映画「セブン・ソード」のDVDを十二月中旬に見ました。
うーん、外れでした。最後まで普通に見ることはできましたが、特に凄い面白いわけではありませんでした。
『「HERO」「LOVERS」の次に来るのはこれだ!』といった宣伝をされていたので少し期待していたのですが、完全に期待外れでした。
映画の方向性としては、「闘将!!拉麺男」+「七人の侍」です。序盤はもろに「闘将!!拉麺男」。途中から「七人の侍」風になります。
さて、この映画には問題点が二つあります。
一つは造形的な問題。もう一つは物語的な問題。
それでは以下、そのそれぞれについて解説をしていきたいと思います。
まずは造形的な問題です。
この映画には、剣が変形したり、傘のように開いたり閉じたりする武器が出たりと、ギミックが入った武器が多数出てきます。
この動きが非常に分かり辛い。
大画面で見ることが前提なので、うちの小さい画面で見るとさっぱりよく分からないという問題はあると思います。
しかしそれよりも何よりも、変形のフレーム数があまりにも短いので、視認し辛いという問題があります。
こういうのを見ていると、戦隊物のロボット変形シーンはよくできているなと思います。
あそこまでゆっくりとする必要はないですが、もう少し変形を分かりやすく画面で見せる工夫をして欲しいなと思いました。
おかげで、“武器”が主役のようなところのあるこの映画で、肝心の“武器”が目立たないという問題が発生していました。
次は物語上の問題です。これには二点あります。
一点目は詰め込み過ぎ。中盤以降「七人の侍」風な展開になるのですが、そこに「恋愛ドラマ」を絡ませてきます。
「恋愛ドラマ」自体を絡ませるのは別によいのですが、それを複数絡ませるとなるとそれは問題です。
ただでさえ主人公級のキャラが七人もいるのに、そこに複数の恋愛ドラマが絡むと主役の影が薄くなり、物語は散漫になります。
ここらへんは欲張り過ぎて失敗しているなと思いました。
二点目は、剣の個性を描き切っていないことです。
映画のタイトルが「セブン・ソード」である通り、映画の陰の主役は「剣」たちです。
七人の剣士が持つ、七本の秘剣。しかし、この剣を際立たせるエピソードが手薄のために、映画の売りをきちんと出せていません。
「剣の個性」といえば、「風魔の小次郎」を思い出すのですが、あそこまでとは言わなくても、それなりに「剣の個性」を出して欲しかったです。
あと、消化されていない伏線もありましたし。ごにょごにょ……。
以下、粗筋です。
民衆の反乱を恐れる皇帝は禁武令を出す。そして、武術を習う者たちに賞金を掛け、女子供容赦なく抹殺していく。
ある村では、夜盗から身を守るために、村全員が武術を学んでいた。そこに一人の老人が訪れる。前の村から逃げてきた男だ。
彼は禁武令のことを村人に話し、逃げるように説得する。しかし村人は耳を貸さず、彼を捕らえてしまう。老人はかつて、役人として村に害をなした人物だったからだ。
村の若い男は恋人に説得されて、村娘とともにその老人を遠方に逃がす手伝いをする。
その先で老人は天山と呼ばれる深い山に分け入る。そして、その場に隠れ住む武人たちを助っ人とする。
天山の勇者は四人。老人と村の男、村娘の三人を加えて七人。彼らは天山で鍛えられた七本の秘剣を手にし、村を救うために戻って来る。
そして、禁武令を利用して私服を肥やしている武将に対して戦いを挑むのであった。
ラストシーンの主人公が切なかったです。というか余りにも可哀相。
ラスト以外でも、主人公はかなり可哀相な扱いを恋人に受けます。
「それはどうよ?」と思うぐらい可哀相です。
映画のラストシーン、悲しそうにしている主人公を見ていて、とても切なくなりました。