映画「ベルヴィル・ランデブー」のDVDを十二月下旬に見ました。
フランスのアニメーションです。ジブリが自社以外のアニメを出している「ジブリCINEMAライブラリー」というコレクションの一作品です。
絵の質感が気になっていたので借りてきました。
だいたいヨーロッパのアニメは、エンターテインメントであるよりもアートである傾向が強いので、話が面白くないのは覚悟していました。
その点では、ほぼ予想通りの作品でした。
話はあまり面白くなく、映像表現(というか映像的造形)が面白かったです。
不思議に長細いキャラクター、レトロで書き込まれた背景、そういったものがワシワシと動く作品でした。
DVDには、この作品の監督と高畑勲の対談が収録されていました。
その話を聞いていて、いろいろと思うところがありました。
その対談はかなり退屈で、高畑勲はエンターテインメントよりもアート寄りの感性を持った人なんだなということ。
そして、商業主義的な日本のアニメ産業界と高畑勲はあまり合わなさそうで、日本では生き難いだろうなということです。
話を聞きながら、「遠い人だな」と感じました。
高畑勲が「ベルヴィル・ランデブー」の監督に聞いている内容は、娯楽作品を楽しむ人の視点ではなく、アートを観賞する人の視点だと思いました。
その視点でアニメを語っても、ついてくる人は少なそうだと感じました。
以下、粗筋です。(終盤近くまで書いています。しかし、話が重要な作品ではないので、あまり関係ないでしょう)
ツールドフランスに参加する孫を応援するおばあちゃんと犬。
だが、その孫が悪の組織にさらわれる。孫はそこで、地下レースに参加させられる。
おばあちゃんと犬は、孫を助けるために、ベルヴィルの街にやってくる。
そして、ミュージシャンの老三姉妹と出会い、協力して地下レースの会場に潜り込む……。
作品中、台詞はほとんどありません。基本的には、台詞なしの映画です。
台詞よりも、音楽シーンに気合いが入っています。
おばあちゃんと老三姉妹が、日用品を利用して音楽を奏でます。
このシーンはよくできているなと思いました。
基本的には、話の筋を楽しむというよりは、表現そのものを楽しむというものでした。
そういう意味で、エンターテインメントではなく、アートだなと思いました。
また、ラスト間近の、最後の「おばあちゃんV.S.敵の車」の対決シーンは非常に面白かったです。
アニメではないとできない攻撃方法だなと思いました。
まさか、あんな方法で相手を倒すなんて。このシーンは「やられた」と思いました。
ツールドフランスが、フランス人にとって、あそこまで熱狂的なものとは知りませんでした。
箱根駅伝か、もっと言うと相撲のようなものでしょうか?
その熱狂振りにかなり驚きました。
どうでもよいですが、DVDには、他の作品の紹介も収録されていました。
そこで知ったのですが、「ジブリ学術ライブラリー」というのがあるのですね。
歌舞伎などの映像を収録しているそうです。
気付かないところで、いろいろとやっているなと思いました。