映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」のDVDを六月下旬に見ました。
1922年の作品で、監督はF・W・ムルナウ。ドイツ表現主義の映画で、ドラキュラを扱ったホラー映画の元祖と言われる作品です。
64分という短い作品でしたが、さくさく進んで楽しめました。
ドラキュラ物のストーリーの要約みたいでよかったです。
何気に、Wikipediaを見ていたら、動画と画像がアップされていました。
□Wikipedia - 吸血鬼ノスフェラトゥ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90...□Internet Archive: Details: Nosferatu(動画:映画本体)
http://www.archive.org/details/nosferatu□Category:Nosferatu - Wikimedia Commons(画像)
http://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Nosferatu
さて、「ドラキュラ物」と書きましたが、この映画は、ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」を映画化しようとしたけど版権が取れず、やむなくいろいろと細部を変えて映画化したといういわくつきの作品です。
DVDには、当時の顛末がテキストで収録されていましたが、遺族による裁判が行われ、敗訴して、一時期お蔵入りになったとのことでした。
まあ、まんま「吸血鬼ドラキュラ」ですし、これを「違う物だ」と言い張るのはさすがに無理でしょう。
映像は斬新で非常に特徴的でした。
1922年の作品に「斬新」と言うのも変なのですが、そのスタイリッシュな映像は、現在でも十分斬新だと思います。
特に、白黒映画の特徴を上手く使った影絵のような表現や、ネズミのような伯爵の風貌、そしてジョジョを彷彿とするようなポージング(年代や影響的に、順番が逆ですが)は、秀逸でした。
また、サイレント映画でよくある「コマ数が少なくて早回ししたように見える映像」も、よい方向に働いており、面白い効果を発揮していました。
さすがに、いろんなところで語られるだけあり、よくできているなと思いました。
とりあえず、この映画を見ると、指を広げて、反り上がって、手を上に振り上げたくなります(伯爵が襲う時のポーズ)。
実際の映画には、あまりそういったシーンはないのですが。
あと、個人的によかったと思うのは、ヒロインの髪型が縦ロールだったことです。
いや、別に縦ロールが好きなわけではないのですが、分かりやすい髪型だと、混乱せずに見ることができますので。
もう一つ、本当にどうでもいいのですが、扉が一人でに閉じたり開いたりしたりするシーンは、きっと糸で引っ張っているんだろうなと思いながら見ました。
糸は見えてないのですが、扉の一部が画面外になっていましたので。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。最後まで書いています)
新婚で不動産屋の主人公は、変人で知られている知人から仕事を引き受ける。
それは、遠い地にいる伯爵が、この町に住むために家を契約するというものだった。変人は、その場所を主人公の家の向かいにすればどうだろうかと言い、主人公は賛成する。
主人公は妻を友人に預け、伯爵の住む地方まで行く。そして、その地で泊まった宿屋の本で、吸血鬼の伝説があることを知る。
伯爵に会った主人公は契約を結び、伯爵は居城を発ち、海路目的地へと向かう。
主人公は城に閉じ込められるが、命からがら脱出する。
伯爵が主人公のいる土地に行くのには訳があった。変人は伯爵の手先で、彼を通して主人公の妻を知り、狙っていたからだ。
故郷の土と大量のネズミとともに船に乗った伯爵は、船員を次々に疫病で葬りながら港に向かう。
一方、城を脱出した主人公は、陸路故郷に向かう。
たどり着く二人。
町では伯爵のせいで疫病が流行り、主人公は為す術もない。だが、伯爵を倒す方法を妻が発見する。
彼女は、主人公が持ち返った吸血鬼の本を読む。そして、自分の血を伯爵に捧げ、朝まで自分の許に釘付けにすれば、伯爵を倒せることを知る。
妻は主人公の居ぬ間にその作戦を実行し、伯爵を死に追いやる。
細部の異同はありますが、本筋は「吸血鬼ドラキュラ」です。
ちなみにこの映画では、ヘルシング教授はほとんど活躍しません。また、舞台はブレーメンになっています。
個人的には、この映画は、映像表現を楽しんでなんぼの作品だよなと思いました。
そういった意味で、きちんと楽しめました。