映画「スティング」のDVDを一月下旬に見ました。
ポール・ニューマンと、ロバート・レッドフォードが主役の詐欺師の映画です。
有名な映画で、様々な本などで名前を見ていたのですが、ようやく実際の作品を見ることができました。
いやー、楽しいですね。
“人を騙す”という行為は、ゲームなどを含めて、人間にとって楽しいことですが、“詐欺”となると後ろめたさが残ります。
しかし、相手が悪人なら話が違います。
お金持ちの悪党を華麗にはめる。その爽快さはたまりません。
途中途中で「下ごしらえ」「シナリオ」「締め出し」など、プロットを示す止め絵が出る小粋なセンス、そして映画自体の小気味のよさ。
“復讐”という、扱い方によっては重いテーマになりがちな話でありながら、上記のような演出的配慮と役者たちの軽妙な演技により、テンポのよい楽しい映画に仕上がっていました。
ちなみに、「スティング(sting)」という単語の意味を辞書で調べてみました。
「欺く、だまし取る」という意味だそうです。
この言葉は、映画中では「THE STING」と書いた静止画面で使われていました。字幕では「本番」と訳していました。意訳っぽいですが、上手い訳だと思いました。
以下、粗筋です。(ネタバレほどじゃありませんが、中盤ぐらいまで書いています)
若い詐欺師は、黒人の老詐欺師とともに、カモを見つけては簡単な詐欺を働いていた。
そんなある日、偶然にも犯罪組織の運用資金の運び屋を罠にはめてしまう。突然の大金に湧く二人。
だが若い詐欺師は、その上がりのほとんどをギャンブルに突っ込む。
「ほとぼりが冷めるまでは金は使わない方がいい」
老詐欺師は若い詐欺師を諌める。そして、前から話していた、凄腕の詐欺師への弟子入りの話を出す。
だが、若い詐欺師はその話を断わる。彼はこの黒人の老詐欺師が好きだった。自分に仕事を教えてくれた師匠だと思っていた。
そうしたやり取りの中、事態は進行する。
若い詐欺師は悪徳警官に絡まれた。「犯罪組織がお前のことを探している。匿って欲しければ金を出せ」、警官はそう言う。
話が漏れている、ギャンブルのせいだ!
急いで老詐欺師の許に行く。だが、彼は既に殺されていた。
若い詐欺師は復讐を誓い、凄腕の詐欺師の許に身を寄せる。
「奴は、いい奴だった」
凄腕の詐欺師も、老詐欺師の死を悲しむ。そして、久しぶりの大仕事をする決意をする。そして彼は仲間を呼び寄せる。いずれも手練の男たちだ。
行う詐欺は「有線」と呼ばれる手口。
偽の場外馬券場にカモを呼び寄せ、大金をせしめる方法だ。
そのために、二人の詐欺師は復讐の相手に近付く。相手は、裏では犯罪組織のメンバー、表では銀行家の男だ。
凄腕の詐欺師はポーカー勝負で敵をはめ、場外馬券場に相手を引きずり込む。若い詐欺師は、敵に「事前に結果を知って賭ける方法がある」とほのめかす。
敵は徐々に罠にはまっていく。
だが、悪徳警官が若い詐欺師を追っていた。また、敵の殺し屋も彼の所在を探していた。
復讐の一大詐欺は成功するのか……。
情報の出し方の加減や、キャラの立ち位置のぼかし方をコントロールすることで、復讐の相手だけでなく、観客をも上手く騙してくれます。
「出ている情報を総合すると、こっちの可能性もあるよな」と思いながら、結果が明かされるまで、どきどきしながら映画を見続けることができます。
なかなか楽しかったです。
しかしまあ、ポール・ニューマンは格好いいですね。
いろんな映画で姿を見ていますが、この映画の彼はとてもいい男に見えました。まあ、実際いい男なのですが。
あと、詐欺物といえば、マンガならば最近は「クロサギ」を思い出します。
昔だと「銀と金」辺りをすぐに思い出します。
この手のジャンルの作品は結構あると思います。
あと、活字の本だと「詐欺とペテンの大百科」が網羅的で面白かったです。