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2007年10月25日 10:44:08
ミッドナイト・エクスプレス
 映画「ミッドナイト・エクスプレス」のDVDを九日前に見ました。

 1978年の作品で、監督はアラン・パーカー、脚本はオリヴァー・ストーン、主演はブラッド・デイヴィスです。

 オリヴァー・ストーンは、これでアカデミー賞を取っています。

 DVDにはメイキングも付いており、実話を元にした映画ということでした。

 汗と泥にまみれて疲弊していくという感じの映画で、焦燥感がひしひしと伝わってきました。

 ちなみに、序盤で出てくるので書きますが、ミッドナイト・エクスプレスという言葉は、刑務所の隠語で脱獄を意味するそうです。



 以下、粗筋です。(実話なので、特にネタバレを気にせず書きます)

 麻薬の密輸の罪でトルコの刑務所に入った米国の青年ビリー・ヘイズ。彼は、四年の刑期終了間近に、裁判をやり直され、懲役三十年になる。

 彼は絶望の中、どんどんやつれていく。そして、刑務所のさらに深部に送られ、死を待つだけの状況になる。

 彼は、自由を取り戻すために、困難な脱獄を決意する。



 映画は、大きく分けて、前半と後半に分かれます。

 前半では、出来心から麻薬を密輸しようとした青年が、空港で逮捕されて、焦燥感に駆られながらも、四年の刑期を全うしようとします。

 その間、拷問を受けたり、脱獄の誘いなどもありますが、先が見えているので、どうにか耐えようとします。

 トルコの刑務所は、まるで北斗の拳のような世界で、暴力と貧困が渦巻いています。本当に、北斗の拳そっくりです。

 これは、映像の力が強いと思います。映像を見ただけで、混沌と熱気と焦燥が伝わってきますので。



 しかし、残り数ヶ月となった時に、国際情勢の変化から、見せしめ的に密輸犯を無期懲役にする方針に変わり、裁判はやり直しになります。

 結果的に懲役三十年になり、主人公は絶望します。あと少しで出られると思っていたところでの、三十年ですから。

 そこからが後半で、主人公は外を本気で夢見始めます。そして、足掻き始めます。しかし、そのせいで、さらに刑務所の深いところに送り込まれてしまいます。

 後半、主人公はどんどん絶望的なところに追い込まれていきます。前半もかなり焦燥感を感じる映画なのですが、後半はさらに輪を掛けて精神的にきつい状況になっていきます。

 まあ、あそこまで追い込まれたら、死ぬか脱獄するかしかないよなと思います。



 この映画は、主人公が悲惨な状況で足掻く作品です。

 ただ、前半の収監は自業自得なので、後半でも微妙に感情移入しにくい部分があります。主人公が悪いのは悪いので。

 映画的には、無実の罪で収監された方が盛り上がるのですが、実話を元にしているので、それはまあ仕方がないなと思いました。



 映画で、一番印象に残ったのは、終盤の主人公のオナニーシーンです。

 明日にはもう死ぬかもしれないという絶望的な状況で、身も心もぼろぼろになっている主人公に、面会人として恋人がやってきます。

 その恋人に主人公は「裸を見せてくれ」と頼みます。恋人はいやいや胸をはだけさせ、主人公は、それを見ながらガラス越しに必死にオナニーをします。

 極限状態を感じさせるシーンで、かなり心に来ました。

 またそれとともに、まだこの主人公には生きる力が残っているとも感じました。

 あれは、いいオナニーシーンだと思います。

 まあ映画で、そんなにそういったシーンがあるわけではないのですが。



 DVDに付いていたメイキングによると、この映画が切っ掛けで、米国とトルコの間で、相互に犯罪者を交換するようになったとのことでした。

 確かに、そういった切っ掛けになりそうな壮絶な映画だなと思いました。
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