映画「オール・ザ・キングスメン」のDVDを四月中旬に見ました。
1949年の映画で、州知事選挙に絡んだ権力の腐敗の過程を描いた作品です。
監督はロバート・ロッセン、以前見た映画では「ハスラー」を撮っています。
原作はロバート・ペン・ウォーレンの書いたピューリッツァー賞受賞の同名小説です。
真面目な人間が、権力を握る過程で変質していき、権力の獲得とともに腐敗するという、分かりやすい映画でした。
多分八割以上の人が「予想通りの展開だ!」と思うような内容です。
白黒時代の古い映画なので、見せ方などが古臭いと感じました。話はまあ、こんなものだろうなという印象でした。
少し面白かったのは恋愛要素です。
主人公は元新聞記者で、後に知事の秘書になります。彼が思いを寄せている幼馴染みの女性がいます。彼女は知事のファンになり、愛人になります。
その彼女に向かって、主人公が思わず「お前は娼婦か!」みたいな台詞を言いそうになる場面があります。寸止めで言いません。
こういった部分をもっと身悶えするように描いてくれれば、ドロドロ度が上がるのになと思いました。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。ラスト直前ぐらいまで書いています。まあ、予想通りの展開だと思うので、見ても大丈夫だと思います)
新聞記者の主人公は、政治家を目指している一人の男に会う。彼は貧しいところから身を起こし、独学で勉強して弁護士になる。
彼はいくつかの選挙に出るが負け続けていた。
ある州知事選挙の時、その候補者の一人が、対立候補の票割れを狙って、政治家を目指す男を援助して立候補させる。
彼は生真面目に数字や法律の話をし、大衆の指示を得られなかった。
しかし、自分が票割れ狙いで立候補させられたことを知った直後、やけくそで行った演説が受けたことで、彼は何かを掴む。
州知事選挙では負けたが、彼は「選挙の勝ち方を学んだ」と豪語し、これまでとは違った活動を始める。
彼は、権力の座を狙う活動を始め、多くの団体を取り込んでいく。その過程で、新聞社を辞めた主人公は彼の秘書となる。
男は次の選挙に立候補して当選を果たす。
だが、その頃から男は権力の渦中で傲慢になっていく。
自分の名を冠した公共施設を多数作り、愛人を囲み、酒に溺れた生活を続ける。
だが、彼は、堕落はしても無能にはならなかった。民衆の機嫌を取ることを忘れず、その権力を強固なものにしていく。
しかし、そういった生活も破綻を見せ始める。身内の不祥事、腐敗の糾弾、様々な問題が押し寄せてくる。
男は、それらを全て叩き潰すために一大キャンペーンを張る。金をばらまき、民衆を扇動する。
そして、その戦いは、議会での州知事リコールの投票の日に最高潮になる。
やはり、古い映画なので、ちょっともたつくなというのが印象です。
脚本を整理して、映像の見せ方を工夫すれば、もっと面白くなるのになと思いました。