映画「セルピコ」のDVDを七月中旬に見ました。
1973年の映画で、監督はシドニー・ルメット、主演はアル・パチーノです。
映画の名前自体は知らなかったのですが、TSUTAYAの店頭で長らくプッシュされており、主演がアル・パチーノだったので借りてきました。
ちょうど、「スカーフェイス」で、アル・パチーノを見たばかりでしたので。
なかなか面白かったです。
さて、この映画は監督がシドニー・ルメットです。
作った映画を調べていたら、「十二人の怒れる男」の監督でした。私の好きな映画の一つです。裁判で、一人一人論破して行く、手に汗握る映画です。
あと、「ネットワーク」も撮っていました。視聴率競争に狂奔するテレビ業界の内幕を暴く映画です。これも面白かったです。
映画中、気になったのは、アル・パチーノがアル・パチーノっぽく見えないことです。
えらい若いです。
それで、調べてみたら、「ゴッドファーザー」(1972)と、「ゴッドファーザーPARTII」(1974)の間の年に作られています。
「スカーフェイス」(1983)の、十年前です。そりゃあ若いです。
髭で長髪の役だからということもありますが、別人に見えるよなと思いました。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。終盤最初ぐらいまで書いています。ただ、ネタバレが気になるタイプの映画ではありません)
主人公のセルピコは新任警官。彼は警官に憧れてその職業に就いたが、そこは不正と腐敗の温床だった。
警官たちは賭博の上がりをかすめ取り、どの警察署に行ってもそれが常習化していた。
彼は理想と現実のギャップに悩みつつも、自分だけは賄賂を受け取らないでおこうと思う。だが、それは裏切り者の烙印を押されることだった。
主人公は私服警官として仕事を続ける。そして、警察内の講習会に参加する。そこで、彼と同じように不正に対抗しようとしているキャリアと知り合いになる。
主人公は、警察の汚職の証拠を集め、キャリアの友人とともに警察の浄化をしようとする。
しかし、ことを荒立てたくない上司たちの無視によってその仕事は一切進展しない。さらに、主人公は、賄賂を受け取らないことで同僚たちに命を狙われだす。
切羽詰った二人は、外部に警察の不正の証拠を持ち込む。そのことを知った上司たちは、警察内の不祥事を外部に漏らさないためにようやく重い腰を上げた。
だがそれは、不正を正すためではなく、不祥事を握り潰すためのものだった。
しかし、そういった上層部の中にも、不正をよしとしない者も何人かいた。主人公は彼らの協力を得て、裁判に出て、汚職について証言する。
だがそのことは彼を追い詰める。彼は警官のほとんどから裏切り者として罵られ、死亡率が最も高い現場に送られることになる……。
なんというか、腐敗し切っているよなという感じでした。賄賂を受け取らないだけで、命を狙われるのですから。
そして、上にそのことを改善するように頼んでも、のらりくらりと無視され、命の危険がある情報収集を形だけ続けさせられます。
主人公のセルピコでなくとも、人間不信になり、ぶち切れます。
映画は、実話を元にしているそうです。
そして、主人公は裁判の後、命を守るために国外に出て、身を隠しているそうです。
正義の警官に憧れて警察に入り、警官としての当たり前の仕事をしようとしたら、警察組織から殺され掛ける。
なんだか、可哀相な人だなと思いました。