映画「ルパン3世 カリオストロの城」のDVDを十二月上旬に見ました。
DVDを購入しての観賞。
思えば、この映画を初めてみたのは、地元の商店街の電気屋だか文房具屋だかの店頭でした。
テレビが一台置いてあり、この映画をエンドレスで延々と流していました。幼かった私は、その映像をじっと立って、飽きることなく見続けていました。
それからだいぶ経ち、大学ぐらいのときにようやく通して見て、それから久しぶりの観賞でした。
やはり面白かったです。
何度も見た映画なので、今回はテーマを決めて見ました。
そのテーマは、「宮崎アニメに多い、“行って、戻っての描写”をちゃんと観察する」です。
宮崎アニメでは何か動作をするときに、“ちょっと戻って他のことをして、急いで次の行動に移る”という描写が多くあります。
このやり方は、アニメとしての“動き”を増やして“非常に活発に動いているように見せる”という効果だけでなく、画面の端から端までを使って“動き自体をダイナミックに演出する”という効果を上げています。
さらに言うならば、「行く」「戻る」「行く」の速さはそれぞれ違い、そのことが動きに緩急を付けています。
今回は、その部分を重点的に見ました。
そうしたら、あるわ、あるわ、その描写。
至るところで、“行きつ戻りつ”の動作を実行していました。
なるほど、テーマを決めてみると、今まで見えていなかった部分が見えてきます。非常に勉強になりました。
個人的には「風の谷のナウシカ」同様この作品も、アニメ観賞の達人の解説付きで見てみたいなと思いました。
「風の谷のナウシカ」のオーディオ・コメンタリーが非常によかったので。
達人は、私には見えていない部分も細かく見ています。誰かオーディオ・コメンタリーを作ってくれないかなと思いました。
いや、宮崎駿本人が吹き込んでくれれば一番いいのですが。でも、彼はいまさらやらないだろうなと思いましたので。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。中盤の初めぐらいまで書いています)
ルパンと次元は大金を盗む。だが、そのお金は全て偽札だった。ゴート札と呼ばれる幻の偽札だ。
ルパンはそのことを切っ掛けに、ゴート札を作っていると噂のあるカリオストロ公爵領に潜入する。そしてその地で、黒服に追われている一人の花嫁姿の少女に出会う。
ルパンと次元は彼女を助けるが、再び奪い返されてしまう。
村の宿に泊まった二人は情報を集める。そして、少女がクラリスという名前で、近々カリオストロ城で彼女の結婚式が行なわれるということを知る。
結婚相手はその地の領主。だが彼こそがゴート札を作っている張本人だった。
ルパンはクラリスが意に添わない結婚を強要されていると考える。そして彼女を救い出そうとする。
なぜそこまで一人の少女に思い入れをするのか? 疑問に思った次元は問い質す。最初は渋っていたルパンだが、ぽつぽつと語り始める。
かつてルパンは駆け出しの頃、ゴート札の謎を追ってこの地に来たことがあった。だがまだ実力不足だった彼は、命からがら城を逃げ出すことになる。
そのとき、ルパンを救ってくれたのが幼いクラリスだった。
ルパンと次元は五右衛門を呼び、カリオストロ城攻略に挑む。またルパンは銭形を城におびき寄せ、カリオストロ城を混乱させる。そして、その隙を突いて城に潜入する。
だがルパンはその場所で、カリオストロ城の恐るべき秘密を知るのであった……。
中盤以降に発生する、ルパンと銭形の共闘が何気に楽しかったです。
しかし、銭形の車のナンバーが「埼玉ナンバー」なのには吹いてしまいました。ヨーロッパで埼玉ナンバー。
なぜだろう。埼玉には、思わず顔の筋肉を緩ませる魅力があります。
(補足:この文章を書いたあと、当時宮崎駿が埼玉に住んでいたからだと教わりました)
さて、見終わったあとの感想です。
「北の将軍様だ」
以上。
いや、“精巧な偽札”なんて、今時分“北朝鮮”以外の何者でもありません。
ちょうど翌日、テレビで北朝鮮の偽札特集もやっていましたし。
なんだか、カリオストロの城が、ぐっと身近というか、卑小な物に感じられる一瞬でした。
でもまあ、アニメは非常に面白かったです。
これで、「ラピュタ」「ナウシカ」「カリオストロ」と買ったので、次に買うのは「オネアミス」辺りかなと思っています。