分野に打ち込むタイプの人は、その場所に堅固な高い塔を作って行きます。
そうやって手に入れるのは、“堅固な高い塔”そのものです。
対して、器用貧乏タイプの人は、何にでも使える工事道具を作っていきます。
そうやって手に入れるのは、“何にでも使える工事道具”なわけです。
当然、器用貧乏タイプの人は、新しいことを始めると、速攻である一定のレベルまで到達します。なぜならば、“何にでも使える工事道具”を持っていますので。
しかし、そういった仕事の仕方ばかりをやっていると、困ることが出てきます。
“その分野にしか使えないノウハウ”を必要とした、より高いレベルの仕事が不慣れになるのです。
なぜかというと、一芸を極めるような脳味噌の使い方を、普段していなからです。
そのため、そういった人が一つの分野に特化して仕事をしようとすると、“他の分野に全く使えないノウハウ”という、その人の性向に合わないことに多大なリソースを突っ込まなくてはならなくなり、地獄を見てしまいます。
これは、血反吐を吐くような気分になります。
でもまあ、人生、そういったことは必要なわけです。
血反吐を吐きながらでも、突破しなければならない壁がありますから。