映画「コクーン」のDVDを五月下旬に見ました。
ロン・ハワード監督の1985年の作品です。
ちなみに、cocoonは、繭という意味です。
ロン・ハワードなので、ある程度期待していたのですが、それほど面白くなかったです。
基本的に、老人と宇宙人の交流の物語なのですが、障害となることがほとんどなく、その分、圧倒的な盛り上がりがないです。
やはり、映画には「魅力的なピンチ」が必要だなと思いました。
ピンチがでかいほど、それを乗り越えた時の爽快感は増えますので。
この映画のピンチは、アットホームなピンチで、あまりぐっと来ませんでした。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。最後まで書いています)
老人ホームの仲良し男性三人組は、空き家のプールを勝手に使って楽しんでいた。
その空き家に、短期で人が入ってくる。彼らは海に行き、不思議な岩を持って戻ってきては、プールに放り込んでいく。
遊び場を失った三人は憤慨し、彼らがいない隙にプールに入る。そこには不思議な岩があったが、構わず遊ぶ。
その直後から、彼ら三人は力が溢れてくる。まるで若者のように精力を得る。
どうやらプールが原因らしい。
いったんは家の住人たちに追い出された三人たちだが、彼らに頼み込んでそのプールの使用の許可を得る。
そして、家の住人たちが宇宙人であることも知る。
三人は秘密を守ることを誓うが、老人ホームでの会話から、他の老人たちに話が漏れてしまう。
プールには、老人が殺到する。
そこに、血相を変えて家の住人がやって来る。
プールに入れられていた岩は、昔地球にやって来た宇宙人たちが眠っていた生命維持装置で、プールは、衰弱した彼らを回復させるための栄養槽だった。
老人たちにエネルギーを奪われた宇宙人たちは、その何人かが死んでしまう。
三人組は反省する。そして、家の住人と親交を深める。
そんな老人たちに、家の住人たちは、宇宙に行かないかと誘う。彼らの船が迎えに来るので、三十人まで連れていけるという。
宇宙に行った彼らは、不死の命を得られるらしい。
老人たちは、船に乗り、宇宙へと消えていく。
なんというか、摩擦の少ない映画だなと思いました。
利害の対立や衝突があまりない。
「もっと怒れよ宇宙人」と思いました。
映画を見て、「新興宗教にはまって拉致られる老人」というイメージが湧きました。
あと、「宇宙人は素敵だよ!」というハッピーメッセージも感じました。
そういう時代なのでしょうか?
なんだか座りが悪い話だなと思いました。
映画中、人間の皮を被っている宇宙人が、その皮を脱ぐというシーンがあります。
「人の近くにいる場所で、なんで脱ぐのか? ばれるだろう」という突っ込みはありますが、そのシーンを見て思ったことを書きます。
中に入っている宇宙人が、生理的に気持ち悪いもの(たとえば、多足の虫とか)でなければ、美人の皮を被っている宇宙人はありだよなと思いました。
どうせ人間も、皮を剥げば、血まみれの肉だるまなので。
その内、サイバーパンク的に外見を簡単に取り替えられる時代になれば、みんな美人の素体を選ぶと思いますし。
中の人の性格がよければ、言うことありません。