映画「チャイナ・シンドローム」のDVDを六月下旬に見ました。
1979年の作品で、主演はジェーン・フォンダ、助演はマイケル・ダグラスと、ジャック・レモンです。
マイケル・ダグラスと言えば、最近見た映画では、「危険な情事」を思い出します。「チャイナ・シンドローム」では、えらく若々しく、B級映画の俳優っぽく見えました。
映画は、派手なアクションはカーチェイスぐらいでしたが、ハラハラドキドキする内容でした。
その理由は、次の説明を見れば分かります。
さて、映画の題名の「チャイナ・シンドローム」ですが、人によっては耳慣れない言葉だと思います。
そこで、Wikipediaから、該当する部分を引用します。
チャイナシンドロームとは、もし、アメリカの原発で事故が起こったら、核の暴走に伴う超高熱が原子炉を溶かし、地中を溶かし、地球の内部を貫き、そしてついにはアメリカの裏側の中国へ到達するだろう、という冗談から産まれた言葉である。□Wikipedia - 炉心溶融
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82... ちゃんと「冗談」と書いてあるので分かると思いますが、当然そんなことにはなりません。
この説明で分かったと思いますが、この映画は、「原子力発電所で事故が起こる……(?)」といったお話なのです。
稼動を開始した原発の欠陥が、徐々に分かってきて、「こりゃあ、やべえ」となります。
なので、派手なアクションがなくとも、非常にドキドキする内容になっています。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。終盤の直前まで書いています)
主人公は局務めの女性ニュースキャスター。彼女は社会派の取材をしたがっているが、軽い話題ばかりしか回してもらえず不満を募らせていた。
彼女はある日、これから稼動する原子力発電所の取材をすることになる。
チャンスだ。そう思った彼女は、数々のジャーナリストの賞を取っているフリーランスの知り合いを呼び、一緒に取材に向かう。
彼女らは原発内を取材し、管制室を見下ろす場所に行く。そこで原発の運用方法を聞いている時に、軽い地震が起こった。
慌てる管制室のスタッフたち。どうやら、何かとんでもないことが起こっているらしい。彼らは必死に計器を調べ、ボタンを押しまくっている。
どうやら、先ほどの地震は、原発の事故による揺れだったらしい。そのせいで、スタッフたちがパニックになっていたようだ。
その一部始終を、フリージャーナリストはこっそりと撮影していた。
これはスクープになると女性キャスターは確信する。しかし、その映像は封印される。テレビ局のプロデューサーは、電力会社の損失に繋がるという理由で、この情報を握り潰す。
怒ったフリージャーナリストは、フィルムを持ち出し、姿を消す。
その事実を知り、「フィルムを取り返さなければ、局での自分の立場が危うくなる」と判断した女性キャスターは、フリージャーナリストを探して、原発近くの酒場に行く。
そこには原発の管制室のスタッフたちがいた。
その中の一人、元海軍で、原子力潜水艦の艦長をしていた男と彼女は話をする。
元艦長は、「事故など起きていない」と言い、「あれは想定の範囲内の現象だ」と説明する。だが、彼には不安があった。想定外の事態も起こっていたからだ。
彼はこっそりと調査を始める。そして、驚くべき事実を突き止める。炉心の溶接部分が手抜き工事だったのだ。
炉心の溶接は、X線写真でその全てを検査しないといけない。しかし実際は一枚だけ写真を撮り、後はコピーで済ませてあった。
これは、欠陥原子力発電所だ。そのことを世間に明らかにして、稼動を止めないといけない。
彼は原子炉の建設を行った建設会社の担当者に、検査のやり直しをするように要求しに行く。
だが断わられ、その直後から命を狙われ始める。
原発の建設と運営には莫大な金が動いている。彼は、電力会社と建設会社から逃げ回らないといけない羽目になる。
フリージャーナーリストと、女性キャスターと、元艦長は情報のやり取りをして、どうにかして、大惨事を防ごうとする。
しかし、味方は少なかった。本来なら不正を暴き、糾弾するはずのマスコミも、原発利権に絡んでいるせいで、事実を隠蔽しようとしていた。
彼らは数少ない仲間を犠牲にしながら、真実を公表するために動きだす……。
なんというか、「原子炉が欠陥工事だった時の顎の外れ具合」と、「原潜の元艦長以外に、電力会社の人間が誰も原子力の恐ろしさを認識していない」のが凄かったです。
衝撃というか、「当時のアメリカの一般人の科学知識はこの程度なのか」という思いでくらくらしました。(映画なので、分かりやすくそうしているという部分はあるでしょうが)
しかしまあ、普通の生活を送る人にとって、「科学知識とは、なくても不都合ではないもの」なのでしょうが、それでもなあと思いました。
まあ何にせよ、原発で事故があった時に、真っ先にダメージを受ける人たちが、さっぱりその恐ろしさを認識していないという描写が恐ろしかったです。
あと、個人的に一番突っ込みたかったのは、電力会社の社長です。
主人公側の行動に対抗するために、管制室と原子炉の間の制御ケーブルを切断させたり、管制室内に銃を持ったSWATを突入させたりと、ドキドキの行動をします。
そんなことをしている彼がいる場所は、原発の建物内です。
いや、あんた、危険過ぎだから。
かなり怖かったです。