映画「北北西に進路を取れ」のDVDを十月下旬に見ました。
ヒッチコックの映画で、原題は「NORTH BY NORTHWEST」です。
巻き込まれ系のサスペンスでしたが、主人公が我が強いので、核心に向かって無謀にも突っ込んでいくという映画です。
それなりに楽しめました。
以下、粗筋です。(中盤の最初の方まで書いています)
主人公は広告代理店の社長。彼はある日、レストランに食事に行くと、見知らぬ男たちに拉致されて、ある館に連れていかれた。
そして、彼は“知らない名前”で呼ばれ、秘密を明かすようにと告げられる。
「人違いだ」と彼は主張するが、相手は聞く耳を持たない。どうやら、スパイと間違われているらしい。
彼は命からがら逃げ出す。しかし、収まりが付かない彼は、自分が誰と間違えられたのか調べ出す。
そして調べているうちに、その手掛かりとなる相手が殺されてしまう。主人公は、殺人犯と勘違いされて、素性を隠して行動せざるをえなくなる。
“自分が誰に勘違いされたのか突き止め、世間の誤解を解く”以外に、普通の生活に戻ることはできない。
彼は決死の覚悟で事件の全貌を暴こうと動き始める。そして彼は、寝台列車で一人の魅力的な女性に出会い、彼女と関係を持つのだった。
巻き込まれ系のサスペンスです。そして、相手を追って、どんどん場所が移動していくタイプの話です。
演出も派手で、寝台列車、飛行機からの攻撃、トラックの爆発、アメリカの偉人たちの顔を彫った崖での追い駆けっこなど、ハリウッド的豪華さも備えています。
でもまあ、古い映画だよなというのが第一印象でした。
それなりに楽しめたけど、凄い面白いわけではない。
個人的によかったなと思ったのは、ラブシーンです。
なんだかエロかったです。別に裸になっているわけでもなく、服を着ていてキスをしているだけなのですが、非常に官能的でした。
たぶん理由は三つあると思います。
一つ目は、華奢で上品な婦人が乱れていること。これはぐっときます。
二つ目は、男女を狭いところで、ぐるぐる回転させることによって扇情的な気分を煽っているところ。これは、撮り方が上手いと思います。
三つ目は、女性のしなやかな体をうまく使って、背中を曲げて腰が引けたキスシーンを撮ったり、ぎゅっと抱き締められて背を逸らしたりと、距離感を近付けたり離したりして、動きを出していること。
この三つの要素が絡まりあって、非常にエロティックな描写になっています。
よくできているなあと思い、映画を見終わったあと、このシーンだけ見直してどうなっているのか調べました。
ラブシーンが単なる記号になっている映画も多いのですが、裸を出さずにエロさを出すのは上手いなと思いました。
映画中、他に目に付いたシーンといえば、冒頭のスタッフの名前を表示するシーンです。そこの演出が格好よかった。
斜め線と斜体の文字を使って、次々に名前を表示していくのですが、これが小気味よくて気持ちよかったです。
そして最後は、その斜め線がビルの窓枠に重なって映画が始まるという演出も、楽しかったです。
逆に悪い方で目に付いたシーンと言えば、。平板に見える画面が多かったことです。
奥行きが感じられないシーンが多く、これはどうにかならなかったのかなあと思いました。
たぶん画面に、奥行き感を与える比較対象物を正しく置いていないことと、フォーカスが上手く取れていないことが原因だと思います。
バックとの合成シーンでないところでも、そういった場所が散見されました。
カメラのレンズの選び方を工夫すれば、少しはましになるのかなと思いました。
映画にはメイキングも付いていて、撮影方法も分かって、こちらも楽しめました。