映画「アバウト・シュミット」のDVDを一月下旬に見ました。
2002年の作品で、監督はアレクサンダー・ペイン、主演はジャック・ニコルソンです。
本作は、定年退職後の老人の物語です。
ちょうど両親が去年六十歳になったので、興味を持って見ました。
何か凄いドンデン返しがあったり、素晴らしい展開がある映画ではないのですが、そこはかとなく楽しめました。
以下、粗筋です。(終盤直前まで書いています)
保険会社で働いていたシュミットは定年になる。彼は退職後に時間を持て余す。
そんな折、テレビで見た募金の話に興味を持つ。毎月お金を送ることで、アフリカの恵まれない子の育て親になるという話だ。彼はこっそり募金に応募する。
シュミットは環境の変化のせいか、周囲の何もかもが嫌いになる。奥さんも嫌い。なんでこんな奴と暮らしているんだろうと思う。
しかし、その奥さんが急死する。彼は突然一人になり途方にくれる。
葬式の時、娘が来てくれたが、その婚約者に彼は激怒する。葬式に来たのに、ネズミ講の勧誘をしてくるのだ。
彼は娘に、婚約者と別れるように言う。しかし、娘は彼の話を聞かない。
さらに、死んだ妻がシュミットの親友と不倫していた事実も発覚する。
シュミットはいらいらが募る。そして、募金の相手の少年に近況報告の手紙を送り続ける。
彼は娘に結婚を思い止まらせるために、妻が残したキャンピングカーで移動する。しかし、その途中に電話を掛けたところ、娘から「来るな」と断わられる。
彼は傷心と怒りに駆られて旅を続ける。やっぱりアフリカの少年に手紙を書き続ける。
そしていろいろありながら、結婚式の前日に娘の婚約者の家にたどり着く。
でも、やっぱりその婚約者のことが嫌い。そして、その家族も嫌い。
彼はいらいらをどんどん募らせていく。そして、結婚式の当日になる……。
何というか、特に何も解決しない話なのがそれっぽくてよかったです。
無力というか、無意味というか、人生なるようにしかならないというか、思い通りにいかないというか。
劇的なこともなく、徐々に老いて、忘れられていくというか。
まあ、年を取るということは、そういうことなのかもなと思いました。
映画中おもしろかったのが手紙の使い方です。
主人公は、どう見ても上手くいっていないのに、近況を書く手紙では精一杯見栄を張ります。
その現実とのギャップがシュールなギャグとなっていて面白かったです。
映画で独白の入れ方は難しいのですが、こういった裏独白とでもいうやり方もあるのだなと思いました。
そして、この手紙を使って、最後はほろりと泣かせます。
小道具の使い方として上手いなと思いました。