ラーメンズの小林賢太郎のライブ「ポツネン」のDVDを三月下旬に見ました。
非常に知的で芸術的でハイクオリティでよかったです。ネットで調べたところ、2006年の作品ということでした。
今回、初めてラーメンズという二人組、そして小林賢太郎という人物の存在を知りました。
普段テレビを見ないので、お笑い番組は全くと言っていいほど見ないのですが、こういったお笑いならば、見てもいいなと思いました。
テレビでよく流れるようなバラエティ的なお笑いとは大きく違い、芸術と言える完成度を持ったものでした。
素晴らしい。
そのままヨーロッパに持っていったら大絶賛されそうだなと思いました。
本作の構成は、ある程度の長さのコントを、順にやっていくというものです。
分かりやすく言うと、ある程度の繋がりを持った、短編小説集といった感じです。
ネタによっては、出来の粗密があるものの、突き抜けてよくできた物が多く、全体の構成もよく練られていました。
こういった手法を使って映画に匹敵するような時間をライブで持たせることもできるのだなと感心しました。
以下、よくできていたなと思ったネタを幾つか挙げます。
・ハンドマイム
指を使って二本の足を表現し、画面の中の景色と音楽に合わせて、どんどん歩いていくというもの。
ともかく、この足の動き(指の動き)が非常に素晴らしかったです。
その人物の容姿や性格まで浮かんでくるような、丁寧で練習を重ねた動きでした。
その素晴らしさに、唸り声を上げながら見入ってしまいました。
・アナグラム
言葉の一文字ずつをカードに書いて、その並べ替えによって新しい言葉を作って笑わせるというコント。
時にシュールに、時に納得の言葉を作りだし、思わず見入って、目が離せないものでした。
特に上手いなと思ったのは、そのカードさばきです。
手品師を彷彿とさせる手の動きで、カードをまとめたり、並べたりする順番を上手くコントロールして、うまく期待をあおってくれます。
また、新たに生まれる言葉を絵で示したり、短いコントで示したり、微妙に前のネタと関連性を持たせたり、伏線にしたり、あの手この手で楽しませてくれました。
・タングラム
巨大なタングラムを組み替えながら、何もない背景に絵を生み出し、ストーリーを作って笑わせていくというもの。
このコントに限らず、どのコントも、手品の舞台のような緊張感と、淡々としたしゃべりで、「笑い=ハイテンション」という常識を裏切ってくれます。
そして、あくまでクールに、知的に、シンプルでありながらも美しいコントを展開していきます。
非常に素晴らしかったです。
この一人芝居を行っている小林賢太郎は、美大出身ということですが、「なるほどな」と思いました。
これは、お笑いというよりは芸術に近いです。
非常によい物を見させてもらいました。