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2007年05月13日 19:13:36
ユージュアル・サスペクツ
 映画「ユージュアル・サスペクツ」のDVDを四月上旬に見ました。

 監督はブライアン・シンガー。「X-MEN」や「X-MEN2」の監督の人です。1995年の作品になります。

 タイトルの「The Usual Suspects」ですが、「usual suspect」で、「容疑者としていつも名前が挙がる人、札付き」という意味です。

 その複数形ということで、そういう奴らが五人集まるという映画です。



 映画の感想としては、だいたい以下の二点です。

・上手いなあと思う部分もあるが、詰め切れていない粗の部分も目に付く。

・基本構成がスイッチバック系の話なので、その部分自体は評価を下げる。

 というわけで、まあ楽しめたけど、それほど素晴らしいできではなかったというのが感想です。

 あと、“スイッチバック系”というのは、まず結果が示されて、それに対して現在と過去が交互に展開していって最後に結論に至るという構成を指しています。

 この言葉は、正式な名称ではなく、私が個人的に言っている言葉です。

 こういうスイッチバック系の構成にすれば、ありとあらゆる話がミステリーっぽくなるので、そのやり方で謎を示している場合には、私はあまり評価を高くしません。

 なぜならば、そのやり方は、完全に時系列をたどって謎を示すよりもコスト(アイデアに掛けるコスト)が安くて簡単だからです。

 ただ、本作には、このスイッチバック系の構造を逆手に取った仕掛けが用意されていたので、その部分は評価しています。この部分については、ネタばれを含む感想の後半で書こうと思います。



 以下、粗筋です。(ネタバレあり。終盤のネタバラシ直前まで書いています。ミステリー系なので、嫌いな人は読まないでください)

 船の上で、麻薬絡みだと思われる殺人事件が起こった。その現場にいて逃げ出したちんぴらが、警察の取り調べを受ける。

 最初は頑なに口を閉ざしていた彼は、ぽつぽつと話を始める。彼の話はこうだった──。

 自供を始めた男を含む五人の前科者が、ある事件の容疑者として拘留される。

 彼らは全員が顔見知りというわけではなかったが、数人が知人の関係で、互いの噂ぐらいは知り合っている仲だった。

 五人の内の一人が、“不正警官たちの取引”を襲撃して宝石を強奪する計画を明かす。彼らの中には、真面目に更正しようとしている元警官もいて、最初は断わるが事件に加わる。

 一度事件を起こして成功すれば、新しい事件に巻きこまれるのは世の常だ。

 さらに大きな稼ぎを得られる計画を、他の犯罪者から打診される。彼らはその依頼を受けて、現地に向かう。

 だが、そこで彼らはミスを犯す。必要のない殺しをやってしまう。

 彼らは窮地に立ち、一ヶ所に集められる。

 そこは、カイザー・ソゼという犯罪者組織の伝説の帝王の息のかかった場所で、彼らはある仕事を強要される。

 彼らは全員、気付かないところでカイザーの仕事を邪魔していた。そして、その借りをチャラにする仕事をするために、警察に集められチームを組まされたという。

 その仕事とは、敵対組織の麻薬取引の現場を襲撃するというものだった。彼らは逃げることを許されていなかった。

 そして、彼らは船の上で派手な戦闘を繰り広げた──。

 取り調べをしていた警察官は、ちんぴらの話を聞いて、五人のうちの一人、更正しようとしていた元警察官が、実はカイザーなのではないかと当たりを付ける。

 カイザーは、誰も正体を知らない謎の人物で、今まで何の手がかりもなかった。

 警察は、捜査が進展したことを受けて、ちんぴらを解放する。だがその後に、驚くべき事実に気付く。警官は取調室を見渡して、ある事実を知って驚愕するのだった──。



 さて、以下は、完全にネタバレありの感想です。

 最初の感想で書いた、スイッチバック系を逆手に取った仕掛けとは、粗筋に書いた、“驚くべき事実”に当たります。

 ここで刑事は、今まで出て来た登場人物の名前を、部屋の掲示板に貼ってあるポスターや新聞記事などの中に次々と発見します。

 つまり、今までの話は、全てその場ででっち上げたホラ話だったという落ちです。

 スイッチバック系の話だと思わせておいて、実はその構造を裏切る。そういった、構造レベルのギミックがこの映画には仕込まれています。

 そういった意味で、この映画は玄人好みの映画だと言えます。

 この仕掛けは「ああ、なるほどな」と感心しました。



 この映画は、二ヶ所の観客を驚かせるポイントが仕込まれています。

 最初の一つ目は、映画が始まって五十六分の時点で、五人が拘留されて顔を合わせた理由がカイザー・ソゼのためだと告げられるシーンです。

 ここで映画の流れが一気に変わり、なんとなくばらばらに提示されていた情報に方向性が付けられます。

 次の二つ目は、映画の終盤、刑事がホラ話だと気付く瞬間です。

 物語は、この二つのポイントを中心に構成されています。



 映画の構成は上記の通りシンプルなのですが、編集というか表現の丁寧さには粗雑さが見られました。

 最初の三十分ぐらいは、スイッチバック系の物語だという描写が薄く、少し混乱を招きかねない構成でした。

 また、最後の種明かしのシーンは、後で見直すとその描写はあったかもしれないなと思わせる程度しか事前に描写がされておらず、これはいささか表現が足りないなと思いました。

 この手の仕掛けは、「よく覚えているけど、言われるまで気付かなかった」というのが最高なわけで、「言われてみれば、そういった描写があったかもしれない」という程度では、それほど高い評価は与えられません。

 気付いていたはずなのに、気付かなかった。

 そういう作りになっていないので、少し丁寧さが足りないなと思いました。



 物語の構成や、仕掛けの作りからして、マニアや映画をある程度見ている人向けの映画だなと思いました。

 表現が欠ける部分が少し見えるものの、それなりに楽しめる映画でした。
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