映画「回路」がテレビでやっていたので、九月中旬に見ました。
黒沢清監督の作品は、どれを見て、どれを見ていないのかいまいち覚えていなかったりします。
ちょうどテレビを付けているときに始まったので「邦画なら吹き替えじゃないから見よう」と思って見ました。
感想としては「映像的には面白かったけど、物語的にはなんか破綻している気がする」というものでした。
それなりに楽しめましたが、凄い面白いというわけではなかったです。
以下、粗筋です。(ネタバレは特になし。中盤ぐらいまで書いています)
花屋に勤めている女性は、同僚の男性が自殺しているのを発見する。
その自殺の状況は異様なもので、まるで感染するかのように、徐々に他の人も自殺をし始めた。
自殺する仲間たちについて調べていた彼女は、赤いテープで封印されている“あかずの間”が関わっているらしいということを突き止める。
また、同じ頃、パソコンをインターネットに繋ごうとした大学生が不思議な体験をする。
どこだか分からない不思議な部屋をカメラで映すWebページに、パソコンが勝手に起動して繋がってしまうというものだ。
彼はコンピュータに詳しそうな理工系の女性を捕まえて、その現象について話す。そしてその謎の部屋について調べ始めた直後から、不思議なことが起こりだす。
それからしばらくすると、人が次々と消え出す怪現象が発生し始めた。
いったい、何が原因でこんなことが起こっているのか?
大学生は、超常現象を研究している男に会い、ある仮説を聞かされる……。
物語で驚かせるというよりは、映像で怖がらせるという方向性のホラー映画でした。
暗めの画面にしたり、わざと画面を遮る物を置いたりして、シーンをはっきりと撮らない撮影方法や、レイアウトをわざと不安定にして不安感を煽る方法。
そういった手法を駆使して、気持ちの悪い落ち着かない感覚を演出していました。
あと、特徴的だったのは、場面の切り替えを凄いところでやっていることです。BGMの凄い中途半端なところでブツリと切ったり。
そこも、不安定さを出す手法なのかなと思いました。
物語は、かなり破綻しているというか、整合性が取れていないです。
どちらかと言うと、怪談のときに、相手の反応を見て、脚色を加えながら話す感じに近いかなと思いました。
辻褄は合っていないけど、その場その場で怖がらせられればOKという感じです。
個人的には、役所広司がもっと活躍して欲しかったです。